第518話 最恐・最狂vs最凶
17の世界の王城の3階大広間。そこにて相まみえるのは『チーム一鶴』のモンガと、16の世界の一般兵士であるクロエ・クレンザー。そして、17の世界に現在滞在しているブーロン2世の部下である『死に札の制裁』の一員である最凶とも言える赤髪で和服を着た男性───アレクであった。
「それで、君達2人が相手なのかい?」
「いかにも。名乗らせていただこう。私の名はモンガだ」
「クロエ・クレンザー。一般兵士です。少々取り乱すかもしれませんが、ご容赦ください」
「モンガにクロエか...まぁ、強ければ名前くらいは覚えておこうかな」
「ならば、お前の脳裏に一生刻まれるだろうな。私達の名前が」
アレクの挑発を、モンガは挑発で返す。
「───こちらも、戦闘の準備でも入りますか」
そう言うと、クロエは自分の持つ大きなハサミで自分の手首を少しだけ傷つけた。
もちろん、切られた手首からは少量だが血は流れる。そして、クロエはそれを舐めた。すると───
「ハハハハハハ!殺し合いの幕開けだ!アレクと言ったか?俺様とじゃんけんしようじゃないか!まさか、そこらへんの無能と同じでじゃんけんのルールを知らないとか、じゃんけんをする意味がないとか、じゃんけんをする指がないとか言わないよなぁ!」
狂ったような声で、狂ったような笑い方でじゃんけんを使用と迫るクロエ。
「じゃんけんか...まぁ、いいだろう。僕だってその程度のお遊びには付き合ってあげるよ。冥土の土産にでもしたらいい」
クロエとアレクは、目と鼻の先まで近付き、そして、じゃんけんをしようとする。
もちろん、クロエはハサミをしまっていたし、アレクも刀を鞘に入れていた。
「それじゃ、行くよ!最初はグー、じゃんけん───」
アレクの掛け声と共に、じゃんけんが開始されたと思われた。だが、クロエは最初のグーで相手に殴りかかったのだ。
「───がはっ!」
クロエのパンチに当たったアレク。少し、後ろに吹っ飛びその場に尻もちをついた。
「いやぁ、人を殴れるなんて、なんて心地がいいんだろう!こんな、こんな快感!感じられるのは戦中だけだ!」
クロエは、嬉々としてそんな声をあげる。
「お前はパーを出したな?俺様はチョキだ。貴様の敗北。じゃんけんごときにお前は負けたんだよ!」
「着地した時に手を開いてパーを付いたのは事実だけど、じゃんけんに暴力行為なんてありなのかい?」
「逆に、無しなのか?ルールを提案した俺様はありだと思って提案していたんだが」
「───キチガイだ...話す価値もないね...失敗、失敗、大失敗ッ!」
「それで、余興は終わりか?そろそろ私も勝負をしたいんだが。もちろん、真剣を使ったな」
「こんなキチガイを相手にせず、ちゃんとした剣士であろうモンガを相手にしよう。うん、そうしよう」
そして、刀を鞘から抜いて両手で握るアレク。モンガも、それに合わせるかのように己の鞘から刀を抜いた。
クロエも、しまっていたハサミを取り出して両手で大きな芝刈りハサミを持つようにして持った。
「では、尋常に。勝負だ」
直後、両者がお互いに動き出す。
"キンッ"
”キンッ”
”キンッ”
モンガの刀とアレクの刀がぶつかり合い、火花を散りばめていた。最初から、熱戦であった。
「その首は俺様がもらうんだよぉ!」
そう言って、アレクの方へ走り出すのはクロエ。クロエは、舌なめずりをしてアレクへと迫った。
「死ねやぁ!」
そして、アレクの首はクロエの持つハサミの刃に挟まれる。すると───
「───ッ!」
アレクの首が、直後その場から消えた。
”ジャキンッ”
ハサミは閉じられるが、何も切った感覚はない。
「───逃げられたか」
”バタンッ”
直後、背中からアレクの胴体が考える。
「───首だけ移動した?」
「そんなまさか、あるわけねぇだろ?アイツの能力は『血の門』で確定してんだ」
「やっぱ、こんな手品じゃバレちゃうよねー」
そう言って、服の中から首を出す。アレクは、咄嗟に首を服の中にしまってハサミを避けたようだった。
「まぁ、僕もこれで騙せるほどお馬鹿さんだとは思っていないから。一人、悪魔的に狂っているやつはいるけどね」
そう言うと、タッタッタッと軽快な足取りでアレクは数歩後ろに下がった。
「ちゃんとした刀の勝負がしたいから、先にクロエでも倒そうかな」
そう言って、クロエの方を見て刀を構えるアレク。
「クロエ、アレクはふざけた性格をしているが油断はできない。何せ、バトラズと対等以上の勝負をしたんだからな」
「俺様だって、目の前の野郎を馬鹿にしてる訳じゃねぇ!小馬鹿にはしてるがな!」
「クロエ、ここは私に1発を任せてくれ」
「その要望を飲むとでも?」
「あぁ、私達が望むのは勝利だ」
「───ッチ!じゃあ、1発だけ任せてやるよ。1発だけな」
「感謝する」
「何、コソコソ話し合っちゃって。僕がカッコいいって話?」
「そう思うのなら、そうなのだろう。それじゃ、カッコいい状態で殺してやる。避けるなよ?」
「まさか、避けるに決まってるだろう?」
モンガは、構える。前回は手刀で行った攻撃だが、今回は真剣を使って行うようだった。
「───6の舞 霹靂」




