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【17】 私より年齢が3倍以上なのに俊敏に旋回できるんですか?

その夜、宿舎の食堂にて。


田並「速水さん、デビュー戦見させてもらったよ。いい走りだったねぇ」

爽香「えーっ! ちっとも良くなかったです!」

田並「どうしてだい?」

爽香「最下位の6着でしたし、最初のターンもターンマークから凄く離れちゃいましたし……」


田並「そうかねぇ。最初からそんなに欲張っちゃいけないよ。先は長いんだから」

爽香「それよりびっくりしたのは、2号艇の立野さんが1着になったことです。60代の方ですよね?」


田並「うん、立野さんはベテランだからね」

爽香「2コースから差し切ったんですか?」


田並「そうだよ」

爽香「私より年齢が3倍以上なのに、あんな俊敏に旋回できるんですか!?」


田並「ハハハ、お嬢さんは面白いことを言うねぇ」

爽香「あっ……すみません、はっきり言いすぎました」

田並「でもね、経験値が向こうは君の千倍以上あるんだから」


爽香「まあ……確かに私のレース経験は『1』ですけど。あ、田並さん、明日は私と同じレースですね!」

田並「そうだねぇ」

爽香「容赦なく行きますからね!」


田並「ハハハ! 頼もしいねぇ。レースになれば先輩も後輩もない、全力でぶつかってきなさい」

爽香「はい! ぶつかったらごめんなさい!」

田並「かまわんよ、楽しみにしているよ」


田並が席を立つと、隣の八巻恵夢がハラハラした顔で声をかけてきた。

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