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悪魔契約に縛られた異世界生活 第2幕(異世界生活編)  作者: 雨宮 白虎
第3章 トキザミの国(生活編)
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059 (閑話)卵を発見した(グロ注

 しばらくの間、『探索ゲーム』は私達にとってプチブームとなった。


 そう、あの事件が起きるまでは・・・



 ある日、鶏卵を2個発見する事が出来た。宝物を発見した気分になったのは言うまでもないだろう。

 喜びに任せて浮かれてはいたけど、食べ物は共有財産だからちゃんと報告しないと。


 本音はこっそり食べようか? とか思ったけど、ヌルッとした感じが苦手なので生卵をそのまま飲むのは駄目なんだ。牛乳と混ぜてなら問題ないのだけども。

 そういえば日本では『卵掛けご飯』を代表に、生卵を食べる習慣があるから意識は薄いけど、生食は大変危険な行為なのだそうだ。

 海外の映画の裏話では、「生卵喰わすなら、ギャラ増やせ!」って叫んだというネタがあった気がする。

 サルモネラ菌だったかな? 食中毒を引き起こす細菌が付着しているから、しっかりと火を通さないと食べて駄目なのだそうだ。

 日本で生卵が食べられるのは徹底した衛生管理による恩恵で、その為に賞味期限も生食を前提に設定しているというのだ。

 しかし、食の好みとは不思議な物で、例えばトマトを例にすれば、そのまま食べるのは好きだけど、ジュースにしたら駄目。とか、その逆もあったりするので、食の好みは千差万別だと思う。


 話しが逸れたので、発見した卵の話しに戻そう。


 宿舎へ向かうとシスター・テレサを見かけたので、そのまま卵を手渡した。何時もなら毎朝、子供達が卵探しをしているから、日中に卵を見つけるというのは珍しいらしい。

 シスター・テレサは卵を日に透かして鮮度を確認している様だった。

 鮮度の確認は、現代社会では『賞味期限』任せだったが、幼少の頃に水に浮かせて判別する方法を教わったのを思い出した。小学校に鶏舎があったから買っていたんだよな。八百屋より安かったのを、ついでに思い出した。

「まぁ。珍しい。リト、食べてみる?」

 何気ないシスター・テレサの言葉に、

「うん。食べる」

 と、率直に答えた。初めて卵を見つけたので、ご褒美、みたいなモノだろうと安易に思っての事だ。



 その夕食の時に、信永と私の前にはゆで卵が用意された。羨ましそうな子供達の視線がちょっと痛い。


 食事のお祈りも終わって、早速ゆで卵に手を出した。

 殻を割った後に、生暖かい液体が手に滴る。

 半熟だったのか? それとも腐っていたのか? そんな疑問を抱きながら、殻を割ったゆで卵を見ると(くちばし)みたいなのが見えた。

 一気に血の気が下がる音を聞いた気がして、思わず

「うわっ!」

 っと、小声ながらも叫んでしまった。

「どうした? リト」

 信永が反射的に私の方を向き始めていたので慌てて

「駄目だ! こっち見るな!!」

 と制止した。

 しかし遅かった。駄目だと言われたら逆に見たくなるのは人の心理だろう。


 私の手の中のモノを見た途端に、青ざめた。そして手を口に当てて()せ始めた。

 マズった!!

 手のモノはテーブルに放る様に置いてから、信永の手を取って礼拝堂の出口に向かった。

「クレハ! 急いで!」

「あいっ!」

 状況を察したクレハは信永の背を押して、できるだけ急いで外へと向かう。


 素足だったので、クレハを礼拝堂に残して外へと飛び出した。

 ギリギリというか、出てから2・3歩の所で

「う゛ぉ、う゛ぉぇえぇぇ・・・」

 と、悶えながら堪えていたモノを嘔吐してしまった。

 食べる前だったので液溜まりが出来ただけで済んだが、服が吐瀉まみれになってしまっていた。

 そのツンとした臭いに私も嘔吐しそうになったが、必死に堪えぬいた。

「グェェッ、ゲフッゲフゲフ・・・げへぇ・・・」

 気管に入ってしまったのか、苦しく咳をしていた。

 背中を撫でる私の元へシスター・レミアが駆けつけた。

「ノブナガくん。大丈夫?」

 私は首を振って答えた。

「駄目、休ませたい、着替え、欲しい」

 苦しむ信永にどうして良いのか分からず、学んだ言葉を、思いつく限り、必死に声を上げた。


 シスター・レミアが背中に手を当てながら何かを唱えると、不思議と咳が治まった。

 着替えは兎も角、山を越えて安心したのか、私は気が抜けて崩れる様に座り込んでしまった。

 安心すると余計な事を考えてしまうのは悪い癖とは分かっているが、これが回復魔法(ヒール)というのだろうかと思い巡らせてしまう。



 まさか、ゆで卵が孵化前の、バロットもどきだったとは思いもしなかった。

 ネットの写真で見た事は有るが、現物は始めてだったので気分が悪い。吐くに吐けず、しばらく空嘔(からえずき)を堪えるしか無かった。

 ここでは普通の料理なのだろうけど、流石に日本じゃ滅多に見かけない料理は、信永にとって刺激が強すぎた。


 海外の人達が生卵を食す事に驚くのを解った気がするが、今はそんな事はどうでも構わない。

 ただただ、横になって休みたい。それだけだ。



 この後の事はあまり覚えていない。

 気がついたら部屋の藁布団の中に居た。

 一応というか、部屋の隅に食事を用意してくれたが、流石に胃がむかついて食べられなかった。



 当分の間、卵を見るのが辛かったのは、言うまでもないだろう・・・。



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