登場人物 (※ネタバレ含む)
◆クライス・イエローサファイア
一話で母親を追い出した時点で五十歳。
イエローサファイア子爵家の跡取り息子であったが、長年母親に抑制されて育ってきた。しかし母親からの抑制に心折れそうになりながらも絶対に折れて追従する事がなかった。ある意味その頑固さは母親譲り。
一時は全うに母親を追い出そうとした事もあったが、その際、自分と同じように虐げられていると思い信じていた父親に裏切られた事から、家族という存在への拒絶感が強い。「他人」には親切に、優しく振舞えるが、「家族」になるとどうなるか分からないという不安感を持っている。
仕事人間。一年中仕事をしていても特に苦にならない。止まれないサメみたいな人間。死ぬまでずっと仕事をし続けていた。
最終的にはエーベンローデが亡くなった数日後に亡くなり、夫婦そろって葬式をされた。
◆エーベンローデ・G・イエローサファイア
一話でクライスと会った時点で四十七歳。
十七歳で無理矢理姉の代わりに結婚させられた後、三十年間まともに誰かと会話する事もなく押し込められていた事から、精神的にはほぼ十七歳プラスアルファぐらいでしかない。
昔から家の中心は姉のアルテローデで、後回しにされたり面倒な所だけ押し付けられたりしていた。姉が崖から落ちかけた時に変わりに崖に放り投げられ、足を負傷。杖を突きながらならゆっくり歩けるが、走ったり運動したりは一生出来ない体になった。
姉アルテローデとは似ていない。
他で生きて行く自信もなく、クライスの元で仕事をしない子爵夫人として生きる事を選ぶ。ただ本人の元々の性格などもあり、何もしていない事に申し訳なさを感じるようになり、最終的に手慰みに始めた刺繍や編み物などを慈善活動に展開する事となる。
当初は特別上手という訳ではなかったが、していくうちに上手くなっていく。
刺繍を通して領地の孤児や貧しい子供たちから慕われるようになり、親しみを込めて「ローデ母様」と呼ばれたりしていた。
最終的にはクライスより先に亡くなる。棺には猫のぬいぐるみが一緒に入れられた。
◆後継者
イエローサファイア伯爵家(本家)のご令嬢。名前は最終的に出なかった。実家では跡を継げそうにもなかったので、王宮などでバリバリ働こうと思っていた時に実家から声がかかり、領主の仕事はやりがいがありそうだ、と志願した。
仕事がしたい仕事人間。クライスと同種の為、そういう意味では分かり合う側面が強かった。そういう訳でクライスとの関係は良好であったが、立場上クライスたちの養子となったものの、実際の所は仕事の上司と部下という関係性だった。
実家の斡旋でお見合い結婚。子を数人産むが、出産直前まで(本人の希望で)働き続け、出産後もスポンと産んだ後乳母に任せつつ仕事に復帰した。
エーベンローデとは嫁姑問題のような話もなく、とても良好な関係を築いた。自分が仕事一直線だった分、乳母と共に子の面倒を見てくれたエーベンローデにはとても感謝していた。
エーベンローデの亡くなった数日後にクライスが亡くなった事に対しては「最期まで家に都合よく(時期が近いので纏めて葬式の対応が出来、出費という意味では抑えられた)仕事していきましたね」と言い、夫から流石に不謹慎じゃない? と言われた。
◆後世の子爵家の人々
クライス、エーベンローデの両名と面識がある世代では特に事実の改変はなかった。
だが歴史が下るうちに、自分に都合の良いように脚色する者が現れ始め、最終的には事実と違う事が「真実」として世に残ったりするようになった。
◆エーケニス
クライスの友人。貴族学院卒業後はクライスと共に仕事の為、他国をいくつか回った。その後、帰国に際し、これから大変な状況の実家を継ぐ事になるクライスを手伝う為、侍従としてついていった。
◆トリメル
エーベンローデの侍女。帰国の際にクライスが、上司の伝手などを使って雇い入れた「女を物理的に押さえつけられる」侍女。実際の所は妻はアルテローデではなくエーベンローデであったので、押さえる必要もなく、侍女として生き続けた。
若いころは騎士を目指していたが、ある時大けがを負って騎士として働く事は難しくなり、侍女になった。ヴァーリャとは若いころ、同じ師に師事していた。
◆ヴァーリャ
エーベンローデの護衛騎士。帰国の際にクライスが、上司の伝手などを使って雇い入れた「女を物理的に押さえつけられる」騎士。女性なので異性が入れないような場にも堂々と付き添う事が出来る。
トリメルとは若いころ、同じ師に師事していた。姉妹弟子が元気に侍女として仕事をしているのを微笑ましく見ている。
◆アルテローデ・グリーンサファイア
一話軸では五十歳。
グリーンサファイア子爵家の令嬢。エーベンローデの姉。顔が良く、母から甘やかされて育った。とても傲慢で自分の思い通りにならない事はないと思って生きて来た。クライスの事は初めて自分の思い通りに動かなかった異端者であり、嫌っているが、領地持ちの子爵夫人になれるなら、と許してやろうと思っていた。しかしクライスが出奔し、辱めに遭うぐらいなら、と妹のエーベンローデを差し出した。
その後両親の伝手で別の家の人間と結婚。二人子を儲けるが、夫から愛想をつかされて四十八歳の時に離縁し実家に帰される。以後、再婚するでもなく、何かしら働くでもなく、実家に戻った。離縁後は、子供たちからの連絡もない。
◆モイリーン・グリーンサファイア
一話軸では七十歳。
グリーンサファイア子爵夫人。アルテローデとエーベンローデの母。
自分の顔が嫌い。夫との結婚はお見合いによるものだが、顔の良い夫と結婚出来る事をとても喜んだ。
夫に似て美しい長子アルテローデを溺愛し、次女エーベンローデを蔑ろにし続けた。エーベンローデも結婚し、アルテローデも結婚し、幸せに暮らしていたが、夫が病気で寝たきりになった事で人生が一変してしまう。
クライスが帰って来た事、エーベンローデが追い出された噂がない事から、エーベンローデの存在を思い出し、助けを求めて手紙を送った。
◆レーペル・グリーンサファイア
一話軸では七十五歳。
グリーンサファイア子爵。アルテローデとエーベンローデの父。元々はグリーンサファイア伯爵の子。爵位は貰えたが働かなくては生きて行けない立場となった。が、本人が働く事が好きで天職だった事もあり、特に問題はなかった。
独身の頃は自分の顔が美形寄りである事へ自覚がない為、それ目当ての女が度々問題になっていた。結婚後は家族の事は妻がしているからと特に顧みる事もなく、二人の娘に関しても妻からの情報(優秀な姉、どんくさい妹)だけで判断していた。顔の美醜では判断していなかったが、優秀なアルテローデの事は重用し、優秀でない妹エーベンローデの事は下に見ていた。
貴族家当主として子らに良い結婚をという事で、斡旋のあった通り、アルテローデをクライスと結婚させようとしたが、クライスの出奔で考えを変える。優秀なアルテローデに瑕疵をつけない為、期待していないエーベンローデを差し出した。
……と、時折突発的な出来事はあれど、基本的には自分の思うがままに進んでいると思っていたが、ある時急に病気を発症、寝たきりになってしまう。金がないので知識のない妻に介護されており、状態は悪い。
◆ブルクヒルデ・イエローサファイア
一話軸では七十八歳。
イエローサファイア子爵だった。クライスの母。諸悪の根源。父親が「年子であるし、より優秀な方に跡を継がせようか」という方針であった事もあり、弟とはきわめて険悪な関係で育った。最終的に弟を蹴落とし領地の端で小さい仕事をさせた。
その後政略結婚で血筋の良い夫を得、望み通り息子を生む。しかしクライスの教育の過程で息子から反発される事が多く、苛烈過ぎる躾を伴う教育をし続けた。結果として、クライスに出奔される。
出奔した時点で代わりの花嫁としてよこされたエーベンローデには殆ど興味をなくしたが、「自力で逃走出来ないならクライスを捕まえた時丁度良い畑になる」と判断し、飼い殺していた。
これでも一応昔は優秀な部類であったが、年を経るごとにだんだんと理性がなくなる欲望を優先させるようになった。最終的にクライスによって国から罰され、処罰を受けた。
◆バルテル・イエローサファイア
一話軸では故人(享年四十七歳)。もし生きていたら一話軸では七十二歳。
イエローサファイア子爵の夫。クライスの父。
影が薄く、殆どの人の記憶に残っていない。
これでも一応生きていた時は、辛うじて妻のストッパー的な役目を果たしていた。彼が早々に死んだ事が、妻がのちに理性を失うのを速めた面もあるかもしれない。
それはそれとして、息子の幸せより自分の立場を選んで、妻に告げ口をしたりした父親。
蛇足
当初はもっと救いがないオチの予定で書き始めていました。なので、作者的には今のエンドはハッピーエンドになったと思っております。しかしいざ投稿するときに、ハッピーというには薄いか……? とか悩み、何エンドというのが適切か考える為に●●エンドを調べたりしてました。読者の皆様的には、何エンドだったでしょうか?




