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それぞれの探すもの

ここにどこまでも続く平原が広がり、平原を二つに割るように土でできた一本の道があった。

その周りには家は一軒も建っておらず、ただ平原が続いている。遥か彼方に山があるらしいが、その影すらも見えず、まっさらな緑が広がっているだけだった。

そんな広い平原に伸びる一本の道の途中に生えた木の影で、1組の少年と少女が草の上に腰を降ろして休憩をしていた。


「だいたいホントに『山』なんてあるのか?」

「私が読んだ本に書いてあったもん」

「読んだことあるって、実際には伝説上のものだぞ? 誰も見たことがないかもしれないんだぞ?」

「でも文献が残ってるってことは、山はあるってことでしょ」

「はぁ・・・。わかったって。もう少ししたら行くか」

「そだねー」


これだけ広い平原だと水すらも惜しいのか、少年はペットボトルに入れた水を少しだけ口に含むと、フタを閉めて、リュックに入れた。

少年は汚れてもいい格好としてジーパンをチョイスし、上はベージュのTシャツに黒いカーディガンを着ている。晴れてはいるが、平原ということで風が強いので、冷えないように着ている。

少女は少年よりも少し小さめのリュックから、飴の入った缶を取り出すと、一粒出してそれを口に放り込む。甘いものが好きなのか、飴の甘さに少し頬をゆるめた。

少女は緑のカーゴパンツに、上は白いポロシャツに、少年と同じく黒いカーディガンを羽織っている。

そんな少女を少年は横目でチラチラと見ていた。


「なに?」


その視線に気がついた少女は、横目で少年の視線を受け止めた。


「いや、別に」

「・・・もしかして飴ほしいの?」

「べ、別になんでもないっての」


図星だと判断した少女は、リュックから飴缶を取り出し、少年のほうに差し出す。


「ほい。手だして」

「だからいらんて。その飴はお前んだろ」

「飴ぐらいあげるのに」


断固拒否する少年の様子に、少女は渋々といったふうに飴缶をリュックにしまった。

その後も会話らしい会話はなく時間は過ぎていった。

少しして、少女が立ち上がって少年に手を差し出した。


「行こっか」

「おうよ」


少年はその手を取って立ち上がった。


「いてっ」

「・・・おい」


少女は少年を引っ張って立ち上がらせた際に、勢いを付けすぎて反動で尻餅をついてしまった。

そんな少女を小さくため息をついた少年が手を引いて立ち上がらせた。

そして二人はやってきた方向とは逆に歩き始めた。


二人が向かうのは『山』。

この世界に『山』というのは伝説上のものとなっている。

著書によると『たくさんの土や石で出来た鉱石などを含む巨大な丘』と記されていた。

写真などは無く、誰かが描いた絵でしか存在しないものだった。

そんな『山』を目指して二人はただ歩いているのだ。

この大地のほとんどを占める『平原』、その『平原』のところどころから湧き出る湧き水から出来る『湖』や『池』、そして『山』。ほとんどが陸地で占められているこの大地。

主な食料は、畑で作られるパンや米や野菜、平原に生息する動物の肉などが食べられており、人間も動物も生きるために必要な『水』が豊富な『湖』や『池』の近くに集落や町があることが多かった。

その集落や町には学校もあり、それなりに発展している町などでは、経済の概念も存在していた。

しかし集落や町のほとんどでは『助け合い』の精神が大きく、畑で出来たものを皆で分けあったり、動物や虫から出来た糸などで作られた服を配ったりしていた。なので技術は高くても、それを独り占めしたりということはないのが、この大地の特徴だった。

この二人もそんな集落の一つからやってきた。

とはいっても、少女と少年の集落は元々違うところにあり、少女が少年の集落にやってきたのがすべての始まりだった。


少女は、ずっと昔から『山』に憧れており、大地ばかりの世界に『山』という巨大なものがあると思うとワクワクが止められなかったのだ。そんな少女は、学校である程度の教養を学んだ後、親の了解を得て、集落を飛び出して『山』を探す旅に出たのである。少女の住む集落では、16歳からは立派な大人として扱われるため、旅に出たいと言った少女を誰も止めることは無かった。

そして少女が旅を始めて二つ目の集落で、少年と出会った。

少年は少女と同じ歳で、学校も卒業し、これからは父や母と共に畑を耕しては収穫しての繰り返しの人生を送っていくはずだった。

そんな時に、少女がこの集落にやってきて、少年の家に宿泊をしたのだ。

その頃の少年は、これからの単純な人生に意味を持てなくて、生きていたいと思う気持ちがとても弱かった。もしもこの瞬間に野犬に襲われでもしたら、躊躇なく餌となっていたことだろう。

しかし明るく目標を持っている少女の話を食事中に聞き、歳が同じということもあって食事の後も話は弾んだ。

そして少年は少女に今思っていること、『生きる意味がわからないこと』ということを伝えると、少女は

ニカッと笑みをつくり、『じゃあ一緒に来てよ。話し相手がいたほうが楽しいもん』と言った。

次の日の朝、少年は両親に自分も旅に出ると告げると、母親に抱きしめられてから笑顔で出発をした。


少女は『山』を探すために。

少年は『生きる意味』を探すために。

こうして二人の旅は始まった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


新連載となります。

はじめましての方も、前作等からの方もよろしくお願いします。

のんびりとお楽しみくださいませ。

ジャンルはよくわからなくなったので、『その他』を採用しましたー


次回もお楽しみに!

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