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第104話 転生してやっと地位を確立したのに弟の方がチート転生だった件

「寿兄ぃ、俺だよ俺! 弟の義仁(よしひと)だよ」


 越後の龍・長尾輝虎ながおてるとらの息子である「ハズ」の景信かげのぶから放たれたその一言に、俺は大声を上げそうになるぐらいメチャクチャびっくりした。


 でも考えてみたら俺の転生(?)前の名前が寿ひさしなのも弟の名前が義仁よしひとなのも知っている奴なんて、この時代で他に居るとは絶対に思えない。それにさっきの笑い方は間違いなく、家族内でもよく聞いていたアイツの笑い声以外の何物でもないだろう。


 

 俺は転生前の現代では4兄弟の次男だった。親父は双子の弟・義仁と輝彦てるひこが生まれた頃からおふくろと折り合いが悪くなり、まだ2人が幼い頃にふらふらっと家を出てそのまま離婚。ちょっと煙草でも買いに行くような、そんな感じで居なくなったらしい。半日後にメールで別れを切り出してきたのだと母から聞いている。


 その後おふくろは頑張って働きながら俺達を育ててくれていたが、女手1人で男児4人を育て上げる事には精神的にも経済的にも色々と無理があっての事なのか数年後に再婚。


 新しく俺達の義父になった人物は、傍から見たら非の打ちどころのない『完璧なマイホームパパ』で、兄貴もまだ物心ついていなかった弟たちもよく懐いていたし俺も別に邪険にされたとかはないのだが、俺はなんとなーくこの男が苦手だった。


 何が?と言われれば表現するのが難しいが、思春期ゆえの反抗心か『何となーくコイツの世話にはなりたくないな』って思ってしまうのだ。


 小学校の4年くらいで芽生えてしまった感情はその後もずっと消えることは無く、小中高で9年の間、それはずっと俺の中に居座り続けた。


 兄貴は大学を出てそこそこの企業に就職内定を決めたし、俺も費用は気にするなと大学進学を勧められたのだが、一刻も早くこの男の庇護下を抜け出したいという一心で高校卒業と共に地元から遠く離れた地域の職場を選び、住み慣れた街を離れたのは俺が18歳の時。


 その後、兄や両親(?)とは全然会っていないが、双子の弟との関係性は全く変わらず年に数回は会う機会があった。2人は成人後も波長が合うらしく、遊びに来るときは大体2人一緒だった覚えがある。そして義仁はケラケラとよく笑う、明るい弟だった。

 


「いや、え??? ホントに……義仁なのか? にしても、どうしてお前まで」

「輝彦と二人でバイク乗ってたらさぁ、ちょっとコケちまって……んで、気付いたら赤ん坊だった」


 景信改め義仁いわく、ここ数年は輝彦とタンデムでのツーリングにハマっていて、その日も2人で岐阜から長野方面をツーリングに来ていたらしい。山道の下りカーブに差し掛かったところで脇から飛び出してきたタヌキを避けるためにハンドルを切ったところ、派手に転倒。


 スピードもそこまでじゃなかったし、自己判断では身体を起こしてツーリングを続行できる程度の転倒だったつもりなのに身体が全く動かず、次の瞬間には今の身体である輝虎と信玄の子・景信に生まれ変わっていたのだという。



「俺、転生モノとか知ってるし~信長の〇望とかで歴史も詳しいからさぁ、あぁーアレか時代転生? この身体って誰んだろ?うおおお史実ではありえなかった最強武将同士の子供じゃ~ん勝ち組確定♪って思ったらさ。

 

 どっかから現代知識持ち込んでアホみたいに歴史改編してる奴が居て、誰かと思ったら兄貴なんだもん。そりゃ~びっくりしたわ」


 

 いやこっちがびっくりしたわ! なんでそんなお前ばっかりチートキャラなんだよ!? 同じ兄弟なのに格差ありすぎだろ?不公平感半端ないわ。


「でも、何で俺だって分かったんだ?」

「あー。俺がまだ喋れない1歳か2歳ぐらいの頃、春日山城(オレんち)来たろ?その時に分かったんだよ。可愛いものとか見るとヨダレ垂らしそうなぐらいだらしない顔になるもんな寿兄ぃ。アレ絶対やめた方が良いぞ。女にモテないから」


 げっ! 俺そんな顔してたのか!? もしかしたら自分の子供達にもそんな感じの顔晒してたって事?この時代って鏡すら貴重品だし写真とかないからなあ……穴があったら入りたいわ。

 

 

「まあそんなワケでぇ、こっからは戦国チートでオレ無双のターンだから兄貴は手下の役よろしくぅ~」

「あ~はいはい仕方ねぇな……


 って弟だからってそんなん素直に『はい』っていうワケねぇだろ! 俺がどれだけの苦労をしてここまでになったか分かってんのか!? 」


 こっち来て早々、DQN猛将に4連コンボ喰らって気絶させられたりDQN王子に蹴鞠勝負挑まれたり、跡を継いで早々シーフード家族に攻め込まれたり……そりゃもうすっげー大変だったんだぞ。今思い出しても、よく切り抜けて此処に居るよなとか思うわ。



「冗談冗談♪ 兄貴がどれだけ頑張ってこっちで今の地位を確立したか、人から聞いた話でしかないけど俺もよぉーく知ってるつもりだぜ?だから俺は兄貴の事、しっかりサポートする側に廻ろうと思ってるよ」

 

「義仁……そんな事を言ってくれるなんて……立派になって……おま」

「だから俺の事はこっちの名前で景信『さま』って呼べよな。一応、家格は対等なんだし」

「お前……いい性格してんなぁ」


 

 兄の気持ちを慮ってくれる弟の成長に一瞬だけ感動したってのに、台無しじゃねーか!


 ともあれ、こうして前世では弟で現世(乱世)ではチート武将という、強力な味方である浜中 義仁(はまなか よしひと)改め長尾 景信(ながお かげのぶ)が俺の仲間?というか協力関係に加わった。


 ……のだが、どっちが上かはこれからしつけていく必要性がありそうな感じだわ。

お読みいただきありがとうございます。

寿・義仁・輝彦で元ネタが分かっちゃう人とかどれぐらいいるんだろうか?

ちなみに長兄・拓郎は出すか出さないか思案中です(爆)

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