38話 訪問者
休学が明けてすでに4日が経っている。
平穏な日々が続き、もう何も起こらないような
予感までさせそうだ。
尚也は1人ある作業に没頭していた。
先日の氷の魔術を行使し魔力で溶けないように固定し、
氷で睡蓮の花を作りそれをネックレスにつける。
チェーンは18金ピンクゴールドを採用した。
氷の魔術を見せた時に思いついた方法だった。
水の魔術の制御みたいに氷の魔術も制御し形を変え
なんとか溶けないように固定させれないものかとやってみたら
意外と簡単にできてしまったのだ。
ケースにネックレスを入れて鞄に仕舞い電気を切って消灯する。
次の日…
美咲も尚也も寝坊したので遅刻ギリギリとなり
ネックレスは渡せず授業に入った。
1時間目は教科の先生が風邪でお休みになり自習をしていた。
半分が過ぎたころ廊下から2人の女性の声が
聞こえてきて教室のドアに前に立ちノックをした。
ドアを開けたのは如月紀子担任の教師だ。
「自習のとこごめんねー新堂君いるかなー?」
「はい?どうしたの紀子ちゃん」
「えっと…なんて言えばいいのか新堂君を
訪ねて遥々合衆国からきた人がいるのね…」
合衆国と聞いて尚也、美咲、勇二がさっと前のドアに目線を映した。
シェラがもう帰ってきたのか…あるいはアクションの方か…と。
「先生もういいので私が!新堂君悪いが
前に出てきてもらえるかな?
面識がないので顔がわからないのだ!」
その女性は軍服を着ており、一瞬何かのコスプレかと
思った生徒はもちろん何人かいただろう。
その女性が辺りを見回し尚也を探していた。
美咲と勇二が尚也に大丈夫かと促すが頷き返すと
尚也は席を立ち前のドアの方の女性に向かっていく。
「君が新堂君かな?」
「はい。俺は新堂尚也といいます」
「私は合衆国軍の中佐 エミリー・ムーアだ。
ここで話すのも何だ、中庭で少し話を聞きたい
のだがいいか?」
「わかりました」
「他の人はそのまま自習ねー。
こら~騒がないで勉強していなさいよー」
軍て何?どういうこと?っと生徒同士が会話しているのを
担任が生徒達に注意を促すとそのまま教室に残り自習見守った。
尚也は中庭に移動しながら目の前に歩く、女性を観察していた。
魔力は感じないが…こげ茶の髪にまだ幼さの残った顔が
可愛らしい雰囲気を出していた。
しかし、容姿は別として軍が動いていることに緊張は
高まっていた。
「授業中にすまない。
私も忙しいのでゆっくりもしてられないので」
「それで俺に話とは?」
「君に会う前に光の守り手であるサナカエデから
ある程度事情は聞かさせてもらっている。
我々は封印を解くことを決定し、それを今必死に
行っているが…協力してもらえないだろうか」
目の前の女性はあまりにもバカバカしいことを言っている。
危険だから…手に負えないからと自分の半身をも使い
運よく封印できたと言うのに…封印を解けばレンを助ける
手段を使うことはできるが、最悪そんなことは言っていられないほどの
状況になりかねない。
「正気とは思えませんね…アレを起こすなんて…
紗菜から中に何がいるかは聞きましたよね?」
「ああ聞いている…君が封印に寄って力を失ったこともだ」
「当時の俺の見解では上級魔術で攻撃しても
微々たるダメージしか与えられなかった…
残された手段は封印しかなかった。
この意味が判りますか?」
「判っているつもりだ…しかしこれは決定したことなんだ」
尚也はその言葉を1番嫌っていた。
上が決めたから仕方がない…しょうがない…
決定しているんだ…君の意見は要らないんだと
そう言われることに。
「あなた達はいつもそうですね。上が決めたことだからと
それがどんな状況をもたらすか知っていたとしても
知ったことではないと!全く反吐がでますよ!
もう俺には力がありませんし、お話することもありません、
失礼します」
尚也がはらわたが煮えくり返りそうになりながらも
礼をし、その場から踵を返して教室に戻っていった。
とり残されたエミリーはやれやれと自分の髪を撫で
組織とはいちいち下の意見を聞いていたらやっては
いられないこともわかっていた。
だが、尚也の言ったことも十分に的を射ていたこともあり
去っていく尚也に言葉を掛けれなかった。




