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シャンテル王女は捨てられない〜虐げられてきた王女はルベリオ王国のために奔走する〜  作者: 大月 津美姫
2章

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45 部屋割り

 途中の街で一度馬を乗り換えながら、シャンテルたちは城を目指した。

 夕方には王都の二つ手前の街まで辿り着いていた。今日はこの街で休息して明日の早朝、日が昇る前に出発する。


 夕食の席でシャンテルを城へ呼び戻しに来た騎士から詳しい事情を聞く。シャンテルがニックに宛てた手紙は彼が城を出発する一時間ほど前に無事届けられたようだ。

 ニックもシャンテルの手紙を読んで、今回の件と関わりがある可能性を考えているようだ。シャンテルが戻るまでに資料を用意して先に目を通しておいてくれるつもりらしい。


 今、城内はどうなっているのかしら?


 国王陛下はこの件にきちんと対応できているだろうか。バーバラは国費の管理を杜撰に行っていたのか、それとも彼女が国費に手を出していたのか……


 考えただけで胃が痛くなりそうだ。


 お腹を満たした一行は、街に到着した時に慌てて取った宿に戻る。と、そこで問題が発生した。


「申し訳ございません。二名様用のお部屋を二つお取りしてしまったようです」


 小さな宿屋には一人~四人部屋が用意されていた。

 シャンテルたちは一人部屋と三人部屋を取れたと思っていたが、どうやら手違いがあったらしい。

 部屋の変更を願い出たが、今日は満室でもう空いていないという。


 四人は顔を見合わせる。流石に他国の王族を騎士と同室にさせるわけにもいかない。だけど、エドマンドとアルツールを同室にすることにも不安があった。

 周辺の宿屋も当たってみたが、発覚したのが遅い時間であったた為、どこも満室だった。


「仕方ない。専属護衛騎士の俺がシャンテル王女と同室になろう」

「何を寝ぼけたことを言う。そこは従兄妹である俺がシャンテルと同室になるぞ。間違いが起こったらどうする」

「エドマンド皇子とアルツール王子が同室になられてはどうです? 私は騎士団の任務で第二騎士団の皆さんと野営もしたことがありますし、こちらの騎士と──」


 エドマンドとアルツールのやり取りにシャンテルが口を挟むと、「却下だ!!」と揃った声が返ってくる。


「ではシャンテル王女はお一人でお部屋をお使いください。私はエドマンド皇子とアルツール王子と同室になって床で寝ますから」


 エドマンドとアルツールの反応に騎士が遠慮しながらそんなことを口にする。


「それはダメよ。せっかくベッドがあるんだから、床で寝るなんて許しません。やはり貴方が私の部屋に──」

「駄目だ」


 またしても揃ったエドマンドとアルツールの声。


「未婚の女が軽々しく男を部屋に招くな」


 アルツールが指摘するようにその問題がある。だからこうして困ったいるのだ。


「そうは言っても、誰かとは同室になります」

「少なくともコイツとエドマンド皇子は駄目だ。間違いが起こったらどうする」


 “間違い”と二度も言われてシャンテルは頬が熱を持つ。だが、エドマンドとアルツールはそれに気付かない。


「待て。何故アルツール王子は良いことになっている。アルツール王子もシャンテル王女との婚約を狙っているだろう」

「俺はシャンテルの従兄妹だ。それに将来シャンテルと結婚する予定だから問題ない」

「問題大有だ。シャンテル王女と結婚するのは俺だ」

「……」


 もう何を言っても無駄のようだ。それを悟ってか、騎士も諦め顔で黙り込んでいる。

 この気難しい二人のどちらかと同室になってもらう彼には悪いが、それはシャンテルも同じだった。


 同室になるなら、どちらがいいか想像してみる。


 アルツールは先ほどからの話を聞いていると、“俺となら間違いがあっても問題ない”スタイルね。

 うん。却下だわ。では、エドマンド皇子は…………


 考え始めると、シャンテルの頭の中に午前中の出来事が駆け巡る。手に口付けられたり、恋人繋ぎをされたり、それからシャンテルが好きだと言っていたものを覚えていたり……

 それらを思い出しただけで恥ずかしさまで蘇ってきた。


「シャンテル!」

「シャンテル王女!」


「はっ! はいぃぃっ!?」


 シャンテルが考え込んでいた間もアルツールたちは言い合っていたようだ。

 急に呼ばれてアルツールたちがが振り向いたかと思うと、尋ねてくる。


「お前はどっちと同室が良い?」

「ア、アルツール王子でお願いします!!」


 シャンテルは反射的に叫んでいた。



 ◆◆◆◆◆



 部屋割り問題はシャンテルとアルツールで纏まりかけたが、“シャンテル王女に何かあってはいけない! アルツール王子と同室であることも心配だ!!”と、視察中同様にエドマンドが交代で部屋の前を見張ると言い出した。


 それなら交代したときにベッドが一つ空くのでは? と言う騎士の指摘に三人はハッとさせられた。


 まさに名案な解決案により、シャンテルは一人で、エドマンドたちは三人で部屋を使うことになった。


 アルツールはシャンテルに選ばれたという上機嫌から一転、ムスッとして納得いかない顔を浮かべていた。だが「俺は騎士ではないから、見張りはしないぞ」と宣言し、丸く収まった。


 翌日。まだ陽も昇っていない真っ暗な時間から、シャンテルはベッドから出て身支度を整える。

 少しでも早く城へ到着するために、朝食も城に着いてから摂るとこにした。どちらにせよこの時間はまだお店も開いていない。城に到着してからとなると、普段より遅めの朝食になるが、人々が街で活動する頃には城に到着出来そうでほっとする。


 それはそうと、アルツールとエドマンドの機嫌が朝から悪かったことがシャンテルは気になった。


 アルツールはともかく、エドマンドの機嫌が悪いことには心当たりがない。同室だった騎士にこっそり尋ねたが、昨夜に部屋割りの話をして解散したあとからずっとあの調子らしい。


 まさかとは思うけれど、私がアルツールを選んだことに不満だったのかしら? と考えたが、そんなわけないわよね。と、その考えを押しやった。

ここまでお読みくださりありがとうございます!

実はまだ二話ほど書き溜めていたものが残っているのですが、旧バージョンの更新はここで終了とさせていただきます。


今後はリメイク版の『シャンテル王女は見捨てられない〜虐げられてきた頑張り屋王女は婚約者候補たちに求婚される〜』をよろしくお願いします。

なおリメイク版の4章開始は5月下旬か6月上旬を予定しています。

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