第40話:王都への凱旋と『P』の刻印(挿絵あり)
生成AIで画像を作ってみました。
この話数から自動で作っただけなので、本文や他の画像との矛盾はご容赦ください。
我らが第零工房の王都への凱旋は、歴史に残るスペクタクルとなった。
先頭を歩くのは、堂々たる巨躯を誇る、新生の守護巨神『アレス』(元タイタン)。その後ろを、俺たち工房のメンバーが意気揚々と続く。王都の民衆は、その異様で、しかしどこか頼もしい光景に、最初は度肝を抜かれ、やがて熱狂的な歓声で俺たちを迎えた。
「見ろ! あの巨人、帝国の魔導兵器が、我らが王国の守護神になったそうだ!」
「そして、あれを従えているのが、噂のフィン・アッシュフォージ様!」
「英雄だ! 王国の英雄の凱旋だ!」
俺はアレスの肩の上で、民衆の熱狂に手を振って応えながら、内心で苦笑していた。いや、俺、ただの鍛冶師なんですけどね。
◇
王宮での凱旋報告会は、成功を祝う祝賀ムード一色だった。
国王陛下は、上機嫌で俺の功績を褒めちぎり、ついにこう切り出した。
「フィン・アッシュフォージよ。そなたの功績は、もはや一介の職人の枠に収まるものではない。よって、そなたに男爵の位と、王都近郊の土地を授けることを決定した。これより、フィン・アッシュフォージ男爵と名乗るがよい!」
「はぁ!? 男爵!?」
俺は思わず素っ頓狂な声を上げた。面倒くさいことはごめんだ。平民として、ハンナやセレスティーナのけしからんボディを愛でながら、鉄をプロデュースする。それが俺のささやかな夢だったのに。
「陛下、め、滅相もございません! 私のような若輩者に、そのような大役は…!」
俺が必死に固辞しようとすると、隣に控えていたセバスチャンが、そっと耳打ちしてきた。
「工房長。お気持ちは察しますが、ここは謹んでお受けするべきかと。あなたが貴族の列に加わることで、第零工房の公式な予算は増額され、活動における様々な制約も緩和されます。つまり、より自由に、あなたの『プロデュース』に専念できる環境が手に入るのですぞ」
…なに? 予算アップと、活動の自由?
それは、プロデューサーとして、喉から手が出るほど欲しいものじゃないか。新しい機材、最高の素材、そして、新規アイドルのスカウト資金…。
「…謹んで、お受けいたします」
俺は、欲望に負けて、あっさりと手のひらを返した。
こうして、俺は晴れて『フィン・アッシュフォージ男爵』となった。
続く叙任式の場で、紋章官が俺に尋ねてきた。
「男爵閣下。して、アッシュフォージ家の紋章は、如何様な意匠にいたしましょうか?」
紋章ねえ。うち、ただの鍛冶師の家系だから、そんなもんないんだよな。
俺は少し考えると、こう答えた。
「俺は、プロデューサー(Producer)だからな。シンプルに、アルファベットの『P』の一文字で頼む」
そのシンプルな紋章は、その場にいた人々に、様々な憶測を呼んだ。
ルミナス公爵:「(ほう、『P』か! 王国を守る守護者(Protector)! あるいは、平和(Peace)の象徴か! なんと深遠で、力強い紋章であろうか!)」
ハンナ:「(P…! フィン君が作ってくれた、美味しいポテトのPかな…?)」
帝国の密偵:「(『P』だと!? まさか、懲罰(Punishment)の頭文字か!? 我ら帝国に対する、冷徹なる警告! この暗号、即刻本国に伝えねば!)」
そして、ベアトリスは、ついにその場で卒倒しそうになるのを、必死で堪えていた。
(P……。古の禁書に記された、万魔が住まうという地獄の首都、Pandemonium…。あの男、ついに、自らが魔人であることを、隠そうともしなくなったわ…! この紋章は、彼の支配の象徴そのものよ!)
後日。俺は第零工房の製品すべてに、品質保証の証として、この『P』の刻印を打ち込むことに決めた。それが、味方からは「プロデューサー(Producer)の紋章」として絶大な信頼を集め、敵からは「苦痛(Pain)の紋章」として、地獄の刻印のように恐れられることになるのは、また別の話である。
◇
工房に戻った俺は、生まれ変わったアレスの足元へと向かった。
巨大な足首の装甲に、俺は魂を込めて、自らの新たな紋章をタガネで刻み込む。
カン! カン!
『P』
「よし。これで、今日からお前も、正式に俺の事務所の所属タレントだ。デビュー、おめでとう、アレス」
俺が満足げに呟くと、アレスは応えるように、その巨大な青い瞳を、誇らしげにキラリと光らせた。
その背後で、ベアトリスが「魔人が…自らの所有物であることの証を、巨神に刻み込んでいる…」と、青い顔で呟いていたことなど、今の俺には知る由もなかった。




