表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/21

わたしは怖いのです

 S賞なんてものが2千円で出てしまったので、調子に乗って10万円分も使ってしまった。

S賞は後1度だけでた、狼。

B賞もでた猫と猫

後は全てE賞

あの小田さんたちが調整してるんだといまさらながらに思った。

眠れなければ勉強しとけばよかった。

まぁいいか。


 朝、巴さんが先に登校したので陽菜と二人で連れ立って歩く。

「それで猫がいっぱいあたってさ。陽菜にも一匹上げるよ」

「ありがとう、猫欲しかったんだ。後でお姉ちゃんに私といてね」

「えっ?直接渡すよ」

「えっと、あのその…。クラン佐倉さんたちも入るのよね」

「そうだけど、なんで?」

「えと私ソロ専だから」

「そなの?みんなと一緒のほうが楽しいよ。俺もちょっと恥かしいけどPTパーティできるから入ってよ」

「えっと、あんまり見られたくないキャラしてるからなんていうか…。」

「ちょっと待ってメールが来た」

『陽菜は昔薬物中毒患者に暴行を受けた。お前も知ってる夏休みの事件だ』


大和君がメールを見だしたのでわたしはふっと肩の力が抜けた。

私は怖くて知らない男の人と会話が出来ない。

学校では女の子の集団に混ざっている私に声をかけてくる男子は少ないから今まで男性恐怖症がみんなにばれなかった。通学途中はお姉ちゃん達家族の誰かが付き添ってくれたし、今も大和君が私を守ってくれている。

大和君が例外なのは、あの事件の時に彼が私を守ってくれたからだ。


 駅の入り口で、大和君が急に怖い顔をして立ち止まった。

「どうしたの?」

「ちょっとまってて」

急に近くを歩いていた同級生の松永君に走り寄った。

「松永、メールしたいんだけど電池切れ、ちょっと貸して」

私のを使えばいいのに。

彼に借りて操作していた大和君が自分の末端を松永君に突きつける。

「ストーカーメールはやっぱりお前か」

え?

「何で分かったんだよ」

え?

「あの時学校に来ていた女の子が源先生のお嬢さんの陽菜ちゃんだって知っているのは、同じ飼育当番で先生から娘が来るからウサギの赤ちゃんを見せてあげてねって言われたお前だけなんだ」

「そうかい、しかし彼女が暴行受けたことを黙っていて欲しかったら誰にも言わないことだな。」

「お前が何を言いふらそうとかまわん。あの時、血だらけで救急車で運ばれたピンクのサマーカディガンと花飾りの帽子をかぶってたのは女の子じゃなくて俺なんだ。陽菜は怪我ひとつしてないさ。お前それで勘違いして陽菜を脅そうとしてたのか。残念ながら上杉の脅迫のほうが過激で相手にされなかったわけだな」

「何でお前だけなんだよ。上杉が付きまとっていたのも知ってたよ。俺はずっと陽菜ちゃんを見てたんだ。だけどなぁ、陽菜ちゃんは一回も俺の目を見て話しかけてくれたことが無いんだよ。だからあのときの事を持ち出してちょっと脅して助けてやれば…なんでお前がそこに入り込むんだよ」


 二人の大きな声が耳に飛び込んでくる。

忘れようとしていたあの時のことが始まりだったんだ。

あの夏休みの日、一人で飼育小屋の前にいた私は塀を乗り越えて学校の中に入ってきたおかしな男に執拗に追いかけられていた。

なぜか鳴り出した非常ベル、夢中で校舎に逃げ込んだら男の子がいた。

彼がベルを鳴らしてくれたらしい。

彼は私の帽子を奪い取って着ると、「隠れてて」といいのこしてわざと男に見えるように駆け出した。

何かが壊れる大きな音や、銃声のような音が遠ざかっていく。

そのうちパトカーの音も聞こえ出し、お父さんが私を呼ぶ声が聞こえて、我慢が出来なくなって隠れていたロッカーから飛び出してしまった。

目の前にいたのは男に追い詰められた彼。

男の顔が私のほうを向き、手にした銃をこちらに向ける。

一発の渇いた発射音。

私は私を突き飛ばして覆いかぶさった彼の心臓の音を聞きながら意識を失ってしまった。

「陽菜っ」

あの時は名前を呼んでくれなかったじゃない。


 目を開けると駅の喧騒が聞こえる部屋の長いすで、私は彼の手を硬く握り締めていた。

「ちょうどお医者さんがいたから診てもらったけど体に異常はないってさ。陽菜のご両親に連絡が取れてるから来てもらう事になってる」

なぜか大和君は脂汗を浮かべてる、そんなに心配させちゃったんだろうか、ごめんね。


 俺の手をつかんでいた陽菜がいきなり崩れ落ちた。

「すいませんお医者さんいらっしゃいませんか?」

その騒ぎで松永は逃げてしまったがそんなことはどうでもいい。

何で彼女の前で無神経なことを言ってしまったんだろう。

後悔の念が湧き上がる。


 すぐ近くにいた人が「医者です」と名乗り出てくれる。

駅員さんたちと一緒に駅長室まで彼女を運び込み長いすに寝かせるが、彼女が手を放してくれない。

お医者さんが手早く診察する、聴診器をカバンから取り出して胸を開け押し付ける。目を診て脈を取る。

「貧血ですね、暫く横になっていれば収まると思います」

ぱんと俺の背中を叩いて「急ぎますので」とか駅員さんに言いながら出て行ってしまった。

やべっ、たゆんたゆんが。

俺はそっと彼女のボタンを元に戻しておいた。

こんなとき締め付けないほうが良かったんだろうか、いや…。

彼女の目が覚めるとほぼ同時に心配したご両親が来てくれた。

ほんとに心臓に悪いよ。

あっ、先生に御礼を言うの忘れてた。



















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ