今日は晴れたのでみんなで薪拾いだ。
さて、無事に雨も止んで晴天になり、足元も乾いてきたので、今日はみんなで薪拾いをしようと思う。
「おーい、今日はみんなで薪拾いをするぞー」
俺がそういうとマオが微笑んでいった。
「水は十分ですから、今日はゆっくりみんなで薪を探すと致しましょう」
そして二人の子供もうれしそうに言った。
「さがすー」「さがしゅー」
というわけでみんなで森に入り、まずは焚き付けに必要なものから探す。
焚き付けとは、ようは最初に種火を大きくするのに使う火の付きやすいものだ。
枯れたススキやガマの穂にスギの枯れ葉や松ぼっくりは格好の焚き付け材料になり、これががあるとないでは火熾しのしやすさに大きな違いが出るからな。
とりあえず子供でも分かりやすそうな松ぼっくりを拾って俺は子供達に見せた。
「まずはこれを探してみてくれ。
そんなにいっぱいはいらないけど、なくても大変なんでな」
「わかったー」「わかったー」
というわけで子供たちは目を輝かせながらキョロキョロとあたりを見渡しながら松ぼっくりを探し始めた。
「あ、あったー」「あったー」
と松ぼっくりを見つけたといっては俺に見せに来る子供たちは楽しそうだ。
「おお、えらいぞ。
じゃあ次は……」
俺は落ちているスギやマツの枝をみせた。
「これと同じものを探してくれるか?」
「わかったー」「わーった」
木には硬い木とやわらかい木があり、一般的に硬い木は重く、やわらかい木は軽く油を多く含んでいるものが多い。
そして硬い木の代表格はカシ、ナラ、クヌギといったもので、やわらかい木はスギやマツだ。
子供たちならば軽い枝の方がいいだろうし、火のつきがよい枝を探してもらった方がいい。
「では私たちはナラの枝を探しますか」
「ああ、そうだな」
硬くて重い木は火が点きにくいかわりに、一度燃えれば火持ちが良い。
やわらかい木は油分が多く火着きが良いかわりにすぐに燃え尽きてしまうので、松ぼっくりで火おこしをしたら、スギやマツの細い枝に火を移していき、その後に少しずつ硬い木を燃やし長く保てる状態をつくっていくのが理想だからな。
そして、山の中だと細い枝は比較的見つかりやすいが、太い薪はあまりないのだがそれをちゃんと集めるのも大事だ。
「みつけたー」「みつけたー」
「おう、お前たちえらいぞ」
と二人の子供たちの頭を撫でてやったがそろそろ眠そうだ。
「いったん小屋に戻るか」
「そうですね」
俺たちは小屋に戻って子供たちを寝かしつけた。
「じゃあマオは拾ったものの分別をしておいてくれるか。
俺はちと沢に降りてみるとするよ」
「ええ、わかりました」
雨の降った後の河原には薪が豊富に流れ着いており、増水して、川の水位が最大の高さになった場所付近に流木が引っかかっている事が多い。
さらにうれしいのは太い木も多いことだ。
「お、やっぱり雨の後は流された枝がたくさんあって助かるな」
俺は河原で太い木の枝を拾い集めて小屋へと戻った。
「いま戻ったぞ」
「はい、お疲れさまでした。
これをどうぞ」
とマオが差し出してくれたのはヤギの乳だな。
「ん、助かるよ」
ヤギの乳は疲労回復効果が高い食材でもあるのでやっぱりいてくれて助かったよ。




