最終話:来年には新しい家族が増えるな
さて、季節は移り変わり、秋になっていた。
そして、俺とマオはいつしか男女の仲となっており、マオのお腹は目に見える程度に少しずつ大きくなってきている。
まあ、妙齢の男女が夜の寝台をずっと一緒にしていれば、そうなるのも当然だと思うが。
「子供が生まれてくるのは来年の春の終わりか夏の初め頃かな。
それまではあんまり無理をしないでくれよ」
俺がそういうとマオはくすっと笑って答えた。
「まだまだ気が早すぎますよ。
このくらいであれば私は普通に動けますしね」
「そ、そうか……まあ、ならいいんだが」
春から初夏にかけてであれば、最悪マオの母乳の出が悪くても、ヤギの乳を代わりに飲ませることができるはずだ。
まあ、今のところマオの乳の出に問題はなさそうだけどな。
「それなら体を冷やさないように厚手の服を作れるようにしておくか」
「それは助かりますが、おなかが大きくなれば、服を着るのが大変になるような気もします」
「ああ、なるほど、そうするとお腹のあたりの幅調節ができるように考えないとダメだな」
俺がどうするかを考えているとマオが笑顔で言う。
「なんだかとても楽しそう」
「そうだな。
俺が一人じゃなくって、これからさらに人が増えるというのが楽しみで仕方ないんだろう」
山賊仲間と別れてからマオと出会うまでの期間がそれほど長かったかというとそうでもない気もするが、一人で、自分のため駄目に何かをするというのは気楽で楽しくはあるが、家族ができて家族のために何かをする方がより楽しいものだ。
だからこそ、子供を早産や流産で失うことなく、生まれた後も夭折せずに無事に大きくなるまで育ってほしいと願うばかりだ。
「お前たち、弟か妹が生まれたらちゃんと面倒を見てくれよな」
俺が二人の子供に言うと二人は刻々とうなずいた。
「はい、ちゃんと面倒を見ますよ」
「あい、みましゅ」
この子たちと父親は違うことになるが仲良く育ってほしいものだ。
この山の中での生活は出世だの贅沢だのとは全く無縁だが、基本的な衣食住に困るわけでもなくこうやって家族とともに穏やかに過ごせるのは何よりも幸福なことではないかと俺は思う。
最後の更新がかなり遅くなりましたがこれでこのお話は完結とさせていただきます。
読んでいただいた皆様に感謝を。




