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8/45 始動ー数字にならないデータ

「じゃ、具体的な話をしようか」


高収入が見込めそうなので、神野は機嫌よくカフェのテーブルの上にノートPCを開いた


「俺のリサーチの結果だと、イケそうなのはこの二人だ」


「大塚と中西か」


「他の二人はもう出馬表明していて、たぶん選挙コンサルがついてる」


「そんなことわかるの?」


「ホームページやSNSがプロ仕様だからな

 それなりの会社が入っているはずだ」


「なるほど、見る人が見るとわかるんだな」


「大塚と中西はどちらも関東近県で市の規模も小さめ

 有権者は10万人より少ないな

 大塚のとこは現職が強いけど、ジイサンなんで来期は出馬しない可能性が高い」


「新人同士の争いなら勝ち目が出てくるかもな」


「中西って人は学者さんだ

 WEBに興味が薄くて、いまどきホームページすら持ってない

 ただ、こちらも現職が降りるのが決まってて、対立候補は少ないかな

 前回の市長選に出てるけどパッとしなかったから、次回出る気があるかどうかが問題だ

 普段は政治活動していないし、アポとったが返事が来ない」


「なかなか厳しいな」


そう言う倉田に神野は苦笑いした


「おまえ、わざと厳しいの選んで来たんだろ」


「それでないと無名のプロデューサーなんか雇ってくれないし」


「大塚は現職の議員だから、議員辞職しなきゃならないというハードルがあるが」


「それは俺も気になってた」


「でも、この人、出馬する気じゃないかな」


「なんでわかるの?」


神野はノートPCを操作して、大塚のホームページとSNSを画面に出した


「彼の主張が微妙に変わってるんだ

 議員目線って言うより市長目線になってる気がするし、市議会の動画では副市長にやたら突っかかってる」


「そこまで読み込んでるんだ、すげえな神野」


「これくらいは普通にやることだ

 彼をクライアントと考えればいい」


神野は倉田が持ってきた資料を表示させた


「おまえが持ってきた資料は、数字や基本情報は正しいけど肝心なとこが抜けてる」


「肝心なってどこが?」


「本人のもっとも強い希望、クライアントの意向だよ

 この場合は政治信条、主義主張ってことになるな」


倉田は声は出さなかったが「あっ」という顔をした

考えていなかったらしい


「物を買わせるんじゃない、人を動かすってそういうことだ」


「確かにデータに引っ張られ過ぎてた」


「そこは俺が調べた、後で送っておくから目を通せ

 とりあえずは次の演説会で大塚に接触してみようと思う

 本人にその気があればひと押しすればいい

 こっちの条件は破格だから落ちるはずだ」


「大丈夫かな

 神野って目つき悪いし、俺が行こうか?」


「うっせぇ

 営業はおまえの方が向いてるが、今回は顔を出すな

 AIのことは伏せておきたいだろ」


「さすがカンちゃん、わかってらっしゃる」


「カンちゃん言うな」


二人は顔を見合わせて笑った

夏休み前の子供のようにくすぐったい期待が始まりを告げている

そして同じ思いがよぎっていた


(なんでかコイツといると面白いことになりそうな気がする)



【余計なお世話書き】

やっと選挙の話です。

選挙コンサルはそれこそピンキリのお値段ですので、数十万でただ必要なものを揃えてくれるだけのから、SNSコントロールとなると数百万してもおかしくありません。

最近ネット上でヘイトが流行ってますが、そういうのはもう一桁上かもしれません。

普通はソレだけの契約ってことはないと思いますので、諸々、組み合わせてお安くしてあげないと若い議員さんじゃ払えないです。

今回その辺をクリアするために倉田くんのお兄ちゃんが大金持ちの設定ってことは…ないです。

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