プロローグと一話
プロローグ
人にはたくさんの視点がある。
歩にもみやにも
勿論、俺にだってある。
だからね、君が一人だと感じることは何もない。
それでも感じるというならそれは、人間としての感情。
だから安心して僕達のショーを見てください。
真っ暗な闇に一筋の光が、そこには何かのテントが立っている。
スっと差し出された手。
「さぁ、行きますか?」
最初に聞いた声と同じ、その人は貴方を案内するかのようにエスコートしていく。
そして転生の準備が始まろうとしている。
00;39「男性としての助言」
俺には記憶がある。前世をどいう風に過ごしていたかとか、友人の事とか。今まで覚えてる。
彼らが何を目指して何があったという事も彼らの最後を手伝ったこともあった。
<夢>を叶えるという手伝いだが何より自分も楽しかった。
ちなみに言っておくが俺は喋るのが苦手だ。ギャグなら、前はよく思いついてはみんなを笑わせていた。多分俺は誰かの笑顔が好きだ。
それから大人になって編集者としての仕事を始めた。
その日、珍しく仕事が早く終わり、通勤で通る道を通るとそこには学生だろうか公園でポツンと座る男が一人。
悩んでいるのだろうか、頭を抱え何かつぶやいている。
(声をかけてみようか?でも迷惑ではないだろうか?)
そんなことを考えていたがズルズルと足を引きずるように青年に近づいていく。
「君。」
「?」
「何か悩み事?」
「え?」
「いや、何か考えているようだったから。それにオジサンはちゃんとした。社会人でノーマルだから。」
「……プッ。変なの。」
「………。(よかった。)」
取りあえず、悩める青年と共に夕食を食べた。
「へ?彼女に嫌われた?」
「はい。心当たりがあるので多分………」
「…………そうか。」
さっそく悩みを聞くと、彼女からメール・電話の返信は返ってこない。会っても話をしてくれないという事だった。しかも中学生だと思っていたが、高校生でした。
「はぁ、どうしよう…………」
「………とりあえず落ち着いて考えてみたらどうだ?」
「え?」
何気ない言葉だが、俺は意味があるように言った。
「ここが落ち着かせて、今は焦らず時を待つんだ。そうすればいつかチャンスはくるさ。」
「………オッサン。」
「ブッ、あのーなー!俺はまだ二十五だぞ!」
「ええ!!」
その後、楽しい話をして悩めていた少年を家へ送ってやった。
「オッサン、ありがとうな。」
「だからオッサンはやめろって………まぁ、別にいいが彼女を大切にしろよ?」
「おう、わかってるって!」
「………!、そういえばお前名前は?」
「俺?稔。神楽 稔。オッサンは?」
「 波川 優也だ。」
「おう!ユウさんありがとう!」
「ユウさんか……あれ?どっかで聞いたな<ユウ>って。」
何か忘れてしまった感情を思い出す。
それは前世の記憶。<み >と<あ >と過ごした日々。
「あー、そっか。あの二人付き合ってんのか。 そっか。」
すれ違うように離れた場所であの少年と一緒にいる彼女と思う女性を見た。
思い出される記憶、それでも優也は嬉しそうに乾いた笑いを上げた。
それでも彼は前を向き。
「!。(………あー、仲良くなれたか。さすがみやだな。あ、違う<稔>だったな。いけない<みや>はもういないんだ。)」
亡くなってしまった友人の名をどうしても言いたい、泣き叫びたい。
彼には忘れられない記憶、それだけは大切にとっておきたい。
その後彼は<家族>と共に大切な時間を過ごした。この記憶も忘れてはならない。写真・日記、彼は全てをしるし、すべてを記憶した。
忘れないように
“?、なぁお前っていつも何の小説書いてるんだ?”
「!、いや、何も書いてないよ。」
“?”
「(そう何も書いていないよ。
書いているのは俺の大切な記憶)」
一話 完