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それは一瞬の出来事で、一気に状況が変わった。
散らかった部屋を見ては、愕然とした。
自分の部屋で、ゲルプがいきなり襲われた。
基本的にプレイヤーに直接ダメージを与えられないこのゲームで、ゲルプが襲われて
「奪われた」
僕たちは呆然とするしかなかった。
僕も、ロートも、オランジュも、ヴァイオレットも、シュバルツも……ロゼも。
全員がいる家の中で、いとも容易く侵入して奪ったのだ。
エンジェルフルーツポンチを。
「これはどういうことだ?」
「通報しよう」冷静に僕はGMコールの鐘を取り出した。
おそらくあいつが出るだろうけど、躊躇ってはいられない。
「誰がこんなことを?」
女怪盗はピンク色の頭巾をしていて、顔ははっきりと見えなかった。
名前も当たり前だが非表示にしていた。
「つまりはプレイヤーか」
「まさか、業者の恨みでも買ったか?」これはヴァイオレット。
「それはない、そこまで業者も固執はしないはず。
金にならないことはやらない主義だ」
シュバルツが、冷静に部屋を見ながら歩いていた。
ゲルプが、元気なく立ち上がった。
「本当にごめんなさいですぅ」
「ゲルプさんのせいじゃない、これはおかしい」
「でも……」
「状況が普通じゃないんだ。異常だ!」
僕がゲルプをなだめていた。落ち込むゲルプが顔を上げた。
「それで、誰がこんなことを?」
「犯人は既にわかっている」
そう言いながら、奥から一人の人間が現れた。
それはいつもどおり神出鬼没に現れるGM、ゴモリだった。




