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第16話 まさかの克服


「この前の返事、どうなったかな?」


今日は、アレックスが尋ねてきました。


いえ、今日も、と言ったほうがいいでしょうか。先日もいらしたばかりです。


「ごめんなさい、アレックス。お父さまも、お母様も忙しくて、まだ聞けてないの。」


「そうなんだね。この国の王様と王妃様だからね……。それは、お忙しいよね。」

「ところで、最近、執事のセバスチャンを見ないようだけど」


アレックスは、セバスチャンがいないことを気にしているようでした。


「ええ。実は急にいなくなってしまって……」


「かわりに、今はメイドのリタがいてくれますの」


リタが、横で頭を下げた。


「へぇ、そうなんだね。これはチャンス……、いや、寂しいね、ナターシャ」


あら、寂しそうに見えてしまったかしら。


これはいけませんわ。


「大丈夫ですわ。メイドたちが話し相手になってくれますのよ」


仲良くなったメイドたちも、うなずいております。


「そうなのかい?よかったら、僕も話し相手になるよ」


アレックスが、私の手を取りました。



手を取った?


……あらっ、


私、今、手を握られていますわね??


いつもなら、頭が真っ白になって、固まってしまうのに、何も起こりません。


しかも、手袋をはめていないのに。



「ありがとう、アレックス」


不思議に思いながらも、ニッコリしてお礼を言うと、私は手を離しました。



……なぜ、何も起こらなかったのでしょう?


アレックスは幼なじみだから特別なの?


それとも、たまたま?



私は、アレックスが帰ると、居ても立っても居られなくなり、色々な人と試してみました。


「リタ。私と手をつないでちょうだい」


「いいですよ、お嬢様。急にどうしました?」


不思議そうな顔になりましたが、手を出してくれました。


私は恐る恐る、手を出します。


指先で、ちょん、と触れました。


大丈夫です。


次に、手のひらまで握ってみます。



――やっぱり、何も起こりません。



あ、平気ですわ。


今日は、みなさんと手を繋いで交流がしたい気分ですの!!



よくわからない理由をつけて、(なぜか、みなさんは受け入れてくれました)他のメイドとも次々に手を繋いでみました。


やっぱり、大丈夫です。



これは、もしかして、もしかすると、



――私、人に触れられるようになりましたわ!!


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