死闘!パシフィックオーシャンに潜むもの!~海戦2~
太平洋にて国連軍の巡洋艦三隻はドレッドノートの支援任務を遂行すべく南東より接近するギガントを観測していた。午前0時50分、隊列を先頭の進む巡洋艦がレーダーで敵ギガントを確認した。
「ギガント確認、こちらに近づいてきます。時速472キロです。」
「了解、ドレッドノートが到着するまで時間を稼ぐ。」
こちらへ近づいてくるギガントに対して3隻は一斉に魚雷を撃ち込む。するとギガントの緑色の眼が光り甲殻が爆発をはねのけそのまま進む。
「次は電磁ネットを張れ!急げ!」
後方の2隻の巡洋艦が左右に散り徐行、2隻に取り付けられた漁網のような電磁ネットが広がりギガントの進路を立ち塞ぐ。ギガントはそのまま直進し電磁ネットに引っかかり、その勢いで二隻は少し引っ張られるが何とか持ちこたえる。
「よし!電流を流せ!」
バチィと音がして電流が電磁ネットに流れ、その電流はギガントに襲い掛かる。
「グギャアアアアアア!!」
海中から断末魔が響く。
「ギガント、350キロまで速度低下!効果ありです。」
「よ、よし!続けろ!」
ネットに引っかかったギガントが身悶え速度が落ちる。
(行ける!このまま行けば到着までなら余裕だ!)
三隻の船員たちがそう思ったとき、海中のギガントの甲殻に変化が起きた。甲殻はそれまでの固い甲羅のような材質からゴム質のものに変化した。この変化により電流の効果が薄れスピードがまた上がった。
「司令!また速度が上がりました!このままだと船ごと引っ張られます!」
「あともう少し…もう少しだ!」
轟音を出してエンジンを鳴らし巡洋艦は船体を安定させようとする。ギガントは進路を邪魔するネットに苛立ちを覚えたのか小さな目をもう一度緑色に光らせた。
「ギガント浮上!このままだと引っ張られて船が転覆します!」
「クソッ!やむえん電磁ネットをパージする!」
2隻から電磁ネットが取り外される。その直後海面が大きく揺れギガントが大きく空中へ飛び出した。
「グギャララララララ!!!!」
ギガントは手足の生えたサメのような姿を空中で晒しながら、鋭い牙の生えた口から大きく咆哮した。そして口から大きな光を発し顔を三隻の巡洋艦へ向けた。ギガント砲発射の体勢だ。
「クソッ!これまでか!」
誰もが諦めかけたその時、ギガントが突如爆発し海中へと墜落していった。何が起きたんだとどよめく船内に通信が入る。
「こちらドレッドノート3号機ドレッドノートクライシス!作戦海域に到達、これより作戦行動を開始します。」
ドレッドノートクライシスがバズーカを構えてこちらへと近づいてきていた。
「危ない…ぎりぎりだったか…」
つい先ほど「セイバー」から出撃した俺は交戦中の巡洋艦を発見、ギガント砲の光が確認できたので咄嗟にバズーカ砲を装着し発射した。
「国連軍のみなさん、こちら地球防衛軍ドレッドノートクライシスです。援護をお願いします。」
「よく来てくれた!こちら国連軍了解、全艦照明弾を放て!」
向こうの司令官の指示が聞こえると三隻からドーンと光の玉が発射された。ギガントはまだ海面近くを漂っている。それを確認した俺は後部に追加されたスクリューを起動し、海中へと入る。現在午前1時3分、真夜中ではあるが空に打ち上げられた照明弾のおかげで海面付近の視界は鮮明だ。
「もう一度潜水される前に仕留めてやる!」
俺は両手でバズーカをを構えギガントに接近しながらロケットを発射した。しかし海中でギガントが発生させた波の影響で弾頭が上手く進まず外れた。そうこうしているとギガントはこちらに気が付き目を光らせ突進してきた。それに気づいた俺はライフルを手放し両手を前に出してその突進を受け止めた。ブースター、スラスター、スクリューと機体の全推進力を前へと向けギガントを止めようとする。こちらも水中で自由に動くため推進力を強化しているが、さっきまで時速500キロで海中を進んでいたギガントはそう簡単には止まらない。どんどんと押されて海中へと潜っていき海面の光源から遠ざかっていく。だんだんと暗くなりドレッドノートクライシスのラインの小さな赤い光とギガントの緑色の細い眼光のみが存在する世界が生まれてしまった。
「クソ!クライシスブレード!」
スクリューの横に取り付けてある剣を取り出し、緑の眼光を頼りにギガントの頭部へ何とか突き刺した。緑色の体液が水中ににじみ出る。
「グオオオオオオ!!!!」
水にこもった断末魔が聞こえ悶えるギガント。先程ゴム質に変化した甲殻は普通のギガントのそれよりも柔らかくなっているようで剣は頭部をきれいに貫通した。ドレッドノートクライシスは間髪を入れず右腕で頭部の角にパンチを連続して繰り出す。しかしなかなか壊れるものではない。すると前のギガントのように角が光り出し剣が海中へと放り出され頭部が再生し、暗闇の中で唯一相手の位置を把握できる情報源であった緑色の眼光がフッと消えた。
「何!消えた!」
俺が慌てたときにはもう遅く、ドレッドノートに不可視の攻撃が襲い掛かる。衝撃がコックピットに伝わる。モニターには機体の各部位の損傷具合が映し出されアラートが鳴り響く。
「クソ!どこだ!」
ブンブンとレーダーの反応を頼りに腕を振るが敵のスピードはこちらを超えている、捉えきれない。この暗闇の水中戦ではこちらが圧倒的不利なのは明らかだ。どうにかしてもう一度視界を確保しなければいけない。そう思っていると巡洋艦から通信が入る。
「こちら国連軍、今三隻でそちらへ向かい再度照明弾を発射する。何とか持ちこたえてくれ!」
なんとか持ちこたえて見えるようになればこちらにも勝機がある。レーダーを凝視し攻撃が来る方向を予測し回避に専念する。だが素早いやつの攻撃を完全に捉えることはできず被弾を重ねてしまいレーダーもいかれてしまった。巡洋艦はもうそこまで来ている音がする。だがあと一撃喰らってしまえば戦闘継続も危うい。
「まだだ!レーダーなんかなくても死ぬ気でかわしてやる!」
そう自分に言い聞かせ集中すると小さな声が聞こえた。
いい心意気だ、少し力を貸してやろう
あの時の声だ。そう思っていると俺は無意識に機体を右に動かしギガントの突進を交わしてその尾びれを瞬時に左腕で掴んでいた。何が起きたのかは全く分からない。
「だが…捕らえた!」
少しひるみ速度を落としたギガントを見て、俺は掴んだ尾びれを両手で持ち力いっぱいと振り上げろと念じる。ドレッドノートクライシスの全身が赤く光り、ギガントは水上のほうへと振り投げられる。それと同時に
「照明弾発射!」
と巡洋艦から通信。パァっと水上が光り出し明るくなった水面付近のギガントの姿が影のようにくっきりと浮かび上がる。そして同時にドレッドノートクライシスの胸部にもV字の炎が浮かび上がった。水中であろうと赤く輝き燃え上がるその炎を感じて俺は叫ぶ。
「ビクトリィィィ!!!!」
水中へ投げ出されたギガントは何とか体勢をを立て直そうとするが腹部が上に浮いて打ち上げられている今の状態から立て直すのには時間がかかる。もがいているうちにV字はさらに強く輝き
「ブラスタァァァァ!!!!」
発射されたVの炎は水面に大きな波を立てながらギガントを空中へ吹っ飛ばしそして貫いた。
「グギラアアアアアアアアア!!!!!!!」
断末魔とともにギガントは爆発した。ドレッドノートのスクリューを何とか起動させ水上に出ると立った水飛沫が雨のようにドレッドノートクライシスに降りかかった。
「作戦目標撃破しました!」
大きく揺れる波に対して機体のバランスをとりながらそう通信機に告げた。




