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とある少女がネトゲをやりまくった件(くだり)  作者: 葉月 優奈
十話:とある少女がネットアイドルに嫉妬する件
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~~バイエル公国・バイエル公爵の庭~~


バイエル公爵の庭は、とてもよく手入れされていた。

まるで空中庭園のように、色とりどりの花と雲も見えた。

このエリアだけ、エリア的に高台に作られていた。

雲よりも高いって、標高三千メートルでもあるのか。


そこは、デートスポットやイベントをするのにもってこいだ。

日が出ている時は幻想的な雲、日が沈むと満天の星空。

ロマンチックを演出する究極のエリアだ、NPCも少ないしクエストもない。


(ゲーム時間の夜、つまり後十分後にここでバイスがライブをする。

僕はバイスの行動を探りながら、調査をするわけか)

ネットでバイスの情報が出ていた、タイムテーブルまで出ているあたりがさすがアイドルか。

それでも、このネットアイドルはプレイヤーであって運営が用意したイベントではない。


時刻は夕方だ、ゲーム内時間の夜までリアルで十分ほどある。

既に前に人だかりが出来ていた。


(相変わらずすごいな、アイドル人気)

僕は人だかりを見ながら、感想を漏らす。

数にして二十人ほどだ。見た目は正装、戦闘向きよりは見た目装備が多く目立つ。

男女比は、ほぼ半々といったところか。


「バイス様、かわいいっ」

「バイス様、握手を」

「バイス様、こっちを振り返って」

エリアチャットでみんな大騒ぎだ。


「これこれ、押さない押さない。

今日の夜にライブするから、みんなもう少し待ってねっ!」

群衆の中央には、目当てのアイドルがいた。

小さい体のアイドルバイスは、大きく手を振っていた。

制服を模したアイドル風の衣装で、長い髪をなびかせた少女が愛想よく振りまいていた。

一瞬、僕は前に見た怪盗と顔を重ねた。


(目といい、髪といい本当にこいつだ)

すべてを比較して、バイスの顔のパーツが一致した。

だけど、群衆は多くて近づくのは難しい。


(さて、思った以上に人気だな。人も多い、どうやって……)

などと思っていると、偶然バイスと目があった。


「あっ」僕はそらそうとしたが、バイスの表情が明るくなった。

それと同時に、バイスが群衆をかき分けた。

「お、お兄様っ!」

いきなりバイスが一直線に、僕の方に近づいてきた。

半分泣き出しそうな顔で走ってきた。

そのままバイスが僕に抱きつく。


「お兄様?そんなもの知らない?」

「何を言っているのですか、お兄様。わたくしずっと会いたかったですわ」

バイスが顔を上げて、笑顔を見せていた。

ネットを騒がせるバイスとは、全く面識がない。

だけどこのクセのある喋り方は、どこかで聞き覚えがあった。

それと同時に、群衆の冷たい視線が僕に突き刺さった。


「君は何者……」

「ねえ、打墨 蒼一お兄様」これを小声で言うバイス。

「バイス……お前。まさか」

「ふふっ、わかったでしょ」

バイスが、僕に対して腰を振って誘惑してきた。

髪をなびかせて、僕の胸に頭を押し付けてきた。

だけど、僕は背後から殺意のようなものを感じた。


「あんたは偽物なのっ。お兄ちゃんはあたしの!」

すごい剣幕で、ロゼが猛ダッシュで僕に向かって突進してきた。

まるで獲物を見つけたデンジャラスバッファローみたいに、襲ってきたのだ。



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