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とある少女がネトゲをやりまくった件(くだり)  作者: 葉月 優奈
四話:とある少女が大人数パーティを組む件
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~~サタルカンド、サタルカンド遺跡~~


あれから三十分、リアルでは夜中の十二時辺りだろうか。

だけど、あまり眠くはない。

むしろ僕は今、ギラギラしていた。

パソコン前で、胸が熱くなる自分がいた。


ロゼのこととはいえ、最強クラスの敵『グリフォンシグマ』と戦えるのだ。

ウルトラモンスターのような超大型モンスターと戦えるのであれば、こんなに胸躍ることはない。

普通のプレイヤーだと、到底たどり着けない領域なのだから。


そして、目の前には二十四人の選ばれし……というよりロゼとヴァイオレットに集められた精鋭たち。

その中に、僕たち小黒鷲旅団もいた。

現在僕たちは、遺跡の中を移動していた。

とは言っても、雑魚エリアで敵はたまに悪魔族が襲って来るぐらいだが。


「やばいぜ、緊張してきた」オランジュも興奮しているようだ。

僕たち小規模のパーティでは、全く無縁の相手だと思った相手だ。


「本当にすごいよね、みんなの装備」ロートが周りの人間を見ていた。

「すごいですぅ、強そうですぅ」

ゲルプさんも感心しきりだ。このパーティのリーダーは、ほぼヴァイオレットだ。

また経験者でもあるロゼが、ヴァイオレットを手助けする。

こうして見ると、普段一緒にいるロゼがなんだか眩しく見えた。


ブンデスグルペの構成はこうだ。

僕はゲルプとロートと一緒に第三パーティに入った。

ロゼは、もちろん第一パーティだ。オランジュも第一パーティだ。


「ロゼはアタッカーとしてやってもらう。サポートにはオランジュ」

指揮をするのはヴァイオレットだ。

まあ、『グリフォンシグマ』の戦闘経験があるから妥当なところだが。


「第一パーティはメイン、本体をやる」

「そうね、あたしに任せなさい」

ロゼが移動中の敵を倒しながら、反応していた。


「第二パーティは回復パーティだ。

神官四人と歌い手二人、錬金術師二人で強化を切らさないように回復。

回復で全メンバーを見る。リーダーはシュバルツ」

「了解です」シュバルツが静かに答えた。

小黒鷲旅団では、神官できるのはゲルプさんだけだ。

だけどメイン(タンク)役もいなくなるので、ゲルプさんがやることはない。

最近はオランジュも上げているみたいだが。

まだまだ使えるレベルにはなさそうだ。


「さて第三パーティは、雑魚処理だ」

「雑魚処理?」僕がすかさず反応した。

「高レベルモンスターのいるエリアは、通常の雑魚と一緒にいるのよ。

ほら、前回のレッドドレイクのいたところも雑魚にオーガがいたでしょ。

あそこには悪魔族モンスターが多いから、各個撃破していってね」

「了解」僕は短く返事をしていた。

(悪魔族か……弱体がかなり効きにくいんだよな。早速、これが役立ちそうだ)

僕は、ゲルプさんが作ってくれた『黒天剣』を持っていた。

それでも、ブンデスという二十四人の集団で先を進む。


目の前には、阻むように真っ黒な人が他の悪魔の姿が見えた。


「ならば、これは効くかな」

黒天剣を使って、悪魔に麻痺パラライを唱えようとした。

が、その前に倒してしまう。

廃人たちの火力は、僕の想像の一つ上を行く。


「はやっ!」

僕が弱体を試す暇もない、これがヴァイオレットの率いる廃人軍団の強さか。


「ね~、あたしも頑張ってタゲとるですぅ」

「取れていないから」ゲルプさんもどこか蚊帳の外だ。

「報酬だけど、素材預かりはロゼかな?」

「あ、そうね……お願いできるかしら?ブラウ」

「僕?」ロゼの言葉に、僕は驚いてしまった。

そのまま前を歩いていたロゼが、いきなり僕のそばに近づいた。

そのまま僕に耳打ちをした。


「そんなことやったことないぞ」

「でも、あたしはできないから。リアルで動けないでしょ」

「それで何をするんだ?」

「メモをとればいいわ。

ドロップアイテムをメモとって。それから人の名前も」

「なんでそんなことを?」

「報酬の管理よ、パーティやるからには当たり前でしょ。

お金でみんな動いているから、ウルトラモンスター戦の常識よ。

装備品はあたしが預かるけど、素材はやりなさい」

「僕には……」

「それがリーダーでしょ」

ロゼに強引に押し切られてしまった。


そうこうしているうちに、前方に巨大な門が見えた。

その奥には、ただならぬオーラを感じる。

すかさずパーティメンバーの一人の盗賊が、扉を調べていく。

僕の隣では、ロゼの前が不安な顔を扉の前で見ていた。


「どうした、元気ないぞ」

「不安なの」

「不安?」

「あたしたち、疾風艦隊(シュタイフェ)で勝ったことがないのよ。

いつも全滅をして……」

「そんなにやばい……よな。サーバーでクリアした人はいないし」

「いつもブレスでやられちゃうから」

「ブレス?」

「うん。ブレスを使われる前に倒さないと負ける」

「ロゼたん、そろそろ隊列に……」先陣のヴァイオレットが声をかけた。

「わかったわよ、いざとなったら……」

「逃げろ」僕は小さい声でロゼに言い返した。

そしてロゼが、ヴァイオレットのパーティに合流する。


「さて、集中しよう。行くぞ」

ヴァイオレットの言葉と当時に、パーティの空気が一変した。

緊張が支配する中、ゆっくりと最新部の扉が開いた。



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