魔獣との出逢い
その日は森の様子がいつもとちょっと違かった…
2日前に凄い嵐が来て木々が倒れていたり所々川が増水により氾濫していたりで地形が変わってしまっていた…
怪我をしている動物もいるので治療魔法で直してやり必要なら木を切って、精霊の力も借りて森を再生する。
この森は霊樹の森と言われ竜帝が許可したものしか入ることは許されない。なので自然災害の後は魔法の訓練も兼ねて見回ったりしている。魔物に遭遇したら勿論私の返済のために討伐する。
「わっ!ここ土砂崩れ起きてる!」
『ホントだね〜、どうする? ちょっと範囲が大きいから再生は止めとく?』
一緒に今日は見回ってくれている森の精霊に聞かれる…
「確かにちょっと広い…けど…うーん土砂だけ片付けようかな〜」
再生までやるとなると結構時間がかかりそうだったのでとりあえず倒された木々と土を分けておけば、再生は自然に任せてもいいかもしれないと思って、精霊に聞いてみる。
『そこまでやってくれれば、僕たちで時間をかけてやっていけるからお願いしたいかなぁ』
「オッケー!じゃあ結界張ってやっていくね!」
結界は範囲を指定して結界内を必要な条件に指定して使用するんだけど結構難しい範囲の指定がうまく出来なかったから自分なりに工夫した結果…まず手のひらに小さいCUBEを作って理想の大きさまで広げて固定し、次に結界内の条件を指定する… 今回はまず無重力にする。
すると結界内の土砂が浮いていく…
「…動物とかはいないかな?」
一応災害現場では要救助者がいないか確認しないとね…
「ん?」
なんだか奥の方に尻尾見たいのが見えたような?
『あっ、魔獣だ!』
「魔獣?」
魔獣って確か…、動物でも魔物でもなくて魔力を持った獣だっけ?魔物から進化した説と動物→霊獣→闇落ち説があったっけ?問題を起こしていなければ討伐対象にはならないんだよね。
「生きてるのかな?」
奥の方にいたって事は殆どの土砂の下敷きになったって事だし、2日経ってるから生きてはいないかな?
『んー…僅かだけど生命反応があるかなー?…でも助けられるかは分かんないね。』
「とりあえず風魔法でこっちによせるね〜」
無重力状態の結界内の中で移動させるのは風魔法がお手軽だけど加減が難しい…
何とか木々や土砂を退かして魔獣を近くに引き寄せる…
「結構大きいな…」
魔獣は全体的に色は黒く狼みたいだけどサーベルタイガー?みたいに長い牙を持ち、体毛が長かった。
魔獣を結界から外に出し、結界内の条件指定を変える。土砂のみを落とし、木々はまとめて一旦結界解除する。
もう一回木々の塊に範囲を指定し直して炎で焼き尽くして終了する。
「まだ生きてる?」
『うん』
「じゃあ治癒魔法で治療するよ」
先に状態をみると…全身至る所の骨が折れていて内臓も損傷していた…脳や心臓は大丈夫そうなので、内臓を先に直して骨折を直して…後は体力を戻してくれるポーションを口に流し込む
「どうかな?」
耳や足がピクピクしていたので大丈夫そう
「体が泥まみれだから洗っておいた方が良いかな?」
『茗気をつけて!襲ってくるかもしれない!』
「えっ! そうなの?」
魔獣から離れて様子を伺っていると、ピクピク動いた後、ゆっくりと起きがった…
「っつ!」
凄いプレッシャーをかけられて思わず息が詰まる…
動いたら殺されると思うほどの殺気を飛ばしてきたので自分も魔力を放出して威圧を返す…
お互いに睨み合ったまま時間は経ち、そろそろ1時間は経とうとしていた…
『茗絶対に視線を外したり魔力を弱めてはダメだょ!』
「…了解! でもどのくらいこうしてれば…?」
お互いに睨み合ったまま時間は過ぎて行く…
額にうっすらと汗が滲んできて、そろそろ限界が近い事を知る… ここまで魔力の高い相手はトリス以外は初めてだった
「くっ…もう限界…」
『茗頑張って!』
その瞬間、今までの威圧が消えた…
「…え?」
びっくりして体制を崩してしまい、魔獣を見失ってしまった!
近くにはいない?探査魔法を使って周囲3キロまで探してみるけどいないみたいだった…
「なんだったんだろう?」
『なんだったんだろうね? まぁ無事でよかった〜』
「そうだね!今日は疲れたからもう帰ろうか! 」
『さんせーい!』
それにしても何処に行ったんだろう? 瞳が深い藍色で実はとても綺麗だと思っていたんだけど…ちょっと魅入っていたのは内緒にしておこう