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エピローグ

「うーん、ナツやめろ」


まだ眠そうな神野の鼻をねこじゃらしがくすぐっている


「やめろって」


寝返りを打つと笑いを堪えている倉田の顔があって


「わっ!」


声を上げて飛び起きた


「カンちゃん、おはよ」


「カンちゃんじゃねえ

 おまえなんでここにいるんだよ」


「ここ、俺んちだけど」


「寝室に入ってくんな!」


「別にいいだろ

 ナツは?」


「シャワーだ」


「朝からお盛んね」


「ちげーわ」


「だって、裸だよ」


「さっきナツが洗濯するって脱がせたんだ」


「きゃあっ!」


寝室の入口でナツが悲鳴をあげた


「カンちゃん、クラちゃんと何してるの?」


「ナツ、違う、胸、バスローブ!」


「うぉぉ、すげーっ

 てか、ナッちゃん太った?」


「見るな! 倉田っ」


「やだ、クラちゃんのばか!」


バスローブを体に巻き付けて逃げ出すナツと、倉田の眼を塞ごうとする神野と、ゲラゲラ笑っている倉田がのどかな朝を台無しにしていた



「太った?」と言われたナツは朝食もそこそこに、スニーカーをひっかけて庭から出て行った

神野は怪我を気遣って


「ウォーキングくらいにしとけよ」


と、ナツに声をかけ、そして倉田に向かって言った


「おまえなぁ、この後、機嫌直すのにどんだけ大変かわかってんのか!」


「いやいや、人払いした方がいいかと思って」


「人払い?」


「巷で流行っているこの動画、見たか?」


倉田がスマホの画面を見せてきた


「ん? 六本木土下座男…なんだこれ」


それは夜の六本木交差点で、男が女に土下座している動画だった


「この腰つき、早苗ちゃんじゃね」


逆光になっていて顔まではわからないが、確かにそれらしく見える


「じゃ、男は大塚か

 おいおい、身バレしたら議会で追及されんじゃないの?

 でも、この展開なら二人は元サヤか」


「どうかなぁ、彼女、かなりのところに引き抜かれたみたいだよ

 一見お断りどころか、大臣クラスでないと予約も取れないような格上の店らしい

 いまさら市長夫人はないっしょ」


「じゃあ、大塚がビッグになるしかねえな

 大した女だ」


「魔性だねえ」


「てか、おまえさぁ、早苗とどうなってんの?」


「別にぃ~、なんくるないさ

 俺は本気になることないし、どうせ彼女も遊びだろうし」


(本当にそうならいいんだが

 いつか、大塚に刺されるんじゃねえか?)


神野は危なっかしいなとは思ったが、いい大人にこれ以上言う気にもなれなかった

倉田は相変わらずフワフワと果てしなく軽く見えた


「で、何で俺を呼んだんだ?」


「そろそろ一ヵ月だからここを引き払おうと思ってさ

 それとインヴォイスだ」


神野がテーブルに紙を一枚置いた


「そんなのメールでいいよ

 って、なんだよこの値段は!

 メロン寄こせ!」


「それは本来の金額

 今回は山口と真希とナツの人件費、インフルエンサーへの依頼料だけでいい

 櫻井くん(リスくん)にはお前が払えよ」


「データがいっぱい取れたって喜んでたから、おカネはいいみたいだよ」


神野はもう一枚の紙を机に置いた


「こっちが請求金額

 大手コンサルよりだいぶ安くしといた」


「それでもけっこうな値段だな

 すごいオファーが来てるんだろ

 記念すべき第1戦めは勝利したし、忙しくなるな」


「今回のは勝ちにはカウントしない

 ナツの手柄だ」


「そうなるか

 でも、選挙って儲かるんだな」


「おまえの言う『カッコイイ選挙』には程遠かったが、儲かるってことはわかったよ

 そんでもって選挙は人を狂わせる」


「怖いなぁ

 女と選挙は」


二人は俯いて笑った

苦い笑いだったが神野は倉田の笑顔を見てほっとした

(少しはまともに笑えるようになったんだな)


「もう、兄貴に口出しさせないよ」


「いいや、カネを出してくれるならかまわん」


「嫌な思いしただろ」


「生理的に苦手だ

 でも、太客なことに間違いない」


「気を付けてくれ、あいつはきっと神野を利用しようとする」


「わかってる

 それでなきゃ、あんなでかい会社作れないだろ」


「兄貴が神野はKING MAKERになるから手放すなって言ってた」


「ああ、そんなこと言ってたな」


「なになに? なんの話」


ナツがウォーキングから戻って、庭から入ってきた


「神野の新しいあだ名の件

 KING MAKERってどう思う?」


「ダッサ」


ナツはイチゴと思い込んでミニトマトを食べてしまった子供の顔になった

その顔を見て神野が言った


「2度とその名前で俺を呼ぶな」



【余計なお世話書き】

このエピローグは最初の方に決まってました。

六本木土下座事件のせいで、大塚氏はモデルがいるわけではございません、としか言いようがないです。


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