44/45 終焉ー種明かしと言い訳
※なんか踊らされてる人が多いようですが、選挙は行こうね。
大塚との電話を終えた神野に倉田は兄の話を伝えた
「早苗のことは解決済みだと?」
「うん、問題ないって言ってる
あいつは不思議と俺には嘘つかないんだ」
神野は倉田の顔を見てしばらく考えていた
(結局ブラコンなんじゃねえか
何かって言うと頼ってるし)
無邪気に兄を信じているようだが、その根拠が『嘘をつかない』だけでは危うい
嘘をつかなくても本当のことを言わない可能性はある
(コイツの兄貴って、弟可愛さにカネ出してるのかと思ったが、早苗にまで首突っ込んでるのか
だとすると、大塚のことも最初から利用する気で?)
「おまえ、そろそろ種明かししろよ」
「ほえ?」
神野の言葉に倉田はとぼけた声を出した
「最初っから怪しかったけど、この筋書きを書いたのはおまえじゃない
兄さんの方だろ」
「急になんだよ」
「エナのことは嘘だとは思ってないよ
お前がまともに笑えないくらいおかしくなってるのはわかるからな」
「やっぱ神野にはわかるんだ…」
「俺がおまえの動画、何本撮ったと思ってんだ」
拗ねた子供のような顔をして倉田は俯いた
「俺を利用するのはいい、俺もおまえを利用する
でも、ちゃんと話せ
つまらん隠し事をするな」
「だよな
神野はきっと気付くと思ってた」
倉田は渋々話し出した
「兄貴に選挙PRの会社をやりたいって言ったら、俺だけじゃ無理だから神野と組めって
それなら協力するって言われたんだ」
「俺を指名?」
「選挙のプロはいっぱいいるけど、信用できなきゃだめだって
信用できる人間は100の提携先に勝るんだそうだ」
「櫻井もそうなのか」
「彼らは僕が見つけて来たんだよ
才能はあるのに生き辛くて活躍の場がない研究者はいっぱいいる
僕は資金提供だけじゃなくて、場所や環境も揃えてあげてるから信頼関係があるんだ」
「なんでそういうの黙ってんだよ」
「兄貴がまだ話すなって
この選挙の案件は神野へのテストでもあったんだ
俺だってイヤだったけど、そうしないと資金援助してくれないって言うから」
(…ムカつく)
「ほらぁ、すげー怖い顔してる
絶対怒ると思った
だから言いたくなかったんだよぉ」
「ガキか」
「でも、俺の気持ちが少しはわかっただろ
兄さんってそういう奴なんだよ
人を操ったり動かしたりするのが楽しくてしょうがないんだ」
「俺も同類だって言いたいのか?」
「神野のおかげでデビューできた奴はいっぱいいるし、感謝してる人の方が多いと思うよ、そこは兄さんとは違う
ただ、神野は根っからプロデューサーだからわかんないだろうけどさ
なんとなく上下関係ができちゃうんだよ」
「そうか…俺はおまえが羨ましかったけどな」
「そうは見えないし」
「いくら俺だって、何でもない奴をフォロワー200万なんてできねえよ」
(おまえが笑うだけでバカみたいにPVが伸びた
俺にとっておまえは唯一無二だったんだが…
そうだな、それを言ったら友達じゃなくなるな)
「別に怒ってるわけじゃない、訳がわからないと気持ち悪いだけだ
あとはおまえの兄さんと話すから電話番号を送れや
それと大塚が話したいって言うから、どこかホテルの部屋をとってくれ
たぶん人には聞かせられない話だ」
「大塚氏、連絡してきたんだ
どうする気?」
「言い訳くらいは聞いてやるさ
ちょっと遅かったが、自首でもされたらやっかいだからクギを刺しとく」
「それだけ?」
「俺は警察じゃない
いちばん得する方法を選ぶよ」
「神野って大人なんだな」
(内田に裏切られ、倉田に寝取られ、早苗に逃げられるって流石に気の毒だ)
「お前がガキすぎんの
本当はぶん殴ってやりたいが、それで気が済むのは俺だけだ
傷ついたのはナツなんだから意味ないだろ」
(ナツを泣かせたのは俺だ)
神野は誰かを裁く気には到底なれず、むしろ誰か殴ってくれないかとすら思っていた
【余計なお世話書き】
神野くんは経営者の端くれなんで、ちゃんと収益を上げますし、プライドより実を取ることができます。
倉田くんちょっとおバカすぎて心配になりますが、この人がちゃんとするのにはもう数年かかるでしょう。




