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東方気由狐  作者: わっちrt
20/68

19きつね


夏いね夏いねー


_________________________________


夜が明け、襖から朝日がこぼれて目頭を照らす。その眩しさによって目が覚めた。


「えーっ....朝か...」


そして自分の状況に気が付いた。俺は狐の姿に戻っていて何故か華羅に抱きかかえられている。こんなシチュエーションなら興奮すること間違いないだろう。


だが凌は自分の状況に混乱しているのでそんなことは微塵も思い浮かばなかった。


えぇっと、昨晩は酒を飲んで倒れたんだっけ?起きたら美女に抱かれている...と


こういう場合、他の連中に見られて一悶着あるのが良くあるゲームのお約束なんだが....


「華羅ちゃん!?なんで凌さんを抱いてるんですか!?」


「え!?この狐って凌だったの!?」


うん、予想通りですわ。


「そうですよ!可愛いでしょう!」


待て待て、何で自慢気に言うんだ?


「襲いたくなるくらい可愛いわね...」


これは危険だ...!!紫の奴目が本気じゃねーか!?


「なんや〜?うるさいな〜」


やっと起きたか、さっさと解放してくれ。寝ぼけて俺を抱き枕にしたことは許してやるから早く解放してくれ。


「凌君がこの姿になったの見て〜抱き枕にしたら気持ち良さそうやな〜って思ったら本当に気持ち良かったのよ〜」


確信犯かよ


「ズルイです!私にもぎゅうさせて下さいよ!」


「私にも貸しなさい!」


「うるさあああああああい!!!」


人化して尻尾を10本解放する。無理矢理に華羅の腕から抜け出して避難した。10本でもキツいってどんな腕力してんだよ!


「楽しそうですねぇ」


風砥がニコニコしながら大部屋に入ってくる。与えられた部屋で寝ていたのだろう。


「風砥!何で俺を避難させなかった!?」


「させようと思ったんですよ?既に華羅さんに拘束されてましてね」


「拘束なんてしてませんわよ〜」


これは何なんだ?朝から恐ろしいほど疲れるな。取り敢えずやることが一つ


「もういい!.....先ずは片付けだ」


辺りには食器が散乱している、何枚か割れているのが見える。うわっ、俺の世界だったら4万円はするぞこれ。


そんな俺の声に「りょうかーい」とやる気のない返事をするその他4人。渋々だがしっかりと片付けしているので有難い。


紫は割れ物をスキマ送りにしている。どこに繋がってるんだあれ?大丈夫なのかね?



「終わったわね...」


「ああ、ご苦労さん」


「別にお客さんなんだから片付けなんてええのにな〜」


「そうは言ってもな....こうでもしないと気が済まないんでな」


お返しはしっかりするタイプなのだ。バレンタインに義理チョコでもなんでも、貰ったらしっかり返す事が大事だからな!


「なるほど〜、これはいい男だね〜」


「そりゃどうも」


さてさて、本日やることが一つ。


「なあ、家を建てたいんだが」


「「ええ!?」」


「なんだよ」


「ウチに住むっていう選択肢は?」


「ない!」


俺は一人でのんびりしたいんだよ。


「そうね〜、場所は何処にする〜?」


「出来ればこの山が良いんだけど...」


「そうやね〜...良い場所があるから着いてきて〜」


そう言って飛び出す黒い翼。相変わらず大きいな、格納式とは驚いたけど。



「ここよ〜」


「随分と広いな、いいのか?」


「構わんよ〜」


目の前にあるのは山の傾斜では無く大きな草原だ。この山には所々平らになったこのような場所があるらしい。家造りには最高の場所だ。


「さて、家造り開始しますかね」


「凌さん、私は人里に住むことにしますよ」


「ん?どうしてだ?」


「人間の生活と言うものを体験してみます、紫さんが人里に一軒家をくれるそうで」


「そうか...たまには遊びに来いよ」


「気が向いたらですね」


一人暮らしか、俺が高校生だった時は憧れたものだな。ラノベの読みすぎで変な妄想しかしてなかったけど...


「家造りは手伝いますよ」


「いいのか?」


「そんなに疲れることにはならなそうですよ?ほら」


「私達も手伝いますよ」


「幻想入りのお祝いよ」


「天狗達にも伝えておいたわ〜」


「お前ら仕事は?」


「「「これが仕事よ(ですよ)〜」」」


「職務放棄に加えて職権乱用だ!」


「と言うわけで、凌さんは出来てからのお楽しみになります」


サラッとスルーしてるけど良いのか?それ?


「いや、俺も手伝うよ?悪いもん」


「ダメよ、完成までは」


「そうです、お楽しみです」


ん?このパターンはどっかで...?


「どうしてもダメか?」


「「「ダメ」」」


「お前ら、変な家造る気だろ」


絶対そうだ。俺が居ない間にとんでもない家を造る気だ。


「り、凌。あなたに会いたいって私の式が言ってるのよ、是非会ってくれないかしら?」


「式?」


「ええ、簡単に言えば部下みたいなものよ」


「別に構わんが」


「じゃあ行ってらっしゃい」


え?と声をあげる暇もなくスキマに落とされた。


「さてと、どんな家にしましょうか?」


「帰ってくるまでにさっさと造っちゃいましょう」


「広さは私達が住める位には...」



ドスンッ!


「痛〜...早く戻らないと...!!!」


何処だここは?ちょうど目の前に家があるし聞いてみるか。


「こんに....!?」


背後に気配がする、振り向いたら殺られる。いや、死なないけどさ。


「何者だ?ここを何処だか分かっているのか?」


「い、いや。紫に落とされたらここに...」


「...紫様が?..........!よ、良かったら名前を伺っても!?」


殺意が消えて驚いたかのような声を上げる。初めはドスが効いたような声だったから男だと思ったけど可愛い声じゃないか。


「俺は鈴谷凌だ」


「!?あわわわ...!な、何てことをしてしまったんだ...凌様に殺意を向けるなんて....狐としての一生の恥だ....ど、どうすれば?いや、もう遅いか?あああ...」


なんだか混乱してるみたいだな、可愛い。


「なあ」


「ヒィィッ!?ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


「一回落ち着け!」



「それで?」


「はい、私は八雲藍と申します。紫様の式でございます、凌様の噂はかねがね...」


「なあ、その凌様ってのと敬語止めないか?ムズ痒い感じがする」


「そ、そうですか?」


「敬語」


「わ、わかった...り、凌...でいいのか?」


「大丈夫だよ」


「そ、そうか。それでな、お願いがあるのだけれど尻尾を見せてくれないか?」


「ほらよっ」


そう言って15本解放する。


「本当に9本以上ある....だけど妖力が感じられないな」


「ああ、それは抑えているからだよ。15本分の妖力を出したらこの家が吹き飛んじゃうよ」


「妖力で家が吹き飛ぶのか...流石だな...」


「なぁ、どんな噂を聞いてるんだ?」


「なんでも最古の妖怪らしい事、鬼子母神よりも強いらしい事、紫様の旦那になるらしい事だな」


「最後以外は本当....なのかな?」


最古だとは思うけど確信がある訳ではない。舞よりは強かったが今は無理だろうな。


「そ、そうだ!藍、早く戻らないと俺の家が大変なことになるんだ!出口を教えてくれ!」


「え、えっと出口は無いぞ?」


「そんな!?どうにかならないのか!?」


「少し待て、今スキマを開くから...」


「お前も出来るのか?」


「式になればある程度はな...」


スキマは便利だから式になっても...いや、俺の勘が物凄い反対しているので止めよう。


「開いたぞ!」


「ありがとう藍!またな!」


開いたスキマに超スピードで入る、一気に妖怪の山の麓に出ることができた。


「あの方が紫様の...か...」


藍はそう呟いてスキマを閉じた。



風砥の時の二の舞は絶対に避けるべく俺は走った。実質、1時間は過ぎている。だが1時間あればあいつらの事だ、完成に近づけているかもしれない...!


「早く戻らないと.....!!!」


焦りながら走って山を登って行った。この時位は飛べば良かったのにね。そんな事を思いつく暇もなかったのだろう。


_________________________________


次回、家編かな

あとは挨拶周りとか


乱射魔乱射魔


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