第519話 アレク
「6の舞 霹靂」
放たれる、モンガの突き。前回、使用したのは16の世界と17の世界の全面戦争の際、オセを殺害するために手刀で使用した技だった。
その際は、ハムを切るように手刀がオセの体を裂いていた。
刀がある、今回はどうだろうか。
「───突きかっ!」
アレクは、モンガから放たれる突き技に一瞬驚く。そして、その一瞬で斜め右後ろに数歩交代した。
後ろに下がるだけじゃ、突き技の範囲からは逃げられないと判断したのであった。
「───避けられたか...」
「少し、ビックリしたよ。それに、当たったら即死だったようだしね」
アレクはそう言って笑みを浮かべる。もしかしたら、その場でいい打開策でも思いついたのだろうか。
───と、その刹那アレクの後面に一人の男の影が見えた。
その影の正体は言わずもがなだが、一応言っておく。巨大なハサミを武器に戦うクロエであった。
「ぎゃははははは!死ねや、赤髪!」
「───クロエもか!」
「1発だけで約束だったよなぁ、モンガ!」
「致し方ない...」
クロエが、ハサミを閉じてアレクの首を胴と離れ離れにさせようとする。だが、そんなことは首を切られるアレク自身が許さないだろう。
アレクは、体を獣のような低姿勢にまで持っていきクロエのハサミの攻撃を避ける。
”ジャキンッ”
直後、ハサミを閉じる音が聞こえる。アレクがハサミを避けるのが、あと数瞬遅れていれば、アレクを殺害することはできただろう。
───だが、それを許さないのが剣豪であるアレクであった。
「おいおいおい、避けられちまったよッ!」
直後、クロエはその場で足を蹴り上げる。それが、アレ九の足に引っかかり、四足歩行で這ってその場から逃げようとしていたアレクにぶち当たる。
「───かは」
「目立つハサミばかりに警戒し過ぎなんだよ、雑魚が!」
そう言って、汚い笑みを浮かべるアレク。
「作戦変更、先にクロエを無力化する!」
そう言って、アレクは1mほど離れたところに立ち上がり、クロエの両腕に向けて剣を振るう。
現在、モンガ・クロエ・アレクの3人はお互いに1mほどの距離を保って、正三角形のような形で存在している。
───故に、モンガはアレクの攻撃を許すことはなかった。
「6の舞 霹靂」
モンガの放つ突き。そのスピードは、まさに青天の霹靂だった。
「守れ───るッ!」
アレクは、クロエに攻撃するつもりだったが、すぐに攻撃の対象はクロエからモンガに変更する。振り上げていた剣の傾きをギリギリで変えて、刀はモンガの方に迫らせていたつもりだった。
───が、その時にはもうモンガの突きはアレクの首を侵食していたのだ。
「───死ぬッ!」
アレクは、自分が死ぬことを確信してしまう。それ故に、必死の一手を打つことができたのだ。
「カウンターどころか、自爆特攻みたいな感じだけど!」
アレクは、モンガの方向に刀を振り下ろす。それは、モンガの頭上に既に迫っていた。
これなら、自分が死ぬ代わりにモンガを殺害することだって可能だ。
「残念賞〜!お前の完全敗北だよ」
クロエがそう言うと同時。アレクが刀を持っていた両腕はバッサリと切られてしまう。
そう、クロエがハサミでアレクの両腕を切ったのであった。
「喝采、喝采、大喝采!」
そう言うと同時、アレクの首が空を飛ぶ。
「───討伐完了」
『死に札の制裁』で一番の強敵であろうアレクを殺害することに成功する。
「アレク。ソナタもまた、よき兵であった」
モンガはそう言った。
「おいおいおい!俺様はまだ、暴れたりねぇぜぇ!」
そう言って、アレクはバッサリと切られた4階へ上る階段を気にせずに、一飛びで4階に上っていってしまった。
「勝手に行動はするな...って、聞いていないか、しょうがない...」
「あ、モンガ。そっちは終わったの?」
そう言って、3階にやってきたのは『陽光の刹那』の3人と、マユミ・カルガンの計5人であった。
「全員生きている...って、『陽光の刹那』の3人は酷く黒焦げだな...」
「ハハハ、かなり燃やされちまってよ!」
「全く、髪が傷んで最悪だわ...」
「火傷の痛みに何も反応しない2人が異常なだけで、しっかり痛いですよ...」
「3人共───いや、5人共、ご苦労だった」
「それで、階段が無くなってるけどどうすんだよ?これじゃ、上の階には上がれないぞ?」
「私一人と...カルガンの『虚重力』なら上れると思うが、他の4人は上れそうにないからな...」
「しょうがねぇ、なら俺達もここで大人しくお留守番でもしておくか...」
カルガンがそう述べる。そして、6人はここで凱旋してくる味方を待機することにしたようだ。
***
こちらは、17の世界の王城の最上階。
俺とリューガは、今回の因縁の相手であるブーロン2世と対面していた。
「お前らは、お父様を殺したッ!」
「おいおい、お前は俺の仲間を殺したんだぜ?」
「それに、我らの仲間を攫った。お前だけが被害者面するのは違うだろう?」
「でも、お父様を殺した方が先です!」
「お前の父親は、パープルの父親やその家族を殺したんだぜ?」
「それは...」
「禍根なんて、いくら遡っても意味はねぇんだよ。だから、ここで勝負をして決着を付けんぞ」
───そして、ブーロン家との最終決戦が開始されるようだった。
こんなに戦いが始まりそうですが、次はダヴィ戦です。




