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魔術の師匠はフリーター  作者: 五木倉人
師弟、女騎士と出会う
109/169

幕間:3

「……」


"機関"本部の地下。故ノゼル・リケイドが捕らえられていた牢獄に、黄金色の髪をした男――"剣聖"ラディス・フェイカーの姿があった。


ノゼルの死から一週間と数日。それなりの時間が経っているにも関わらず、黒い魔力の痕跡はまだ色濃く残っている。


「――確かに」


ラディスは、その魔力の中で一人呟いた。


議会でアリムが話したとおり、確かにこの中には青の魔力の痕跡が混ざっているようだ。ただし、黒の魔力に邪魔をされてしっかりと感じ取ることはできない。ただ、漠然と"ある"と言う感覚がするだけである。


どうやら個人の特定はできない。これも、アリムが話していたとおりだ。


青属性の魔力を持つ、人間の裏切り者……その糸口は、未だに掴めていない。


ラディスは魔力の確認を終えると、ただ、何をするわけでもなく、その場を立ち去ろうとする。


「はぁい、元気かしら? "剣聖"サマ?」


――そんな彼を、呼び止める声が、牢獄内に響いた。


「……イーグル・アイ」


ラディスは振り返り、その声の主の名を呼んだ。


「何故……この場に入ってこられたのですか?」


糸目を細く見開き、イーグル・アイへ鋭い視線が送られる。


ついさっきまで、ここには確かにラディス一人だった。出入り口はひとつ。イーグル・アイは……どうやってこの場に(・・・・・・・・・)入ってきた(・・・・・)?


「あら、わかっているくせに。ここ、まだ使える(・・・)のよ? まあ、普段はあえて使うこともないのだけれど」


イーグル・アイの言葉と共に、黒と青の魔力がゆれる。


ここのポータルは、まだ繋がっているということか。


「ちなみに、私だけじゃあないわよ? ねえ、ルフ?」


「†残されしは我等の元へ通ずる道のみ†」


ラディスの背後、イーグル・アイと挟み撃ちになる形で、もう一人の悪魔が既に現れていた。


全身黒ずくめ。長い前髪で左目を隠し、その髪を掻き分けて禍々しい角が生えている。


その特徴は紛れもなく……『カルテット』が一人、ルフ・ザ・ロックであった。


前にはイーグル・アイ、後ろにはルフ・ザ・ロック。完全なる挟み撃ち、四面楚歌、逃げ場なし。


「さあ、剣聖サマ……一緒に、来てくれるわよね?」


イーグル・アイが妖艶な笑みを浮かべて、そう言った。

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