第11話 怒らせた?
――完璧な私を目指し、成長した今、ほぼ理想の自分になれたと自負しておりますわ。
なのに、唯一、完璧じゃなかったことは、人の肌に触れられないことでした。
これも、手袋を嵌めていれば大丈夫になったのに……、セバスチャンに、手袋を取られてしまいました。
今日は、いつもより強く手を握られているような気がします。
「セバスチャン、離しなさい……」
こんな時は、なぜか強く言えない私。
固まってしまいながらも、好きな人と手を繋いでいることが、嬉しいと思う気持ちもあるのかもしれません。
「お嬢様……。手袋は、いつもあるとは限りません。」
「もしも、アレックス様が、手袋を外してしまわれたら、どうするおつもりだったのですか?」
セバスチャンが、私を覗きこんだ。
はっ!今、私、怒られている!?
当たり前かもしれませんが、気分のいいものではありませんね……。
「セバスチャン、悪かったわ。」
「お願いだから、怒らないでちょうだい?」
セバスチャンは、驚きの表情を浮かべました。
「私……、怒っていますか?」
「ええ、セバスチャン。少し怖いわ。」
セバスチャンは、私からようやく手を離しました。
「お嬢様、失礼いたしました。」
「私、言い過ぎたようです。」
セバスチャンは、手袋を取り出すと、そっと私の手に嵌めてくれました。
「お嬢様……。」
「なに、セバスチャン?」
「……いえ。やっぱり、なんでもございません。」
セバスチャンは、立ち上がると、
「すみませんが、少し部屋に帰ります」
と、言い残して行ってしまいました。
――なんだか今日は、変なセバスチャンですわ。




