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第495話 半鬼人のパワー

 

「おいおい...お前、半鬼人(オニ)の血ってのは、恐ろしすぎるぜ、オーラがよぉ...」


 モンガが半鬼人(オニ)の血を使用し半鬼人(オニ)のパワーを最大限に利用できることが確定して、その為に発せられるオーラにビビっているのはオセであった。


「寿命というものが無いから戦い以外では死なない───それが、お前らの魔神の強さだろう?だが、そんな強さは戦闘では全く役に立たない。戦闘中、寿命で死ぬなんかありえないからな。能力が3つあるらしいが、今の私にはほとんどどれも効かないようだしな」

「おいおい、己の過信はよくねぇぜ?オ、オレだってやってやるよ!己に過信した己を呪うことだな!オレの能力『我王』!」


 モンガの挑発に乗るようにして、オセは能力を使用する。が───


「私に、その能力は効かない。既に、この戦場で私が一番強いという確信が───この戦場の頂点に、王になれるという確信がもう既にあるからだ。そして、真の王というものは傲慢に振る舞うことはないのだよ」


 モンガは、そして、右手をピンと前に伸ばす。指までもがピッシリ一列に揃っている。手刀の形だ。


「百獣の王のライオンだって、必要最低限の狩りしかしない。強者というのは、強さと賢さを持ち合わせたもののことを言うのだよ」

「───ッ!」


『我王』の全てがモンガによって否定される。しれは、オセにとってはかなり屈辱的なことであった。

「オレのことを、オレの能力を、おいそれと否定するなぁ!」


 そう言いながらも、オセはガタガタと震えていた。

「大丈夫か?そんなビキニのような格好をしていたから風邪を引いたんじゃないか?悪寒がしているんじゃ?」

「お気遣いには感謝するぜ。オレは勘違いしないから言っておく。悪寒でも慄いてもねぇ、オレの震えは武者震いだ」

「───そうか」


 ”ダンッ”


 直後、モンガが動く。オセの視界から───否、オセ以外のモンガとオセの勝負を勝手に傍観していた兵士の目からもモンガは消えた。まるで、最初から存在しなかったかのように。


「───ぉい」

 その直後、モンガが立っていた場所の地面が隕石が落ちたかのように抉れる。


半鬼人(オニ)の血を使うのは、破壊力が制御できないから嫌いなんだ」

「───ッ!お前!」


 オセが、後ろに振り向くと同時に、視界に入ってきたのはモンガであった。刀は、剽窃豹(スチールレオパルド)が盗んでいたので持っていないが、モンガはそんなこともお構いなしに手刀でオセを相手取ることに決めたらしい。


 その手刀は、左手を前に突き出し右手を引いた状態。狙うは───

「───オレの首ッ!」


 直後、オセはモンガの狙いに気が付いた。すぐに、自分の両腕を伸ばしガードをしようとするが───


「モンガ剣舞(剣無し)(かっこけんなし)


 モンガの左手は、見事に右腕の進む軌道を捉え。右腕からは手刀の突きが、力強く放たれて───


「6の舞 霹靂」


 オセが防御をするために伸ばした2本の腕は全く意味を成さず、さけるチーズのように真っ二つに裂けていく。オセの中には骨が入っていないかのように、そんな簡単に裂けていく。

 だが、オセが苦悶で表情を歪めることはなかった。


 なぜなら、もうその時既にモンガの手刀はオセの首をはねていたからだった。文字通りの瞬殺。

 一瞬で、オセは首をはねられていたのだった。


 その直後、オセの体がボロボロと崩壊していく。モンガの攻撃に耐えられなかったのだろう。だが、無理もない。半鬼人(オニ)の血を使用し、半鬼人(オニ)のパワーを最大限まで使用しているモンガの攻撃はかなり異常であるからだ。


「───あれ、我は何をやってたんだ?」

 オセの能力『我王』が解除されて、ショウガは普通の人格に戻る。


「って、モンガ!なんだ、そのオーラは!強そうではないか!」

「実際、強いんだ」

「そうだったな、申し訳ない」


「───雨の音が邪魔だな、殺してくるか」

 モンガは、ショウガと会話をしていて声が聞き取りにくいと判断したのか、雨を降らせている根源を潰し行くことを宣言した。


「んじゃ、行ってくる」

「おい、モンガ!刀!刀を忘れているぞ!」

「───剣士としたことが...」


 オセが消えたので、オセが生み出した剽窃豹(スチールレオパルド)も消えていた。モンガは、その場に落ちていた愛刀『勇猛果環』を拾うと敵軍の方へ進んでいった。


 ───と、これ程までの強化をされたモンガのことを考えれば敵軍の左翼がどうなったかはもう予想がつくだろう。


 主人公ではないはずのモンガが、まるで主人公のような活躍をして敵軍を破壊して歩き回った。数分も経てば、空を包んでいた雨雲はどこかに消え失せた。


 ブーロン2世の部下であり大雨を降らせていた犯人は、名前どころか姿も能力名も明記されることもなく、一言も喋ることもなく物語に支障を与えることもなく死んでいった。


 もちろん、その雨が誰かに感動を与えるわけでも、惜別を感じさせるわけでも、感情を表現させる訳でもなかった。ただの雨は、ただの雨として生まれてただの雨として死んでいったのだ。


 ───それもまた、運命。


 それもまた、人生であるのだろう。ブーロン2世の部下が、少なくとも1人死んだのは確定だろう。

 彼にかける言葉としては相手が悪かった」の一言に限るだろう。

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