第41話 柔らかいところ
お見送り会を終えた次の日。俺たちはショウガが見つけた別世界へ移動するための試験会場に行く。
「すいませーん...試験を申し込みたいんですけど...」
「わかりましたでは、こちらへ!」
「あの...試験料は?」
「入りませんよ!無料です!」
「そうですか!」
「では、こちらへ!」
俺たちは部屋に案内される。案内人は女性だった。俺はリカの手の上にいる。
「まずは、説明を行います!ここでは3つの試練を行います!1つ目は能力・剣技・魔法が使いこなせるかの試験です!2つ目はトーナメント形式での選抜を行います!そして、2つ目の試験をクリアした人は、第4の世界に行って、アイキー争奪戦を行ってもらいます!それが、第3の試験です!」
「「わかりました!」」
トーナメントで生き残ることはできるだろうか、不安だ。
「それでは、今すぐ第1の試験を始めますか?」
「「はい!」」
「わかりました!それでは、こちらに!」
俺たちは案内される。そこには7つのドアがあった。ドアの壁には『硬化』『柔軟』『酸化』『千里眼』の4つと『剣技』『魔法』『その他』の文字が張り紙として貼ってあった。
「我は『柔軟』に行けばいいんだな!」
「私は『硬化』ですね!」
「ひよこは預かっておきましょうか?」
「俺も試験を受けるんだ!」
「え...ひよこが喋った?」
「喋ったら悪いか?」
「い...いえ!珍しかったもので!すいません!」
「まぁいい...それで...俺は...『その他』か?」
「何の能力を持っているんですか?」
「『破壊』だ...」
「え...『破壊』ですか?」
「あぁ...そうだが...」
「なら、エイジン先生の行方不明のことも何か知っていますか?」
エイジンは俺が吸収したのだ。行方不明になっているのか。知らないフリをしたほうが良さそうだ。
「知らないですね...俺が合格を貰った時はいましたけど...」
「そうですか...」
「それじゃ、試練を合格して会おうな!」
「はい!」
「あぁ!」
俺が声をかけると、ショウガとリカの2人は返事をする。
俺は『その他』の部屋に入る。そこには一人の男がいた。彼が試験官だろう。
「お前は何の能力を持っているんだ?」
「『破壊』です!」
「え?『破壊』?ひよこが?『破壊』?」
「あぁ!何か問題はあるか?」
「いや...別に...」
男は俺のことを睨んでくる。そして、馬鹿にするような顔をした。
「バカは帰った帰った!ひよこに何ができる!どうせ、試験なんかクリアできないよ!」
「なんだと?」
「ほら!帰った帰った!」
俺は試験官に近づく。
「生物変化!」
「なっ...」
俺は試験官をひよこに変えた。
「なっ!なんだこれは!部屋が急にでっかく!」
「はぁ...バカだな...バカ丸出しだ...」
「ひよこだ!でけぇぇぇぇ!」
「うるさいなぁ...静かにできないのか?」
「と...とりあえずここから!」
試験官ひよこは逃げようとする。だが、すぐに転んでしまう。
「なんだ!歩きにくい!って...なんだこの足はぁぁ!」
「お前もひよこになったんだよ!」
「うわぁぁぁぁ!助けてくれぇぇぇ!」
「合格でいいか?」
「あぁ!合格で良いから!人間に戻してくれぇぇ!」
「しょうがないなぁ...」
俺は試験官を人間に戻す。試験官は自分の手足を確認して安堵している。
「よかったぁ...助かったぁ...」
試験官はそこに座り込んだ。
「それで、俺は合格でいいか?」
「あぁ...いいよ!合格で!」
「センキュー!それじゃ、バイバーイ!」
俺はその部屋を出ようとする。だが、扉が開いていない。
「おい!開けろよ!」
「はい!すいませんでした!待ってください!」
試験官はドアを開ける。俺は外に出た。外にはさっきの案内人の女性がいた。
「あ、お疲れ様です!」
「おう!みんなは?」
「まだ...ですね!」
「そうか...」
***
ショウガは『柔軟』の張り紙がある部屋に入る。中には女性の試験官がいた。
「それでは、試験を始める!」
「はーい!」
「試験内容は、どちらの方が柔らかいかだ!」
「オッケー!」
「それじゃ、始めるぞ!」
「はい!」
試験官はショウガを睨む。ショウガの胸の大きさに嫉妬しているのだ。試験官は貧乳だった。
「それでは...始めるぞ!」
2人は床に座る。
「前屈だ!どこまで伸びるかの勝負だ!」
「あぁ!我の得意分野だ!」
2人は前屈を始める。試験官はぴったりと床と腹がくっついた。床と顔もくっついている。
一方、ショウガは大きな胸が邪魔で顔と腹がくっついていない。試験官はニヤリと笑う。
「得意分野だなど言っていたが...私の方が伸びているじゃないか!君の負けだよ?」
「いいや!まだだな!」
ショウガは背骨一つ一つを外して、体を伸ばす。顔や腹はくっつかなくても、ショウガの方が伸びている。
「なっ...なんでだ!なんでなんだよ!」
「残念だったな!柔らかさでもう1つ比べるか?」
ショウガは試験官を挑発する。
「あ、あぁ!どこの柔らかさだ?」
「胸...だな!」
「なっ....」
試験官は顔を真赤にする。ショウガの顔は愉悦に浸ったような顔をしていた。
「合格にしてやる!向こうのドアから早く出ていけ!」
「ありがとさん!」
ショウガは部屋から出る。そこには、案内人の手の上に乗ったリューガがいた。リカはまだいないみたいだ。
 




