023
~~バイエル公国・バイエルの塔入口~~
塔の出口は、冒険者プレイヤーが何人も集まっていた。
無機質な白く高い塔が見える。これがさっき入ったバイエルの塔だ。
この塔を既に四十回周回していた。これだけ塔に籠れば、疲れもたまる。
敵自体は弱いけど、集中力がなくなりかけていた。
一応僕の隣にいるロゼは、死んだら終わりなんだ。
息を切らして、疲れの色を見せるロゼ。僕もかなり疲れていた。
素材集めは単調だ、ネットゲームのソロは特にそう感じる。
「まあ、素材集めは単調なのがいい。ついでに多少なりともお金が貯まるし」
「だけどこのままじゃ全然足りないわよ!」
「そうだな」
ロゼの不満はもっともだ、このままではクエストのクリアは不可能だ。
時間だけは刻一刻と過ぎていく。僕はパソコン下の時計を見た。
「後2時間ぐらいか」
「そうね、そんなものね」
「できることが何かあるか?このままではどう考えても足りない。
一応50万は稼いだだろうが……まだ1700万以上だ」
「あたしのアイテムが売れれば……ゴモリのやつ」
「無理なんだ?」
「あたしの武器なら、一本5,600万ゴルダで売れるわ。
ゲイボルクは3000万だし」
「あくまで一億ゴルダを稼げ、ってことだろう。だったら無理かもしれない」
「何言っているの?」
弱気の僕に、ロゼが真顔で言い返した。
「時間が足りなすぎる、レアアイテムなんかあくまで運だ。
一応僕は盗賊にしているけど、レベルはロートほど高くないから」
「ねえ、ほかの人はインしていないの?」
「していないね、オランジュはリアルでいないし、ゲルプさんはフレの手伝い。
ロートは一応入ったかな」
「だったら雪山でキングイエティ倒しに行かない?三人で」
「待てよ、それはダメだ!」
僕はそれを否定した。
「どうしてよ?」
「ロートがいれば、確かにドロップはいいかもしれない。
だけど、このゲームにはもう一つのテーマがあるだろ」
「テーマ?」
「いかに安全に倒せるか。ロゼを死なせないでクリアするか」
僕の言葉に、大笑いをしたのがロゼ。
「なによ、そんなこと?ああ、おかしいわ」
「おかしいって」
「大丈夫よ、あたしは最強のソロだから。心配いらないわ」
「いいや、ロゼは僕たちのパーティ、『小黒鷲旅団』だ。
勝手にいなくなるようなことはさせない。僕たちは家族なんだ」
「……わかったわよ」
ロゼは僕の言葉を、すんなり受け入れてくれた。
それでも、腕を組んで僕のほうを見ていた。
「でも、ブラウ。そこまで言うからには、何か案があるの?」
「ロートがあります」
そんな時、両手にバスケットを抱えたロートが僕たちの目の前に現れた。
小さい体で、エプロン姿のロートが僕とロゼをジッと見つめてきた。




