表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
39/54

12-3

 その日、糸ちゃんとも話し合ったお母さんは、あたしと一緒に暮らせる準備ができたら、お父さんと迎えに来ると約束をして帰っていった。


「ごめんね、糸ちゃん」


 夕食を囲んで、あたしは糸ちゃんに言った。


「どうして謝るの?」


 糸ちゃんはにこやかな顔であたしに言う。


「だってあたしがいなくなったら、糸ちゃんまたひとりになっちゃう」


 あたしがつぶやくと、糸ちゃんは笑った。


「わたしのことなんか気にしなくていいんだよ。もともとひとりだったんだし。つぐみちゃんはやっぱりお父さんとお母さんと暮らしたほうがいいよ」

「でも……」


 あたしは「今は本当に彼氏なんていらないの」と言った糸ちゃんの言葉を思い出す。

 糸ちゃんだって寂しいんじゃないのかな。

 お兄ちゃんのせいでこんなことになってしまって……糸ちゃんがずっとひとりでいることになったら、あたしは嫌だ。


「糸ちゃんも一緒に暮らさない? あたしとお父さんとお母さんと一緒に」


 糸ちゃんはまた笑って、あたしに言う。


「ありがと、つぐみちゃん。でもわたしは本当に平気だよ。それよりあと少しの時間楽しもうよ。まずは土曜日!」


 糸ちゃんがいたずらっぽい顔であたしを見る。


「つぐみちゃんの人生初の、路上ライブを成功させなきゃ!」

「う、うん」


 なんだかすごく緊張してきた。あたし上手く歌えるかな……。


「上手くなんか歌えなくていいんだよ」


 あたしの気持ちを察したように、糸ちゃんが言う。


「つぐみちゃんは歌い始めたばかりなんだから、上手くなくて当然。でもつぐみちゃんには、何かを伝える力があると思う」

「そんなの……」

「あるよ。レイジと歌ってるつぐみちゃんの歌聴いて、感動しちゃったもの。それにつぐみちゃんの声はすごく綺麗。まるで小鳥が空を飛びながら歌っているみたいなの」

「小鳥が?」


 糸ちゃんが笑ってうなずく。


「自信を持って大丈夫だよ。レイジと響くんもついてるんだし」

「……うん」


 あたしも糸ちゃんの前でうなずいた。


「あたし……やってみる」


 糸ちゃんはあたしに「応援してるよ」と声をかけてくれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ