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36話 追想

1人の魔術師と軍服を着た女性が廊下を並んで歩き、

1枚のドアの前に立ちノックをすると声をかけた。

中から入れと声が聞こえる。


「将軍失礼します。

 ローレン殿をお連れしました」

「ご苦労…

 ローレン殿そちらに…中佐、コーヒーを頼む」


中佐と呼ばれた女性はすぐに給湯室に向かい

飲み物の準備をしだした。

ローレンはソファに座り将軍が話しかけて

来るのを待っている。


「ローレン殿…もう耳にしていると思うが、

 日本にもγ(ガンマ)が現れそして倒された。

 あなたはそれについて何らかの情報を持って

 いるようだが話してもらえないだろうか?」


何かを思いつめたように話しだした。


「信じがたい話なのですが…

 5年ほど前になります…」


ローレンは過去この地に見習いの魔術師達がいたことを話し、

その時にこの洞窟で何があったか聞いたことを鮮明に

思い出しながら事の詳細を報告した。

将軍はローレンの話に一切口を挟まず、ただジッと

その話を真剣に聞いていた。


「確かに信じ難い話だ…しかし…

 今の現状では有力な手掛かりだ。もし5年前の話が

 本当に起きたものだとしたのなら…

 この封印は子供が作ったことになる…

 正規の魔術師でさえ封印の解除にこんなにも

 時間を要しているというのはおかしくはないか?


顎の髭を触りながら深刻な顔をしていた。


「お言葉ですが、子供と言っても当時すでに彼は私を超えて

 いたのです。禁呪まで発動させて手がけた封印…

 普通に解けるはずがありません。

 そして、彼は今日本にいるはずです。」

「まさか…封印の中身が追手を差し向けたと?」

「おそらく…しかし今の彼は禁呪のせいで魔力を失っているはず

 戦っても勝てるはずもなく…

 光の守り手、偶然紗菜がいなければ死んでいたでしょう」

 

コンコン

ドアをノックする音が聞こえ中佐がコーヒーを持ってきた。

2人の前にあるテーブルに置き、そのまま部屋に残り話を聞く

態度を示していた。

将軍が中佐にローレンが話したことを大まかに伝えていた。

そして、中佐は同時に本部よりの命令書を将軍に渡した。


「封印の解除を最優先事項か…

 上は何を考えているのやら…

 防衛体制の強化をせねばな。

 ローレン殿が言われたことが本当なら、

 解除したときに危険があるかもしれない。

 色々対策を練るにしても…

 中佐!貴官は日本へ行き、光の守り手及び新堂尚也から

 事情と協力を求めに行きたまえ!」

「了解しました」


会談は終了した。

将軍は中佐にローレンの言ったことをレポートにまとめて

本部に送るように命じが、それは徒労に終わった…なぜなら

そんな夢物語のような話を信じるわけがないからである。


「厄介なことになったな…

 魔術師の人員の強化も視野にいれて

 本部から1人くらい優秀なのを派遣してもらうか」


将軍は申請書にマスタークラスの魔術師の要請を

促すと共に、先日の奇襲の際の被害報告…

軍備の増強を強めようとしていた。



ローレンは廊下を歩き、魔術師の宿舎に向かっていた。

懐かしくその施設を見渡す。


「ここを去って2年振りくらいか…

 尚也は私を恨んでいるだろう…きっと」


ローレンは裏山の方を窓からみると立ち止り

5年前のことに思いよ寄せていた。 




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