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第13話 ハローシタデル

というわけでラスボス戦です

 フィリピン時間、午前5時56分。


 夜明け前の海は、まだ南国特有の青を取り戻していなかった。


 ヘリコプターの窓の外で、雲の切れ間から覗く朝日が、水平線を薄い金色に焼きはじめている。ローターの重い振動が機体の床を伝い、アレン・エーバーハルトの靴底から背骨へと低く響いていた。

 仁川を発ったのは、韓国時間で午前二時。


 だが、韓国より一時間遅いこの海では、時計の針がわずかに巻き戻っていた。ギヨのモノクルに映った二つの月とモニターに映った時差から導かれた座標。


 操縦席には一人の老いた英国人が座っていた。

 背筋は伸びている。

 髪は白く、顔には深い皺が刻まれている。だが、膝の上に固定した端末を操作する指先に衰えはない。長い実務経験だけがその身体に宿っているような男。肩書きは大佐。


 それ以上は、今は不要だった。


 アレンとは旧知の仲なのだろう。男はアレンに対し、部下としてでも、客人としてでもなく、長い時間をともに生き延びた者に向ける、簡潔な敬意を払っていた。


「目標島、サンタ・リリア島 視認」


 大佐が短く言った。


 ヘリがゆるやかに機体を傾け、島をぐるりと周回する。


 窓の下に、島が現れた。心地よい潮風に海鳥が漂う絶景の孤島。


 外周を切り立った黒い岩壁がぐるりと囲み、その内側だけが不自然に白く整えられている。古い火山島。外輪山に抱かれたカルデラ地形。外側から見れば断崖に閉ざされた岩の塊だが、その内側には、人工の楽園が埋め込まれていた。


 地図上では、フィリピン中部、セブ東方の海に浮かぶ私有島という扱いになっている。行政上は地元自治体に属しているが、実際には外国資本による長期リース地。観光地図には小さく名が載るだけで、一般の観光客が近づくことはない。


ーーカサ・デ・ラ・ビダーーー


 大佐が事前に調べてきた情報をアレンに共有する


 「表向きは世界のVIPが集う最高級ヘルスリゾートですが、その実態はテトラクイン社が国際法の届かない私有孤島に築き上げたバイオ城塞シタデルです」


 「スペイン語で生命の家・・・生命を工業化する城塞につけるとは悪趣味な言葉遊びだ」


 大佐が端末の画面を見ながら説明をする


「島の南西側、外輪山の中で最も低い岩壁下に、無理矢理作った港がある。そこから垂直に伸びる巨大な搬入エレベーター 食料、燃料、医療機器、建材、人員。表向きはリゾートの物流設備用でしょう」


 港から内側へ伸びる搬入路は、カルデラの斜面を縫うように上がり、白い街へと接続していた。


 島の内側には、富裕層向けの保養施設が広がる。


 あちこちにある富裕層向けのプール付きのヴィラ。

 美しい噴水がある人工池。

 道は煉瓦タイルでキッチリ舗装され、道すがら飲み物やツマミを無償提供するためのロボットが一定間隔で移動している。まさに贅を尽くした楽園。


 そして、そのすべてを見下ろすように、島の奥、崖にせり出すように巨大な白い建造物がある。


 孤島の病院というには大きすぎる。保養施設というには異形すぎる。

 聖堂というには、あまりにも邪悪すぎる。


 巨大病院の下層には、劇場、ショッピングセンター、VIPラウンジ、カフェ、レストラン、免税店めいた区画が入っているためどっぷりと太り大きな構造。そこから一本の塔につながり、巻き貝を逆さまにしたような不気味な中層・・・その上に特別研究棟が入っているとおぼしき構造。


 ヘリがさらに旋回する。


 病院の屋上に、第一ヘリポートが見えた。リゾート街の外縁に、第二ヘリポート。

 そのさらに東側には、短い滑走路が白い線のように走っている。


「登録上は医師21名、看護師38名、培養技術者16名。現在の常駐数は不明。その他コンシェルジュ、警備、港湾作業員、娯楽施設スタッフ、などは常に100人以上は居ると見込まれます


 島の三カ所に民間兵の駐在所があります。基本的に断崖に守られた要塞で、強襲は出来ても現地の著名な富裕層などもおり、民間人を巻き込むと国際問題になりかねません」


「表だった交戦ができないのは、ギヨも同じだ」


「だからといって、堂々と、こう入るのは・・・大丈夫なものでしょうか」


「ああ、問題ない」


「貴方がそう仰るなら そうなのでしょう」


「・・・管制には、すでに連絡済みです」


 大佐は、端末から視線を上げずに言った。


「先方には、欧州エルフ学術評議会顧問、アレン・エーバーハルト博士による非公開視察。目的は、カサ・デ・ラ・ビダの再生医療施設に関する国際共同研究の事前確認。随行者は、英国側医療安全保障顧問一名。そう伝えてあります」


「フフ、ずいぶん立派な肩書きですね」


「嘘はないはずです」


 大佐は淡々と答えた。


「先方がそれを歓迎するかどうかだけでした すでに保養施設にいる超VIP達には、アレン博士がサプライズゲストで来るというリークを打ってあります」


「歓迎せざるを得ない状況を作ったというわけか・・・」


 大佐はヘッドセットを耳に押し当てる。


 短いノイズのあと、フィリピン訛りの誘導が聞こえる。


『Casa de la Vida Central Helipad Control. Identify aircraft and purpose of arrival.』


 大佐は表情を変えずに応じた。


「こちら医療評議会チャーター機。事前連絡済み。搭乗者は、欧州エルフ学術評議会、アレン・エーバーハルト博士。非公開視察。到着予定時刻、現地時間〇六〇五」


 しばらく沈黙があった。


 そのわずかな間に、アレンは窓の外を見ていた。


 病院中央部の屋上にあるヘリポートでは、白い制服のスタッフたちが慌ただしく動き始めている。迎えの準備だ。ある者は無線機を耳に当て、ある者はリゾートの旗を整え、ある者は黒いスーツの管理者へ走っていた。


 誰も銃を構えていない。それどころか、緊張すらしていない。

 下層のスタッフは世界的権威の来訪を、施設の格式に関わる出来事として受け取っている。


 それが、この島の表の顔を持つ以上、牙を剥けない弱点でもあった。


『Confirmed. Dr. Eberhardt is expected. Please proceed to Central Helipad One. Welcome to Casa de la Vida.』


 大佐は通信を切った。


「中央第一ヘリポートへ誘導されました」


「予定通りですね」


「ええ。向こうからすれば、断る理由がない。あなたを追い返せば、国際的な研究ネットワークに説明が要る。歓迎すれば、少なくとも下層スタッフには通常業務として処理できる」


 アレンは、病院の上層を見た。

 崖の海側へせり出した黒いガラスの区画。朝日を受けてもなお、そこだけは光を吸い込むように暗い。


 ギヨは、あそこにいる。ファルもそこにいる。


「大佐」


ヘリは中央ヘリポートへ近づいていった。


 旋回中、施設の最上階の横を飛ぶ。島の中央のはずれにあるヘリポートでは、誘導員が手旗を振っている。白く塗られた円形の着陸標識。ヘリポート脇には、すでに黒いカートと白い制服のスタッフが並んでいた。清潔で、明るく、柔らかい顔。


 ヘリが高度を落としていく。


 ローターの風が、ヘリポートの周りの木々を乱暴に揺らす。白い制服のスタッフたちが目を細め、帽子を押さえた。


 機体が、着地した。


 エンジンをはじめ各種駆動部が止まっていき振動が減っていく。


 扉が開く。


 湿った南国の空気と、消毒薬に似た冷たい甘い香りが流れ込んできた。

 朝日が海面から完全に顔を出し、カサ・デ・ラ・ビダ全体が黄金色に照らされる。


 ・・・・・アレンは敵地に降り立った。


 濃紺のスリーピースの襟を整え、袖口を直した。仁川での戦闘痕は、完璧には隠せていない。それでも、その立ち姿だけで、屋上に並ぶスタッフたちは息を呑んだ。


 アレン・エーバーハルト。


 世界の再生医療を半世紀進めたとされる知の巨人。そして彼らの裏の主の宿敵。

 その本人が、いま、彼らの前に降り立った。


 大佐が一歩後ろへ下がった。


「表の導線は博士に任せます」


「裏は」


「お任せください」


「では、行きましょう」


 アレンはヘリから降りた。

 屋上に並んだスタッフたちが、一斉に頭を下げる。


 先頭の女性コンシェルジュが、完璧な英語で微笑んだ。


「ようこそ、カサ・デ・ラ・ビダへ。生命の家へ」


 アレンは、その言葉を聞いて、ほんのわずかに目を細めた。

 ここは家ではない。生命を選別し加工し商品化する。狂乱のファクトリー。


「お招きいただき、感謝します」


 穏やかに微笑んだ。世界中の学会で、政財界の会食で、王族の晩餐で、何百年も使い続けてきた完璧な微笑だった。予めリーク情報でアレンに会えることを心待ちにしていたVIP達が、アレンに駆け寄る、ある者は一緒に撮影をし、ある者は名刺を渡し挨拶をする、そのVIP達を一歩引いたところから見つめる男がいた。コンシェルジュだ。


 コンシェルジュは、アレンの自然な対応 挨拶に深々と頭を下げた。


「博士のご来訪は、当施設にとって大変光栄なことです。施設長より、まずは中央劇場へご案内するよう申しつかっております。ささやかではございますが、歓迎のプログラムを用意しておりますので」


「歓迎のプログラム」


 アレンは、柔らかく聞き返した。


「はい。当施設の理念と、生命科学への取り組みをご覧いただくための短い映像と、演奏を」


 大佐が、隣でわずかに眉を動かした。


 病院下層の中央に位置していた区画だ。音響のために壁が厚く、出入口は限られている。VIP向けの空間であるため、外から見えにくい。警備上は、招待客をまとめて管理しやすい。そして、閉じ込めやすい。


 アレンは表情を変えなかった。


「それは楽しみです」


 そう言って、コンシェルジュの案内に従った。


 屋上ヘリポートから、ガラス張りの連絡通路へ入る。

 通路の両側には、海が広がっていた。朝日を受けた水面は、先ほどまでの黒をようやく捨て、青と金の斑模様へと変わりつつある。


 その美しい海を背に、カサ・デ・ラ・ビダの白い建物は、清潔な宗教施設のように輝いていた。


 エレベーターホールに入ると、香りが変わった。


 花と消毒薬と高級ホテルのロビーに似た人工的な香気が満ちる。床は磨かれた白大理石。

 落ち着いた照明だが、南国の朝日を浴びたあとには暗すぎるようにも思える。


 壁には、柔らかな金色で生命の樹を模した意匠が描かれている。


 ロビーへと足を進めると、薄暗い理由が判明する。

 その足元から天井近くまで、奇妙な植物がいくつも植えられている。


 熱帯の観葉植物に似ている。だが、自然のものではない。掌ほどもある厚い葉は、天井の送風機からの穏やかな風に触れると揺れ、そのたびに葉脈の奥から青白い光が滲み出した。発光クラゲか、深海生物か、何か別の生命から借りてきた発光タンパク質が、植物の細胞の中で静かに息づいているのだろう。そしてバニラのような甘い芳香。


 あまりにも美しい景色。ここに来たVIP達はコレを見たらそれだけでここの虜となるだろう。


 葉が揺れるたび、ロビー全体に淡い光が散り、白大理石の床へ水面のような模様を落とす。訪れた富裕層たちは、それを見て、生命科学の未来だと感嘆するだろう。


 アレンには、それがひどく下品に見えた。

 植物は、植物としてそこにあるのではない。光るために作り替えられ、客を驚かせるために飾られ、生命という言葉をロビーの照明効果へ落とし込まれている。


 生命の家。その入口で最初に客を迎えるものが、別の生命の機能を縫い込まれた装飾植物であることに、アレンはギヨの署名を感じた。


 ロビーには、すでに何人かの富裕層客がくつろいでいた。

 年齢も国籍もばらばらだ。だが、身につけている時計、靴、肌の手入れ、周囲に控えるスタッフの数が、彼らがこの施設の客であることを雄弁に示している。迎えに来た超VIP程ではないものの、世界の名だたる企業や政財界に繋がりのある者、また大成功したインフルエンサー。


 彼らはアレンを見ると、ざわめいた。


「まさか エーバーハルトがいるぞ!」「おいおい嘘だろ ちょっと名刺」「きゃあ ちょっとメイクメイク」


 誰かがスマートフォンを上げかけ、すぐにコンシェルジュに制止された。だが、制止は形式だけだった。むしろ施設側が、特別な瞬間を演出しているようにすら見えた。


 アレンは歩調を緩めた。本来は急ぐべきである、急ぐ理由しかない。


 ファル。

 MOTHER-0。

 同期率。

 ギヨ。

 人工子宮ポッド。


 脳裏に嫌なものが次々と浮かぶ。

 だが、彼は急がなかった。


 老婦人が、震える手で近づいてくる。


「博士、主人があなたの論文で治療方針を決めたんです。握手を」


 アレンは微笑み、手を差し出した。


「ご主人の回復を祈っています」


 若い男性が、パンフレットを差し出す。インフルエンサーとして一世を風靡した男だ。


「サインを、いただけますか」


「もちろん」


 アレンは滑らかな筆跡で名を書いた。


 白衣を着た若いスタッフが、緊張で顔を赤くしながら言った。


「博士の研究は、母を救うものだと信じています」


 アレンは一瞬だけ、そのスタッフを見た。


「母を救う技術であるなら、母を道具にしてはいけませんよ」


 スタッフは意味を測りかねたように瞬きをした。


 アレンは微笑んだまま、歩き出す。


「当施設では、医療と芸術の融合を重視しておりまして、中央劇場では会員様向けの講演や演奏会を定期的に――」


「素晴らしい理念ですね」


 アレンは、コンシェルジュに穏やかに返した。


 劇場へ続く広い廊下の奥には、両開きの重厚な扉があった。扉の上には、金色の文字でこう刻まれている。


 Casa Theater The Origin of Life


 その名を掲げた劇場の中に、アレンを閉じ込める。

 コンシェルジュは微笑んだまま、時折インカムで小声の指示を送っている。


「こちらでございます、博士。皆様、博士をお待ちです」


 扉が開く。


扉が閉じると、驚くほどの静寂がそこに待っていた。

静寂の中、コンシェルジュが手をたたく。たった二人のために幕が上がり、スポットライトが灯る。


 しかしそこからは誰も出てこなかった。あるべきはずの舞台照明は変わらず、客席の足元灯だけが薄く光っている。赤い絨毯。金色の装飾。厚い壁。防音扉。外へ音を漏らさないための構造。


 コンシェルジュの笑顔が、わずかに硬直する。


「……少々、お待ちください」


 耳元の通信機へ触れた。


「第一班、配置を」


 返事はない。


「第二班、劇場裏口へ」


 返事はない。


「港湾班。劇場へ急行してください」


 返事はない。


 コンシェルジュの喉が、微かに動いた。


 アレンは静かに言った。


「誰も来ませんよ」


 コンシェルジュが振り返る。


 その顔から、接客用の笑みが抜け落ちていた。


「……何を」


「劇場で私たちを閉じ込め、外縁の民兵を入れて銃撃する。騒ぎは非常訓練か、VIP向けのセキュリティ演習として処理する。雑ですが、下層で処分するには十分な手です」


 アレンは、劇場の暗い客席を見た。


「ただし、兵が来ればの話ですが」


 コンシェルジュの手が、腰の端末へ伸びる。


 その前に、大佐が動いた。


 老いた男の動作とは思えないほど、短く、無駄がなかった。

 彼は一歩で距離を詰め、コンシェルジュに銃を突き当てる。


「端末を」


 大佐の声は静かだった。

 コンシェルジュは、端末を大佐に手渡す。


 二人は上着に手をかけた。

 濃紺のスリーピースのジャケットを脱ぐ。続いて、ベストの留め具を外す。


 その下にあったのは、薄い黒の防護スーツだった。外からは見えないよう仕込まれた、軽量の防刃・防薬剤装備。肩、胸部、腹部には最低限の補強。袖口には、通信と生体モニターを兼ねた細いデバイスが収まっている。


 アレンは脱いだジャケットを、劇場入口の手すりへ丁寧にかけた。


「港、第二ヘリポート、滑走路、コンテナエレベーター。三か所の民兵詰め所と主要な逃走経路は、すでにこちらが押さえました。当面、あなた方は島から出られない」


「あなたたちは、何を……」


「患者を迎えに来ました」


 アレンの声からは完全に融和の温度が消えていた。


「案内しなさい。中央エレベーターへ」


 コンシェルジュは黙っていた。


そのとき、劇場の奥にある非常口が、音もなく開いた。コンシェルジュの顔色はさらに悪くなる。

 そこは本来、出演者と警備員だけが使う裏導線だった。防火扉には電子錠があり、舞台裏の管制端末からしか開かない。だが、自分の許可無くその扉は外から開く それはつまり緊急事態である。


 入ってきたのは、三人だった。彼らの服には、海水と機械油の匂いがかすかに残っていた。

 岸壁。港。コンテナエレベーター。滑走路側通信設備。

 それぞれ大佐の指示により個別に島へ入り、合流したのである。


「港湾班、沈黙。負傷者なし」

「滑走路側管制、沈黙。小型機は飛べません」

「コンテナエレベーター管制、掌握。外部搬入系統は遮断済みです。復旧には半日はかかるはずです」


「上出来だ」

 コンシェルジュは、三人を見た。

 そして、ようやく完全に理解した。


 劇場の舞台裏に誰も来ないのではない。

 来られないのだ。

 自分がアレンを劇場へ誘導している間に、暴力のための爪は、すべて切り落とされていた。


 アレン側が、先に一手を取った。



 最上階。


 海へせり出した黒いガラスの奥で、ラゼベル・ギヨデルタは、中央エレベーター前の映像を見ていた。


「やってくれたわね それでは私が相手してやらねば失礼にあたる」


 ギヨが研究室の中央にある特別仕様の管制室に入る。


 中央のそこには施設全体が見通せる全てサーモ映像に切り替えられる防犯カメラの映像がずらりと大小様々に組まれている。整然というより雑然と様々なモニターや外部機器が複雑につなげられている。


 手前のコンソールにパスワードをたたき込むと、タッチセンサー内蔵の大型モニターに建物全体と、動体センサーからの呼応がビジュアライズされて表示されている。


 仰々しい放送用マイクとキーボードの横にモノクルを置くと

 左胸の人工心肺コントローラーに指をかけた。


 血圧。

 心拍出量。

 酸素供給。

 脳灌流圧。


 常人なら危険域と呼ばれる数値へ、彼女は自分の身体を一段階押し上げる。

 三つの目が、壁一面のモニターを別々に追い始めた。


 ギヨは専用コンソールに腰を下ろした。


 外科医がメスを握るときのような、冷たい集中がその顔に宿った。


「始めましょう」


 ギヨは、館内放送のスイッチを入れた。


「ようこそ、カサ・デ・ラ・ビダへ」


アレンらのいるフロアに、毒虫の女王の声が流れた。


「そこまでは、お客様用。ここから先は、私の体内だと思うことね」


 机に両手を置き、首をかしげモニターの中のアレン達を値踏みするように身を乗り出し睨み付ける。


「免疫応答を開始します」


ーーーーー


挿絵(By みてみん)

カサ・デ・ラ・ビダ 総合センター


自立発光する植物は実在します

Firefly Petunia という植物で米国のバイオテク企業「Light Bio」が開発。「肉眼でハッキリ見える自発光植物」であり紫外線で光るものではありません。現在アメリカの園芸店ではわりと普通に購入することができます。


ようやく本気のギヨせんのブチギレモードが始まる

三〇〇人のムキムキ改造兵がバズーカーを持ってアレンを追い詰める!(嘘)

ラストスパートのやる気圧をあげるためオラに感想を送ってくれーー

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― 新着の感想 ―
自力で光る植物、既に実在するんですね、驚きました。 こんなのがあちこちに生えた、幻想と不気味の間の施設での、スタイリッシュアクション。映画みたいですね! 大佐と博士がカッコよくてワクワクするのと、ふぁ…
ギヨ先生登場までの建物内での演出が素晴らしかったです。アレン教授〜!いい人過ぎる。報われて欲しい気持ちと、ギヨ先生との一騎打ちでボロボロになってまで挑む姿も拝みたくて心が2つあります…。
映画を見ているようです。 スパイモノ好きの血が騒ぐ。 続きをお待ちしてます!
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