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~~キュベリオン・スラム街~~
キュベリオン王国の街外れに位置するのが、このスラム街だ。
文字通り貧しい人が住む街、犯罪が多くキュベリオンの貴族に忌み嫌われたエリア。
ボロボロの家や、乞食たちがボクらを卑しい目で見ていた。
そんな僕は、ゴモリに言われるとおりカボチャ集めに奔走していた。
ゴモリが勝負のために用意したお菓子袋片手に、街をさまよう。
そして、その僕には相方の男がいた。
「まさか俺を指名するとは、思わなかったよ」
「そんな格好だと、乞食が襲ってきそうだな」
金ピカスーツのオランジュだ。僕はオランジュと一緒にスラム街を歩く。
一緒にいたロゼは、別行動だ。ただパーティ状態のままだが。
これは、ゴモリの新しい試みのせいだ。
「今回はロゼと僕のペア対抗戦だ。カボチャマラソン勝負ってことだな。
場所はキュベリオン限定で、時間は一時間と」
「つまり時間内で、カボチャを多く集める勝負をしているのか」
「まあ、そんなところだ。
ランキングボードに一時間ごとに集めたカボチャの数が計測される。
僕とロゼ、どちらが多いかを競う」
「ロゼもソロなのか?」
「いいや、ゲルプさんと組んでいるが」
「そっか」オランジュはスラム街を見回す。
どうやら視界に子供の姿は見当たらないようだ。
新しい試み、それは僕とロゼを競わせるものだ。
どちらがカボチャを多く集められるか。
カボチャを多く集めた方一人だけが、次のクリア画像を見られる仕組みだ。
まあ、ゴモリの申し出を断る理由はない。
どちらかが必ず見られる、そしてその画像の内容を共用すれば同じことだ。
「ただ、子供の出現場所はランダムだけど、多少は法則性があるから。
位置関係は大丈夫だろう」
「このゲーム、無駄にエリア広いよな」
「確かに、MMOならではだろうな」
僕は、リアルに作りこまれたスラム街を見ていた。
実際の町並みとほとんど変わらないリアルさが、そこにある。
物乞いする乞食なんかも、リアルでちょっと怖いが。
「でも、久しぶりにハロウィンイベントも少しは楽しめそうだ」
「競うという点では確かにな」
「言っておくが、点を取るのは得意だ」
「頼りにしているぞ、オランジュ」
「任せろっ!」オランジュは頼もしくポーズを決めた。
「それにしてもペア行動とかって、俺を指名するとは」
「なんだか、懐かしくなって。オランジュと昼間話しをしたからな」
「そうだったな、初めての時もハロウィンだったよな」
オランジュは、少し照れくさそうにしていた。
僕もその時の記憶が戻っていく。
「さて、時間だからそろそろ探すか」
「家を一軒一軒回るのか?」
「だな、それがいいやり方だろ。ロゼ・ゲルプ組は?」
「多分、学術都市をあたっているはず」
「そっか、じゃあこっちも子供を手分けして探そう」
「ああ」僕とオランジュはお菓子を握り締めてスラム街を歩いて行った。
「十分後、ここで落ち合おう」
「了解」
僕とオランジュは、こうしてスラム街で個別に別れた。




