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最強文豪-ただの作家に興味はない-  作者: 倉敷(クラシキ)
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許されざる行動4

立ち入りが許されないドアの前で何時間じっとしていたのだろう。

足が棒になった辺りで、そのドアから林部先生が出てきた。


「・・・サギは?」


「一命は取りとめた」


俺はふうとその場にしゃがみこむ。

足はビリビリと痺れて痛い。

でも安心した。サギは死んでいない。


「にしてもあの子があんなに大怪我するのは久しぶりだねえ」


サギを心配する素振りも見せず、情けないねえと言う先生に思わず掴みかかる。


「俺を庇ったからサギは怪我をしました。アイツは悪くない」


俺の手は震えていた。

きっとこの震えは恐怖じゃない。怒りだ。

サギに庇われてのうのうとしている自分への大きな怒りだ。


「あ、すいません」


林部先生に掴みかかった手をそっと戻す。

先生に八つ当たりしてしまったことに自己嫌悪感が増す。


「貴生川くん、落ち着いて。少し応接室に行こう」


先生はいつもの口調で優しく言った。


この屋敷は相変わらず綺麗で、応接室も豪華な調度品が並ぶ。

先生が頼んだのは珈琲。俺も同じものを頼んだ。


「かなり苦いけれどいいかね?」


「はい、構いません」


甘い飲み物で癒されたい気分ではなかった。

温かい珈琲を出され一口飲む。

苦味が口いっぱいに広がるが今は丁度いい。


「そういえば、あの子は紅茶が好きでね、よく私に食ってかかってきたものだよ」


先生はサギのことを「あの子」と呼ぶ。

きっと本当の名前を知っているのだろう。

それに比べて俺は全然サギのことを知らない。


それがとても悔しくて


「教えてください、アイツのこと」


気がついたら出た言葉。先生はしばらく考えたあと


「あの子のことを知るということは、それだけの重荷を背負うことになるがそれでもいいのかい?」


と珍しく問いかけてきた。過去を知ることは人生を知ることだ。

知らなかった頃にはもう戻れない。


それでも俺がサギのことを知りたいと思うのは、きっと何かの覚悟を決めたからだろう。


俺は首を縦に振った。


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