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ANOTHER REALITY  作者: マンドラゴラ
第二章 善悪が交差する口
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第二十七鐘 一仕事

 買い物を済ませて宿の一室に戻ったハイトは、先に戻っていたロゼに祭りに誘われる。自分とだと楽しめないと断るハイトに、ロゼはハイトの思い違いを正し、二人は一緒に祭りを楽しむ事を約束した。

 夜が明けて、祭りの開催日の前日。


「ほらほらどいたどいた!」


「その飾りはこっちに飾ってください!」


「ちょっと、そこの人サボらないでよ!」


 昨日よりも活気付く中、


「はい、じゃあこれよろしく!」


「…………ああ」


 俺はその活気渦巻く中に巻き込まれていた。






 何故俺が人混みの中にいるのか。

 事の始まりは起きた直後からだ。

 眼が覚めると、俺の眼の前にメッセージアイコンが浮かんでいた。

 何かと思い、それをクリックしてみると、そこから小さいウィンドウが現れ、


『おはようハイト。私はお祭りの準備を手伝ってくるね』


 と言う書置きが表示されていた。

 送り主はロゼだ。大方自分も参加する祭りだから、準備くらいは手伝いたいのだろう。

 俺は屈伸してから服装を普段着にチェンジし、軽く朝飯を食べると、俺は外に出た。

 シンベルの中は村人の声が行き交っていた。

 祭り用の飾りや道具を運ぶ者や、それを受け取り飾ったり設置したりする者、とにかく、人間の慌ただしい行動がそこらじゅうに見える。

 さて、この中にロゼがいるわけだが……。


(旅人の俺達に手伝わせてくれるのか?)


 この村における俺達の立ち位置は他所者だ。明日に行われる祭りはシンベルの古くからのしきたりによるものだ。無関係の旅人の手を借りるだろうか。


(……それなら、祭りに参加出来る事自体おかしな話になるな)


 旅人の手は借りたくないのに、旅人を参加させたら本末転倒だ。


(ロゼの口振りから参加出来るようだから、村人はあまり気にして無いのか?)


 邪魔にならない所で考えていると、


「そこのアンタ! 暇なら手伝っておくれ!」


 いきなり中高年の小母さんが俺の前に現れ、足元に重そうな荷物を置いた。


「……は?」


 突然の事に、呆然となり言葉を返せない俺。

 その無言を肯定の意に取ったのか、見知らぬ小母さんは荷物を放置して何処かに行ってしまった。


「…………」


 足元には運んで欲しそうな荷物がこっちを見ている。


(これどうすっかな)


 俺にこの荷物を運ぶ義務は無い。何故なら、俺は了承してないからだ。


(……まあ、ロゼが手伝っているのに動かないのも気分悪いしな)


 屈んで荷物を持ち上げる。

 重そうに見えたそれは、俺の力の値が高いからか軽かった。


(さて、一仕事しますか)


 その結果、目的地を聞かされていない俺は、村の中を縦横無尽に駆け巡ることになった。

 人に物を運ばせるならちゃんと目的地を教えておけよあのババア。






 運んで運んでまた運ぶ。

 今現在、俺は一流のパシリとして活躍していた。

 村人から配達物を受け取り、目的地まで運ぶ。配達物を送り届けると、村人の笑顔と感謝、そしてズッシリと伝わる新たな配達物が俺に渡される。

 村人の確かな思い(重い)が、俺を次の目的地へと駆り立てるのだ……。


(どこまで他所者を扱き使えば気が済むんだよ!?)


 村人は遠慮をするどころか、当たり前のように俺をパシリに使った。どれだけ運んだか数えていない。

 高Lvのステータスだから良かったものの、もし貧弱な数値だったら既にノックアウトしている自信がある。


(一仕事どころの話じゃないなこれ……)


 そう思いながらも、自分でやり出した事だ。途中で投げ出さないで黙々と働いた。


 <アークシェイク>

 地魔法スキルの一つ。自分の周辺に地震を起こさせる。威力は無に等しいほどだが、地に脚をつけているキャラクターの行動を制止させる。敵味方無差別に影響を与えてしまう為、使い所が難しい。属性は地。禁止時間は3,1秒。

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