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第18話 武術大会

 戦争から帰ってきて数か月、冒険者になってそろそろ1年がたとうとしていた。

 その間、俺たちは相変わらず、時々依頼をこなしつつ屋敷でのんびりと過ごしていた。

 ランクも戦争の功績やその後の依頼をこなしていたことで、15となっていた。

 冒険者ランクに上限はないが、実はこのランク15は実質最高ランクといわれている。

 その理由は簡単だ、これ以上のランクに上がったものがいないからだ。

 しかも、このランクにまで上がったのは歴史を紐解いてもわずか数人しかおらず、ほとんどが25歳以上のベテラン冒険者が引退間際にたどり着いた境地、しかし、俺とフィーナは一年でたどり着いてしまった。

 そのおかげで俺たちは事実上史上最年少の到達者として国はもちろん諸外国にまで名が知られるようになった。

 といっても、この事実を信じているのはこの国だけで、諸外国では全く信じられていないうえに認められてもいない。

 この国だけというのは、俺が所属する平民ギルドは一応貴族ギルドの配下、つまり俺のランクを最終的に認証しているのは貴族ギルドのお偉方だ。だから、この国では問題なくこのランクを名乗ることができるが、諸外国では俺たちはあくまで奴隷種族、だからそもそも平民ギルド自体が認められていないということが理由だろう。まぁ、俺にはどうでもいいことだけどな。

 というわけで、俺たちはさらなる上位ランクに上がれる逸材として注目を浴びているというわけだ。


 俺の一日はまず少し早めに起きてからたっぷりと昼まで武術の修行をする。

 そのくらいやらないと、俺の才能では前世のレベルまで到達できない。

 実際、俺はまだ前世に到達できないでいた。

「ふぅ、今日はこのくらいにするか、ほんと、いつになったら前世に追いつくんだか、これじゃ、愛美にも追いついていないよな」

 俺は独り言ちた。

「ファルター、修行終わったの」

 そこにフィーナがやってきた。

 フィーナも一緒にやるが、フィーナの才能ならそれほど長くやる必要がないために早々に切り上げていた。

「ああ、とりあえずな」

「だったら、午後からギルドに行かない」

「ああ、そうだな、久しぶりに行くか」

「うん、何か依頼があるかもしれないしね」

 それから昼食を食べてからギルドに向かうことにした。


 ギルドに入ると何やら少し活気があるように思えた。

「何かあったのかな」

「うん、なんかいつもと違うよね」

 フィーナも感じているようだった。

「よう、お2人さん、久しぶりじゃねぇか。お前らもやっぱり出るのか?」

 そこに知り合いが声をかけてきた。

「出るって、何に?」

 フィーナが尋ねた。

「何って、なんだ知らないのか、って、ああ、そういえば、お前らまだ1年しかたってないからな。知らなくても無理はないのか」

「だから、何の話だよ」

「武術大会だよ」

「武術大会? ああ、そういえば、昔母さんから聞いたことあるなぁ」

「私も聞いたことある。へぇ、今度あるんだ。それで、いつ?」

「来週予選が始まる」

「来週か、出場するには何かあるのか」

「ああ、登録さえすれば誰でも予選には出れるぜ」

 そのあと、知り合いは詳細を教えてくれた。

 それによると、そもそも武術大会とは、冒険者としてこの国を作った初代国王が武術系冒険者であったということから、開催されるようになった。

 ちなみに魔法使いの大会はない、まぁ、あっても、勝負のつけようがないし、下手したら観客に被害が出るかもしれない大会なんて厄介でしかいないからだった。

 というわけで、この国では5年に一度武術を極めし猛者たちが一堂に会しての大会というわけだ。

 そして、この大会は国が開催しているだけあって規模はでかい、出場者はまず王都を含む各地8都市のうちどれかで行われる予選を勝ち抜く必要がある。

 本選は各都市予選通過者4人で合計32人、トーナメント方式で行われる。

 優勝者には、国王から褒美として、金5万フィリクという破格の賞金が出る。

 さらに、5年間最強としての名が付くということで参加者はかなりの数となる。

 そのために各地で行われる予選は毎回熾烈を極める。

「ファルター、どうする」

「前から出てみようと思っていたからな。出るぜ、フィーナは、当然出るんだろ」

「もちろん、当り前じゃない」

 わかっていることを聞くなとフィーナの顔がそういっていた。

 それから、俺たちはすぐに受け付けに向かって登録をした。

 登録は簡単で名前と年齢、流派があればそれを書くだけだった。

 といっても俺は前世の記憶からだし、フィーナも勇者からの者だとはかけないために、我流とした。

 こうして、俺とフィーナはともに武術大会に出場することとなった。


 あれから一週間がたち、武術大会当日となった。

 あたりを見渡してみるとかなりの人数がいる。

「すげぇ、人数だな」

「うん、まぁ、でも、この街の人たちだけじゃないからね」

 フィーナの言う通りで参加者はこの街の人間だけじゃない、ほかにも周辺の町や村などからの参加者も結構いる。

 何も冒険者だけが参加できるものではなく、普通に武術をたしなむものならだれでもできるというわけだ。ちなみに彼らはそれぞれの村や町で登録をしているのだった。

「参加者の方は列に並んで抽選をしてください」

 風魔法を使った魔道具である、拡声器を使って女性が呼び掛けていた。

 それに応じて多くの屈強な体をした人たちがきっちり列に並んでいるのは何やら妙な光景だった。

 まぁ、中には割り込みも多く起きているみたいだけど……、そこは行列が好きだといわれている元日本人としては少し許せないところでもある。

 そして、同じく日本人の血が流れているフィーナも同じようだ。

「子供じゃ、ないんだからちゃんと並べばいいのに」

「だな、じゃ、俺らも並ぶか」

「そうだね」

 俺たちは列の一番後ろに並んだ。


 それからしばらくたってようやく俺たちの番がやってきた。

「それではこちらを引いてください」

 俺は言われた通りはこの中から一枚の紙を取り出した。

「えっと、2ブロックですね」

 箱の中には「1」、「2」と書かれた紙が入っており、それぞれ1ブロックと2ブロックという意味だ。

 これは本選出場者が4名ということに対して、参加人数が多いということで2ブロックに分けて試合を行い、それぞれのブロックで優勝者と準優勝者を本選に出すということだ。

 ちなみに俺は2ブロックで、後に引いたフィーナは1ブロック、俺たちが予選で戦うことはないようでかなりほっとしている。

「うまく分かれたみたいね」

「だな、これであとは俺が本選出場の切符を手に入れればいいわけだな」

 フィーナが手に入れることは確実なのであとは俺次第というわけだった。

「ファルターなら大丈夫よ、それに、私だって気を抜くつもりはないからね」

 これより、武術大会予選開始である。

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