第12話 アナグラム
俺たちは目を開ける。そこには灰色の景色が広がっていた。
「ここが...2の世界?」
「そのようだな...」
空も灰色をしている。かといって雲が出ているわけでもなかった。草も土も灰色だ。色があるのは今の所俺ら3人だけだ。
「暗いな...」
「えぇ...そうですね」
「それじゃあ、どうしますか?ショウガさん!」
「そうだな...まずは人でも探すか...」
「みなさ〜ん!こんにちは〜!」
後ろから声がする。俺たちは振り返った。そこにはピエロの格好をした人がいる。この世界には似合わない程にカラフルであった。そして、身長は2mもありそうだ。
「デ...デカい...」
「私は2の世界 シャコリア の案内人、キュラスシタと申します!」
「キュラスシタか...よろしく!」
「「よろしくお願いします!」」
「名刺と...言いますか?まぁ、お遊び程度にこれを!」
キュラスシタは俺たちに一枚ずつカードを配る。それにはこう書いてあった。
名前 ラスキュシタ
誕生日 13/1
趣味 ツシャスガ
「ラスキュシタ?キュラスシタじゃないのか?」
「えぇ!キュラスシタですよ?」
「もしかしてこれ...アナグラムじゃないですか?ショウガさん!」
「ブラボー!正解でございます!これはアナグラムになっています!」
アナグラムとは言葉を入れ替え別の意味にすることである。
「と...なると、誕生日はいつになるんだ?1/13か3/11か11/3のどれかだよな?」
「そうです!そのどれかになります!」
「わからんな...どれだろ...」
「この趣味ってのは...なんですかね?」
「シャツガスか?」
「まぁ!それも正解です!すごいですね!」
「まぁ...当然だろ!」
「ショウガさん...シャツガスってなんですか?」
「そうか...シャツガスを知らないのか!シャツガスってのは非常に引火性の高いガスのことだ!あ、ガスはわかるか?」
「ガスはわかります!気体ですよね?」
「あぁ!そうだ!」
「すごいですね...そんなにすぐわかって...」
リカは笑いながらこちらを見ている。
「そんじゃ、キュラスシタ!我たちを村のところまで連れて行ってくれ!」
「了解しました!それでは、ついてきてください!」
俺たちはキュラスシタについていく。俺ら以外の全ての物が灰色だった。白と黒による濃淡の差はあれど全てが灰色だった。花も。木も。道も。野良犬も。全部灰色だった。そして、段々建物が見えてくる。
「みなさん!着きましたよ!村です!」
「そんじゃ、アイキーのことを聞き込みするか!」
「あぁ!そうしましょう!」
その時、家の中から一人の村人が出てくる。村人も灰色だった。その村人はこちらを指差し腰を抜かして倒れている。
「こっちに...来るな!来るんじゃない!」
「おい...大丈夫か?」
「来るな!来るな!来るな!」
「ショウガさん...行かない方がいいんじゃないですか?」
村人の叫び声を聞いてどんどん人が出てくる。他の村人も腰を抜かしている。中には泣いている子供もいた。
「皆さん...離れたところにも宿はあります...そこに移動しますか?」
「あぁ...そうしてくれ...我たちは異常に嫌われている...」
俺たちは少し離れた宿に移動した。
「キュラスシタ...我たちはどうしてあんなに嫌われていたんだ?」
「23年前に1の世界から来たグループが大量虐殺を起こしたんです...だから、それがトラウマなんでしょう...」
「そうか...それはお気の毒にとしか言えないな...」
「ショウガさん?これからどうするんですか?」
「とりあえず...アイキーを探そう!キュラスシタ!アイキーはどこにあるか知ってるか?」
「すみません...知らないですね...」
「そうか...なら、明日から本格的に探そうと思う!」
「なんかアイキー探知機みたいなのはないんですか?」
「あぁ...ないな!」
「そうなんですか...」
俺は少し落胆した。レーダーが無いならどうやって探せばいいのだろうか。闇雲に探すだけ時間の無駄だろう。
「闇雲に探すんですか?」
「あぁ!村人に嫌われているからしょうがない!頑張るしかないな!」
「ちぇ...頑張るかぁ...」
こうして、シャコリアに来て一日目を終えた。2日目から俺たちは闇雲にアイキーを探して周った。村には入らないように気をつけた。1週間は探し続けた。だが、見つからなかった。
「キュラスシタぁ!本当に知らないの?」
「はい...すいません...」
基本的な家事は全部キュラスシタがやってくれている。俺たちはアイキー捜索に専念できているので、感謝しかない。また、1週間が経った。この世界に来て16日が経った。その日の昼の話だった。
「あぁ...ここは新しい村か...」
リカは村に入ってしまった。家の中から老婆が出てくる。
「あら、珍しい...人間の客人さんか?」
「あ...すいません!すぐに出ていきます!」
「いいんじゃ、いいんじゃ!人間なんて何年ぶりに見たかのう?」
老婆はリカを見ても驚かなかった。その逆にリカを歓迎してくれた。




