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とある少女がネトゲをやりまくった件(くだり)  作者: 葉月 優奈
二話:とある少女が競売所で悩む件
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022

~~バイエル公国・バイエルの塔~~


ロゼの言うとおり、価格は暴落を始めていた。

オークションで『ブラックダイヤモンド』が7000万ゴルダで売れた。

売れたお金を含めて、僕たちの所持金は現在8200万ゴルダ。


だけど目的の一億ゴルダには遠く及ばない。

あれから、何度もキングイエティに挑んだ。

挑んで勝ちはしたが……めぼしいアイテムは出ない。

キングイエティは、ブラックダイヤモンド以外は高価なアイテムを落とさない。


そんな中で、僕はロゼと二人でバトルエリアに来ていた。

クエストではいるここは、敵の討伐だ。

僕たち高レベルのプレイヤーなら、ここの敵はそれほど強くもない。


無機質な白い壁と無数の階段が、目の前に広がる。

そして、そこにはモンスターが生息していた。

巨大な塔を螺旋階段で登りながら、途中の部屋にいる雑魚を全部倒す。

結構走り回りの忙しい戦闘だ。


「バイエルの塔ね、なんでここなの?」

「僕が盗賊で素材集めをする場所、ここだと安定して稼げるから」

「安定って、時給8万じゃあ、後1800万稼ぐのに200時間以上かかるわよ」

「わかっているよ」


僕の経験上このゲームで、ソロでお金を時給換算で計算すると8万から10万が相場とされる。

モンスター狩りで素材集めか、採集が主になる。

『グランドヒノキ材』も、一時間とり続けて一個出ればいいほうで一本が10万だ。


「でもいいわね、妖術師って。お金あんまりいらないでしょ」

「まあ、高レベルのプレイヤーもいないからね。

妖術師自体が低レベルや、レヴェラッソ要因みたいだし」

「でもよく続けられるわね。魔術師や戦士、あたしみたいな万能戦士なんかが楽しいわよ」

「まあ、頭は使うから。プレイヤースキルや、情報力で戦うキャスパルだし。

本当は、ほかにやりたいことがなかったんだけど」

「ふーん」ロゼはあまり僕のことには関心がないようだ。


「それにしても……」

「それにしても」

「それにしても大体、ロゼはなんで金がないんだよ?

廃人だろ、最強のソロプレイヤーなんだろ」

「常にお金を使うでしょ。ほら、金は天下の回りものじゃない」

自信たっぷりに出るロゼの言葉に、僕は呆れるしかない。


「ここは、運が良ければ『天使布』を雑魚の幽霊が落とすって。

天使布はオークションでさっきみたけど、2000万だから。

一応は一発でクリアできるからね」

「ネット報告で、一億分の一って噂よ。奇跡以上になにものでもないわ」

「でも、それしかない。時間もないし」

リアル二十四時間でクエストのクリアは基本的に難しい。

残りの時間は後リアル三時間。手は一発逆転しか残っていない。


そんな僕たちの前に、このエリアで一匹しか現れない雑魚の幽霊が出てきた。

真っ黒な霊体の幽霊は、リアルのロゼと違って静かに出てきた。

現われる姿も、よく見ないと見落としてしまうほどの存在だ。


「とにかく、やるわよ!」

ロゼが光り輝くライトセイバーで、幽霊は消滅した。

だけど、アイテムは何も落とさない。


「またハズレじゃない、アイテムどころか四十匹連続で何も落とさないわよ」

「とりあえず残りの敵を倒して出よう」

そういいながら、僕たちは最後の広場にいたモンスターを全部あっという間に倒した。



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