第77話 5億9000万ボン
俺たちは文さんの宿に戻ってきた。
「で、7億ボンはどうする?」
「ユウヤが決めればいいだろう...」
「まぁ、まず1億ボンはアイキー用だよね?」
「あぁ...そうだろうな...」
ユウヤとカゲユキが話し合っている。
「宿代も忘れるなよ?」
「あぁ!忘れないよ!24万ボンで、6日だから...150万ボン払えばいいよね?」
「144万だぞ...」
「だから150万でいいだろ?」
「あ、あぁ...そうだな...」
「俺らもお金は必要だよな?」
「あぁ...5億9000万ボンは流石に持ちすぎだとは思うけどな...」
「そうだよなぁ...どうしたらいいと思う?」
「3000万ボンほどは分けて持って...後の5億6000万ボンは小さな物する...例えば宝石だな...」
「宝石かぁ...マユミ!リカ!ショウガ!」
「どうしたの?」
「呼びましたか?」
「アクセサリー...欲しい?」
「え、買ってくれるの?」
「我も欲しいぞ!」
「欲しければ...買うよ?」
「私は...大丈夫です...」
「え、リカは要らないの?」
「はい。私は...奴隷なので...」
「おい、リカ!何言ってんだよ!奴隷じゃねぇ!仲間だろ!」
「はい...ですが...」
「ユウヤに買ってもらえ!」
「そうか...じゃあ、決めた!」
ユウヤが立ち上がった。
「お、宝石?」
「5億5000万ボンは寄付しよう!」
一瞬、場は沈黙する。
「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ???????寄付ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ????????」」」
「あぁ!」
俺らはつい口を揃えて叫んでしまう。
「え、なんで?なんで寄付なの?」
「ここで、借金背負って働いている人がいるんだろ?なら、少しでも助けなきゃ!」
ユウヤが本気でカ○ジみたいなことを言い出す。45組かよ。
「ちぇ...宝石じゃないのかよ...つまらないの...」
「ユウヤが決めたなら、しょうがねぇ...我慢するかぁ!」
こうして、5億5000万ボンは寄付することに決まった。
***
「それでは...さようなら...」
「あぁ!文さんも元気でな!」
「わかりました...ご武運を祈っておりますので...」
俺たちは1億ボンを持ってアイキーを交換しに行く。もう、5億5000万ボンは払われて数十人が借金から解放された。そして、アイキーを交換して時空の結界へと向かう。
「あーあ!風俗、あったらしいから行ってみたかったな!」
トモキが何か言っている。マユミに少し尻を燃やされていた。
「あの、ユウヤさんですか?」
ユウヤは数人の女性から話しかけられている。
「あの、ありがとうございます!」
「えぇと...あなたは?」
「私は、あなたのお陰で体を売る仕事から足を洗えたんです!本当に!本当にありがとうございます!」
「感謝しています!何かしてあげたいのですが...体しか無くて...」
「大丈夫!大丈夫だよ!何もいらない!」
「でも...」
「いいんだよ!大丈夫!大丈夫!」
「そうですか...なら、本当にありがとうございます!」
女性は礼をすると、帰っていった。
「なぁんか...ユウヤ、幸せそうだな...」
「えぇ...そうね...」
トモキとマユミはそんなことを話しながら、ユウヤの少し後ろを歩いていた。
「なぁ、ユウヤ?」
「どうした?リューガ?」
「3の世界で、傘下になるって言ったが...これからはどうする?」
「そんなの決まってるだろ?ずっとついて行くよ!」
「そうか...それならよかった!」
「どうして、そんなことを聞いたの?」
「俺はお前らを危険に晒してるだけだからよ...」
今思えば、マユミはモンドに襲われかけユウヤは幽霊に心臓を掴まれ死にかけた。カゲユキは4の世界でアイキーの場所を突き止めた。俺たちは何もしていない。俺らと関わらなければフミヤと戦うこともなかった。
「リューガやショウガ・リカがいた方が楽しいからよ!」
「そうか...ありがとうな...」
「はい!助け合いだろ!」
「あぁ!そうだな!」
***
「ここが...時空の結界か...」
「あぁ...そのようだな...」
「じゃあ、6の世界に行くぞぉ!」
ショウガはアイキーをはめる。そして、時空の結界の中へ入っていく。
***
「フミヤも殺された...」
「本当か?」
「あぁ...連絡が来ない...」
暗い空間で3人が喋っている。
「そうか」
「連絡がないなら...『精神浮遊』じゃないのか?」
「『精神浮遊』でも、すぐ連絡しにくるだろう...そう考えるとおかしい...」
「あぁ...そうだな...」
「アイツは動くだろうな」
「あぁ...まぁ、しょうがないな...あいつは狂信者だから...」
***
「ここが...第6の世界か...」
俺たちは第6の世界に到着した。空は曇っている。もうすぐ雨が降りそうな雰囲気だ。
5の世界に来たときのような騒がしさは無く、静かな住宅街が奥には広がっていた。
───5章、終了。




