051
僕たちの再戦開始はリアルで夜中の二時半を過ぎていた。
しかしゲームをしているときは、不思議と眠くはない。
それだけ集中しているのだろう。そして、集中しないといけない最強の相手だ。
薄暗い遺跡の中、グリフォンシグマはボスオーラ全開で中央に陣取っていた。
巨大なグリフォンシグマを第一パーティで見ると、さらに威圧感があった。
さっきの雑魚処理パーティと違って、大きさに圧倒された。
「かなりでかいな」
「ビビらないでよ」ロゼがゲイボルクを握りしめて果敢に向かっていく。
「ブラウの作戦は、覚醒後からだよな」
「ああ」僕はヴァイオレットとロゼと言葉を交わしつつ、戦いに集中していた。
僕はすぐさま麻痺をかけた。魔法は成功、相手は麻痺した。
(僕の魔法は通用する、いけるっ)
僕が持っている、唯一無二の武器は通用する。
ならば僕の作戦はいけると確信ができた。
そのままグリフォンシグマのHPが、確実に減っていった。
僕の弱体が入ったことで、相手の攻撃力は落ちていた。
そのまま、HPは半分になろうとしていた。
僕は気持ちがさらに高ぶっていた。
この作戦の要は僕だ、そしてみんなだ。
誰か一人の失敗も許されない。
(ここまできたんだから、自分を信じるしかない)
僕はパソコン画面の前で大きく深呼吸した。
そんな時だった、ログが流れた。
「覚醒っ!」叫んだのはヴァイオレット。
「一斉に離れて」
みんなが一斉に声を上げた。そしてグリフォンシグマから離れた。
グリフォンシグマは、全身をブルブルと震わせた。
ネット画像で見た『ジェノサイドブレス』のモーションと同じだ。
僕は迷うことなく、深い眠りの魔法を詠唱始めた。
(決まれ、僕の魔法)
心の中でそう叫びながら。
やがて魔法が完成したとき、グリフォンシグマも動こうとしていた。
「届けっ!深い眠り」
その瞬間、僕の魔法が完成して真っ黒な霧がグリフォンシグマの目の前を覆っていた。




