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とある少女がネトゲをやりまくった件(くだり)  作者: 葉月 優奈
四話:とある少女が大人数パーティを組む件
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ヴァイオレット、僕もこの名前を知っていた。

最も知っていただけで、直接会ったことはない。

ヴァイオレットの名前を言った途端、プレイヤーたちの視線は一気にヴァイオレットとロゼに集まる。

そう、この二人はサーバー内でも有名人の二人なのだ。

ロゼにしがみつくヴァイオレットをロゼが蹴飛ばして剥がそうとする。


「離れなさいっての!」

「無駄だよ、ロゼたんに対する愛は変わらないっ」

「ちょっとリーダー」

「知り合いなのか?」

遠くで覚めた僕は、ロゼにしがみつくヴァイオレットを見ていた。


「知らない」

「冷たいなぁ、ロゼたん」

「その名前で呼ぶな!」ロゼはヴァイオレットを蹴り飛ばした。

蹴り飛ばされたヴァイオレットは、にやりと笑いながらロゼを見ていた。


「同じ仲間じゃないか。いや恋人」

「断じて違うわ」

「それでも君は僕に愛を誓ったじゃないか」

そう言いながら、ヴァイオレットが抱きつこうとするが、ヴァイオレットの足元が浮かんだ。

ヴァイオレットの背後に人がいたのだ。

そこにいた女が、ヴァイオレットの首根っこを掴んでいた。


「ヴァイオレット、何をしているの?」

「シュバルツ……遅かったじゃないか」

「全く」ヴァイオレットの首根っこを掴む女が、呆れていた。

シュバルツといわれた女は、紺の聖女服を着ていた。

冷たい目で、ヴァイオレットを鎧ごと上げていた。


「あら、シュバルツも来ていたのね」

「お久しぶりです。ロゼ。キマイラキング戦以来ですね」

「そうね、またよろしく頼むわ。シュバルツ」

「ええ」シュバルツは頭を下げた。

「ボクも参加させて欲しいぞ、ロゼたん」

シュバルツの手をすり抜けて、ヴァイオレットが離れた。

そのままロゼの方に手を伸ばす。だけどそんなヴァイオレットが僕に気づいた。


「おや、その人は?」

「あたしの……フレよ」

「廃カンストプレイヤー、ヴァイオレットか。

すごいフレがいるんだな、ロゼ」

僕がじっと見ていると、ヴァイオレットが反応した。

気さくに笑いながら僕の肩を叩いてくる。


「ははっ、やだなぁ。その名前で呼ぶのをやめてくれるかな。通行人A」

「通行人A?」僕が自分の顔を指さす。

「ついでだけどヴァイオレット、あたしを手伝ってもらえるかしら?」

ロゼの言葉に、ヴァイオレットはにこやかな顔を見せた。


「グリフォンシグマだね、倒したことないけど勝算あるのか?」

「この前のバージョンアップで、ウルトラモンスターに修正かかったでしょ」

「おお、さすがロゼたん。いいとこついているぞ。

よし、ボクは決めたぞ。ロゼのお尻を追いかける」

「それはダメよっ!」

そのまま、ロゼが顔面にヴァイオレットを蹴り飛ばした。

いいのか、ヴァイオレットって四大廃人の一人だぞ。


「とりあえず、最強ナイト様ゲット」

「もしかしてヴァイオレットさんも、参加するんですか?」

簡単にヴァイオレットが参加を決めたことに驚いた。

ヴァイオレットといえば、このゲーム一の廃人だ。

持っている豪華な真っ白の鎧も、サタナキア装備だ。

騎士なら誰もが憧れる豪華装備を、一式でもっている強者だ。

装備総額で、十億ゴルダは下らない。

もちろんサタナキアアーマーを持っているのは、ヴァイオレットを除いてこのサーバーにほかにいないだろう。


「あら、そうよ」

「そうだよ、通行人A君」

「僕はブラウです、名前表示していますし」

「ああ、そうだったね。通行人ブラウ君」

通行人は残るんだ、廃人は上から来る奴が多いな。


「なにせ、ロゼたんは元々ボクらのパーティだからね。

キマイラキング戦のあと、急に離脱するからびっくりしたよ。

久々にでてきたら、『グリフォンシグマ』募集出しているし」

「ねえ、ヴァイオレット」

「なんだい?」

「あたしのリアルのこと、知っている?いや、なにか覚えていない?」

いきなり迫るロゼに、ヴァイオレットは困惑気味の顔を見せた。


「どうしたんだ、急に?」

「なんでもいいから知りたいの、あたしのリアルのこと!」

「まさか記憶喪失になったとか?」冗談交じりに言ってきたヴァイオレット。

「そのまさか……なの」

ロゼの言葉に、ヴァイオレットは顔が固まった。

だけどすぐに笑顔になった。


「ロゼたん、もしかしてゲームのやりすぎじゃないか?

まあ、全キャスパルカンストの僕が言えた義理じゃないが」

「教えてよっ!ヴァイオレット」

「う~ん、ロゼたんはリアルの話を聞いたことがないよ。

ネットゲームといっても、他人だし。それともボクと結婚するかい?

ゲーム内で素敵な結婚式会場候補があるんだ」

「そっか……そうだよね」

「でも、ズイーバーは知っているかもしれない」

それを言ってきたのが、隣ですまし顔のシュバルツだ。


「ズイーバー……もしかして灰色フードのやつか?」

僕が声を漏らしたとき、ヴァイオレットはウンウンと頷く。

「まあ、有名だからね。ボクら疾風艦隊(シュタイフェ)にいれば勝手に有名人になる。

全く通行人には困らされるよ」

ヴァイオレットが両手を広げて首を振る。

疾風艦隊(シュタイフェ)、その名を知らないものはいない。

廃人集団のパーティだ、だけど一般的にはいい印象を聞かない。

僻みややっかみもあるし、廃人グループの中でも競争が激しいのは当然だ。

廃人自体が、そもそも一般プレイヤーに嫌われているわけだし。


「でも『灰色の悪魔、ズイーバー』も離脱した」

「いつなの?」

「キマイラキング戦のあたりだよ。

ロゼたんが、不正にアイテムをとったときの話」

「そうね、思い出したわ」

ロゼは、ヴァイオレットの言葉を聞きながら胸に手を当てていた。


「でも、それでもロゼたんは戦うんだ。さすがロゼたん」

「あたしは勝たないといけないの。『グリフォンシグマ』に」

「……そうか、そんな表情は久しぶりに見た」

ロゼが鬼気迫る顔を、ヴァイオレットに見ていた。

僕たちは、勝たないといけない。

ゴモリが、どんな難題を出しても勝ちたい。

僕とロゼ、蒼一と真衣の関係を知りたいからだ。


「そういえば、ほかのメンバーは揃いそうかな?」

「残りのメンバー、まだよ。人が集まらなくて」

それを聞いて、なぜか髪をかきあげる仕草を見せたヴァイオレット。


「僕のいる『疾風艦隊(シュタイフェ)』のメンバーで固めよう。

招集かけておくよ、必要なキャスパルは?」

「ちょっとまってね、整理するから」

ロゼとヴァイオレットの会話に、僕は最後までついていけなかった。



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