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第521話 ダヴィ

 

 セイジとアハトの頭上に降り注ぐのは、ダヴィが降らせた大量の隕石。

「ざ〜こざ〜こ♡くそざこお兄さんにはこの数の隕石を対処できるかな?」


「セイジ!」

「さっきのように風魔法で隕石の軌道を帰るのは無理でちゅ。さっきは、隕石の場所を調整して風魔法を使用しまちた。でも、今回の量は駄目でちゅ。時間がたりないでちゅ」

「じゃあ、うまく頑張りなさいよ!」

 アハトは、自分に命の危機が迫っているために焦っているのかセイジに向けて怒鳴る。


「ママに、アハトお姉チャンは優ちくないって報告してやりまちゅ」

「アンタにお姉チャンって呼ばれるほど年は食っていないのだけど...」

「まぁ、ここで何もせず死ぬのは嫌なので、少しは抵抗してやりまちゅ。話しかけないでくだちゃい」

 そう言って、セイジは闇魔法「グラヴィティ」や風魔法「ウインド」を使用して、隕石と隕石をぶつけて軌道を変えるように調整している。


「この量を一気に破壊ってのは難しいでちゅね...」

 隕石同士がぶつかり、弾かれるように軌道がずれていく。だが、それでも間に合わないものは間に合わない。


「このままじゃ駄目でちゅ。せめて、ぼくと同程度の魔導師が後2人はほしいでちゅ」

「そんな無茶言われても...アタシができるのは『謝罪』くらいだし...」


 ───と、この時アハトは疑問に持つ。


 これだけ、隕石を降らせてしまえばダヴィだって危険なはずだ。それこそ、巻き込まれてしまうだろう。

 なのに、どうして逃げようとしないのだろうか。自分諸共隕石にぶつかって死ぬつもりなのだろうか。


 ───いや、それは彼女の性格を考えてもそんなはずはないだろう。


 彼女は、自分可愛さで行動している節がある───と、アハトは踏んだ。

 ブーロン2世に忠誠を使っているが、自分が死ぬまでのことは行わないだろう。


「じゃあ...」

 アハトはダヴィが何か回避する全てを持っていると考える。それを奪うなり利用したりすればいいだろう。

「───セイジ、こっちに来て!」

「隕石は...」

「いいから!」


 アハトは、ダヴィを殺しても隕石が雲散霧消しないことくらいもうわかっていた。この隕石は、この世のもので、ダヴィの『血濡れの隕石』はそれを自分の近くに降らせる能力だからだ。


「セイジ、ダヴィを盾に隕石を凌ぐわよ!」

「───え、あ、わかったでちゅ」

「お、お兄さん達何をするの!もしかして、ダヴィのことを───」

「うるさい、話聞いてたんだから知らんふりしないの!」

 そう言って、ダヴィに怒るアハト。そして、構図は降り注いでくる大量の隕石を、もうすぐ三十路のセイジと20代前半のアハトがこの中で一番最小のダヴィを盾に耐えているという、傍から見ると2人が酷いことをしているようなものになる。


「アンタは隕石から逃げ出す方法が持ってる、違う?」

「そ、それは...」

 焦ったように、後ろにいるアハトから目を逸らすダヴィ。きっと、なにか持っている。アハトはそう踏んだ。


 ”ドォォォォォ”


 そして、隕石は屋敷や庭に降り注ぐ。屋敷に当たった隕石は、屋敷の最上階で止まりそれ以上破壊することはなかった。


 ───セイジとアハト・ダヴィの3人はと言うと無事だった。


「隕石が、避けていった...」

 そう、ダヴィを避けるようにして隕石が落下していったのだ。


 血塗れの隕石・・・自分の近くに隕石を降らせることができる。自分には一切当たらない。


「なんで、ダヴィには当たらないってのは、読まれたの!気に食わない!」

「残念ね、もう隕石は降らせないわよ」

「サンダー」


 ”ゴロゴロゴロゴロ”


 セイジが、突発的にダヴィに雷魔法をお見舞する。

「避ける方法は見つけ待ちたが、これ以上長引かせても、下で戦っているママに迷惑がかかるかもちれません。だから、殺ちます」

「ざこのくせに...」


理解(わか)らせてあげまちゅよ。ぼくよりガキの、メスガキちゃん」

 そして、ダヴィに向けて魔法杖を向ける。


「これで終わりだ、サンダー」


 ”ゴロゴロゴロゴロ”


 そして、ダヴィにトドメの一撃が入る。雷魔法に撃たれて、そのままダヴィは絶命したのであった。



「───よかった、これで勝てたわ...」

「そうでちゅね」


 そして、ダヴィが死亡したことで『死に札の制裁(アンチジョーカー)』が全員死亡したこととなった。

 ブーロン2世を守る兵は全員死亡したことになり、残るはブーロン2世だけである。


 ───リューガ達は、ブーロン家との因縁をここで打ち切ることはできるのか。


「んで、セイジ。ここからどうやって下に戻るのかしら?」

 アハトの疑問。行きは、リューガの『生物変化』ここまでやってきたがここから帰る方法は一切聞いていない。


「風魔法を使って下におりまちゅよ」

「え、え、え?」

 セイジは、アハトをお姫様抱っこする。アハトはその唐突な行動に驚いてしまう。


「ちゃんと捕まっていてくだちゃいね」

「え、あ、うわぁぁ!」


 そして、アハトをお姫様抱っこしたままセイジは屋根からヒョイと飛び降りる。


 風魔法を使用して、落下した時に足のダメージを無くした。合理的な方法だったが、お姫様抱っこを急にされてアハトはびっくりしてしまったようだった。


「ちょ、次お姫様抱っこする時はちゃんと言ってよね...」

「次ときなんかないでちゅ」


 ───と、そんなこんなでアハトとセイジはダヴィに勝利した。

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