番外編12 友
戦いが熾烈を極める中、グルトがついにロゼを殺そうと本気を出す。しかし、突然左胸を押さえだすグルトに、クリフは決着をつける為、渾身の一撃を叩き込む。グルトはそれに抵抗せず、地面に倒れた……。
これで正しかったのだろうか。
他の団員達を帰らせ、私とラナしかいなくなった部屋で、私は何度も自問自答してた。
いや、これで良かったのだ。仲間を一人も死なせず、無事に帰還する事が出来た。
これで……良かったのだ。
私はそう自分に言い聞かせていた。
「……そこまで落ち込むなんて、あなたらしくないわね」
後ろから声が聞こえる。振り向いてみると、其処には愛しい女性が立っていた。
そう言う彼女の表情も暗いままだが。
「仕様が無いわよ。あの時は皆を護るので必死だったんだから。グルトだって最期は怒ってなかったでしょ?」
ラナが私の横に座りながら言った。
実に冷たい事を言うが、私はそれは私を励ます為に言っている事だと理解している。彼女は本当は彼を助けられたのではないかと後悔しているのを、私に気づかせない様にしているのだろう。私をさらに落ち込ませない為に。
「分かってる。分かってはいるんだ。だが……」
私は彼女の言葉を聞いても、まだ悩んでいた。
グルトはラナと同じく幼馴染だった。小さい頃から何時も三人で遊んでいたものだ。
私とラナが喧嘩をした時は、何時もグルトが間に入って仲立ちをしてくれた。私とラナが恋人関係になったのも、グルトのおかげだ。
私にとってグルトは、かけがえの無い親友だ。
「…………」
私は眼を瞑って、グルトの最期を思い出していた。
彼の最期の表情は本当に穏やかなもので、戦っている時のグルトと同一人物とは思えない程だ。
彼は死ぬ前、私の眼を見ながらこう言い残した。
――気をつけろ――
彼が何に対してそう言ったのかは分からない。
しかし、彼は数日前から様子が可笑しかった。まるで誰かに操られているかのように、心が変わった。
彼の最期の言葉は、これと関係がある筈だ。
そう思えるのは、戦いの時の彼の行動だ。
グルトはやろうと思えば、何時でも私達を殺せた。そう、私達が着く前に、彼はロゼとソールを殺す事が出来たのだ。
それは手加減していただけだと思う人もいるだろう。
だが、私はこう思っている。
グルトは己と戦っていたのだ。己が仲間を殺させないように、あれから一人で戦い続けていたのだ。
彼は最期まで、私を、ラナを、仲間達を守り続けたのだ。
なのに、私は……。
「無理しなくても良いよ」
不意にラナが私を優しく抱きしめる。
「私の前では我慢しないで。あなたの悲しみも私も一緒に背負ってあげるから。男の人でも、泣きたい時には泣いて良いんだよ」
ラナの暖かい声が私の心に届き、自然と、目頭が熱くなった。
「――――ッ」
握り締めた拳が震える。私は今は彼女の好意に甘える事にした。
私は団長として、「天弧の遊楽団」の団員達を守り抜いた。
その代償として、私は人として、一人の友を無くした。
<カプース>
剣スキルの一つ。放たれる攻撃はランダムで、使用者も分からない代わりに、相手に攻撃を防ぎ難くする。硬直時間は、どの攻撃方法になっても約2秒。
<追伸>
前の話と比べると短いですね。この話はクリフがどういった感情になっているかを個人的に書きたかったので、書かせて頂きました。
グルトの最後の言葉……一体どう言う意味なんでしょうね……?
そして次回……ついに何かが終わります。




