わたしは恥かしかった
ゲームの中には宿がある。
まず、回復を早めるための休息場所として。
もうひとつは、会議や打ちわせの場所として。
その部屋の借主、トモに許可をもらって部屋に入る。
罠士のトモが固定されたデスクの足にしがみ付いているドワーフのおっさんを引き剥がそうとしていた。
「さっきまでいくって言ってたのに、また恥かしいからやだってちっちゃい子みたいにもぅ、ほら陽菜、ヤマトが来たわよ。」
「だって~。えっ!来ちゃったの。」
俺の目とドワーフの真ん丸い目が合う。
あっ、机の下のもぐっちゃった、おやおや。
「イモちゃん、小猫をあげるから出ておいでよ。」
「ほんと!」
ずりずりとお尻から出てくる。
左腕には俺がお~ほほほをしていたときにつけていた神話級のガントレット。
止めの一撃になったのでソロ参加でもドロップで手に入れることが出来たらしい。
トレードウインドウ出して、OKを押している間にトモがイモのベルトをつかんだ。
「世話が焼けるんだからもう。」
ついていけなかったサクラはドアを入ったところで固まってる。
無理もないけどね。
「紹介するよ、俺の幼馴染の”サクラ”、こちらが先輩の”トモ”と同級生の”イモ”。セクハラがいやでちっこいひげのおっさんしてるんだって。」
「いまさらなんだけど、性別と外観変更ができる美容チケットを当てようとして1万円も使ったんだけど当たらなかったのよね。同じA賞の再就職チケットが出たから私が使って攻略に必要だから罠士になって元は取れたんだけど。イモ恥かしいからヤダってまた言い出して困ってたの。」
「美容チケットならあるぞ。一枚だけだけど。」
「それください。」
またトレードする。
少し考え事をしていたトモが顔を上げる。
「確か、誰かさんが世界チャンピオンの賞金持ってたわね。いくらつかってなにをだしたの?全部吐きなさい。」
ヒュンと鞭がうなる。
ひぇぇっ。
「10万使ってS2A1B3です。」
「何かはっきり言いなさいっ。」
「はい、狼、結婚セット、美容チケ、猫3、あとは消耗品、です。」
なんか空気が変わった、重い。
サクラあなたも怖いです、イモそんなに見つめないで、それより目の前のチェシャネコ誰かのけてください。
「それ見せて。」
「ハイ。」
トレード不可だが一応トレードウインドウに乗せる。
「一回限りみたいだけど人数制限はないみたいね。」
ナニヲオッシャイマスヤラ。
「あと指輪を二つ用意できたらすぐ結婚するわよ。良かったね、ハーレムで。それから残った猫はもらうわね。」
俺のウインドウから猫だけが消えて、下がっていた室温が元に戻り、当面の嵐は過ぎ去ったみたいだが水平線の向こうに真っ黒な雲が見えたような気がした。
室内だけど。
宿を出て俺たちは真っ先にペットを受け取りに行った。サクラの小猫が白、イモが三毛、トモが黒、俺の狼はちっこい子犬だった。
Sのはずなんだけどなぁ。
上機嫌のお嬢様方とここで別れる。
トモはクランの創設、イモはエステ、俺は課金で買った農園の設営、サクラは残念ながら診察がある。
農園ゾーンは始まりの町に隣接している。
本来小さな畑一枚と子やひとつからのスタートだが俺には課金と言う武器がある。
そこそこおおきな屋敷に家畜小屋、作業小屋、牧場、果樹園、畑を購入限度ぎりぎりまでセットし一番大きい池も造る。
課金でやとった作業NOCに種を蒔かせ家畜の世話をさせる。
このNPCがいれば後は基本的に何もしなくても一定の収穫を得ることが出来る。
もちろん働けばその分収入は増える。
池を海水にセットしたのでいわしや鯛も釣れるし、小さな浜に貝類もいるし昆布やわかめも採る事ができるようになる。、
海水浴だって可能なんだ。
鮫なんてもちろんいない。
この辺がゲームの現実離れしたところ。
そして鍛冶や細工など作業小屋に道具を並べていく。
鍛冶NPCなどを雇うことも出来るがさすがにそこまでお金は使えない。
最後に庭に温泉を引いてログアウトした。
第5話、なぜか消えたために本日書き直しました。
少し良くなったと思います。




