暗闇の中でうへへと声を漏らす俺達がいた。
手に持っているコントローラ。
それを器用に、例えるなら新型ロボット並。
カチカチと鳴る音を周囲に響きかせて。
二人、ザッキーと海星は瞬き一切無しにテレビの画面をガン見してはブツブツと言葉を二人で唱えている。
先程まで部屋の電気がついていたのが、今になってはテレビの明かりしかついていない。
ザッキーいわく、電気代はテレビで充分、だそうだ。
時刻は朝の4時、眠いまぶたを擦ることも許されず二人は更にゲームの奥へと進む。
時間を忘れているほど彼等二人を集中させるのは最近、新たに発売されたテレビゲーム、モエハンと言うタイトルのゲームである。
ゲームはいたってシンプル。
ただ自分好みの剣、防具を装備してコントローラでキャラクターを操作。
狙うのはモンスター。
説明を聞いている限り、ただのモン〇ンにしか聞こえてこないだろうが、甘い。
これはただのモン〇ン出はないのだ。
タイトルがモエハンと聞いてお分かりだろう。
そう、何を言ようと自分のキャラクターが可愛い美少女。
しかも可愛いだけではなく、ダメージを受ける度にエロいボイスがテレビから流れてくる性能付き。
防具ももう何とも言えないビキニで。
彼等は防具性能なんてもんはとうに捨てている。
二人にとっては可愛いがより興奮をさせて、手に持っているコントローラを可愛いパワーでより器用にさせる。
つまり可愛いキャラクターこそが二人の性能を上げているのだ。
可愛いは正義。
「よしゃあ、部分破壊完了!」
海星がそう言いフィニッシュと言わんばかりに、大量の爆弾を仕掛け相手に食らわせる。
するとモンスターは力尽きて、テッテレ~と終わりの音声が入った。
ついでに言うと海星とザッキーは、キャラクターも爆弾の餌食にしてエロいボイスを流させた。
狩りが終わり集中切れたのかソファーにもたれ、いつのまにか息切れをしてたのを二人は整える。
セーブメニューが画面に現れたので、力を抜いたまま済ませ、海星からお疲れの言葉がでた。
「つかれた~」
「もうあれこれ6時間以上やってる」
「うわぁ、道理でこんなにも疲れてるんだな、てかもう朝の4時じゃん!」
時間早いなと口からこぼす。
肩に手を乗せて首をコキコキとならす海星。
その横に座っているザッキーがふと言葉を放つ。
「もう1狩りしよう」
「そうだな、じゃあ防具を変えてっと」
ゲーム内にある青いボックスを開く。
それには様々なアイテムが保管されており、そのボックスで防具と武器それらを変更が出来て、今海星のキャラクターがそのボックスを活用していた。
装備が決まり、依頼ボードを拝見してどのクエストを受けるか考える。
依頼は日にちによって変わり、モンスターの討伐難易度も上がるのでなかなこともでかやりごたえのあるゲームである。
ちなみに休日や日曜日など特別クエストと言うものがあり、オンラインでの決められたモンスターの討伐量など、キャラクターが一番か競うこともでき、一番になると限定版の武器や防具が貰えたりする。
当然限定版と着くので防具はそれなりに可愛い、二人は毎日そのイベントを断トツの一番をとっており、ボックスには防具が沢山保管されている。
「準備は出来た?」
「おう出来たぜ、じゃあさっそく行きますか」
***
「騒がしい」
それが眠りから覚めた、千草の一言だった。
回りを見回すが電気がついていないこの部屋は暗闇で何も見えない。
被せられた毛布をどかして、立ち上がるが眠さのせいかまだ寝たいと脳に信号が送られ歩く気になれない。
だが今部屋まで声が漏れている正体を突き止めたいため、千草は足を踏み出す。
ドアを開けてもそこは暗闇のまま。
しかし声のする方を体ごと向けると、僅かながらそこに光が照らされているのに気づいた。
ああ、眠いとまぶたをこすりながらそちらに歩きだす。
次第に聞こえてくる声の音量が高くなり、千草は訝しく首を傾げた。
ゲームの音?
千草はこのゲームを知っている。
家こそなくテレビもないがここは都会、人気なゲームになればそこら辺に建てられているビルによくCMが流れている。
これはモン〇ンかな?
答えは正解、だが千草はそれでも首を傾げた。
流れる音楽はCMどうりなのだが、キャラクターの声が何とも言えない声を出してるから。
そのまま訝しく表情のまま本日2回目のドアを開けてリビングに入った。
***
二人はまだ気づいていない、後ろからゆっくり歩いてくる女の子、苗蔵千草が近づいていることを。
クエストを実行している間にも1歩2歩と。
二人がマップ内で目的のモンスターを見つけた頃、千草は既に彼等の背後にいた。
だが二人は賢者タイム(超集中モード)に入っているためそれでも気づかない。
そして画面から流れるエロいボイス&防具…もう言わなくても女の子がそんな現状を見ればもう分かること。
「きゃあぁぁあぁぁぁぁ!」
盛大な叫び声が部屋中に響き、壁が揺れる。
「な、何だよ、いきなり大声出しやがって」
今の叫びで二人は千草が後ろにいることに気づく。
ゲームを一時休戦し、海星はため息を吐いた。
「たくっ、朝からテンション高いなお前は」
「う、うるさいっ! 何なのよそのゲーム、ハレンチきわまりないわ!」
「はぁ?」
なにいっているだとでも言いたげな表情をするが言葉には出さない、これ以上は地雷を踏むと思ったからだ。
「これはあれですな」
不意にザッキーはそう言う。
「あれって何だよザッキー」
「この展開は2次元に似ている」
……はぁ?
「まてまて、リアルと2次元を一緒にするなよ」
「だよね僕が間違ってた、ごめん海星」
「良いからテレビ消してよ!」
千草の顔がトマト見たいに赤くなる。
女の考えていることはよくわかんねぇ。
海星はそう思いふぅと再度ため息を吐く。
「ほら、これでいいんだろ?」
プツンとテレビを消して立ち上がる。
テレビの明かりを頼っていたが、今消したことにより周囲が暗闇に。
海星の場合、どこにものが置いてあるのか把握しているのでそのままスムーズに電気スイッチのある所まで歩く。
つけた瞬間、リビング全体に光が照らされて、薄暗かっリビングが開放された。
そのままキッチンに入り冷蔵庫を開けては牛乳を手に取った。
「イライラはカルシウム不足、これでも飲んで落ち着けよ」
「イライラさせてるあんた達のせいでしょうが! てかそれ迷信だから!」
「ん、そうなのか? じゃあ今夜はひじきな、あれもカルシウム含まれているだろう」
「カルシウムでイライラが開放されることじたいが迷信なの、子供かあんたは!」
えっ と弱い声を口から漏らす。
これについて千草はもうツッコミを入れるのが疲れたのか、憂鬱そうに手で頭を着けた。




