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先駆者の導き  作者: 腹ぺっこ
第三章 人魔を渡る者
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3_22_個人戦 第一選抜 終了

こんにちは。これで連続投稿が一区切りです。


次の更新は後日になりますが、できるだけ早く更新できるように頑張ります。




【それじゃ私達も解説しようかね、うん】

【何をですか?】

【今後の展開と動き方についてだよ】



その切り出しから始まったのは、終盤戦についてだった。


【きっと執行者達は大量の失格者を出すだろうね】

【挑戦者達にとっては災難ですね】

【ところが、そうでもないんだよ】


へ? 違うのか?


【ほとんどの挑戦者達はイベントの20分間を隠れて過ごすだろう】

【そうですね。所持枚数が多い人ほど、その傾向が強いと思います】

【うんうん、逆に所持枚数の少ない者は動くかもしれない】

【リスクが高いのでは?】

【けれど、20分経過したら鉢巻が再配置されるからね、一気に通過者が続出するよ】

【……規定人数、ですか】


集めなければならない枚数が多いと、その分だけ後れを取り、規定人数に滑り込めなくなるだろう。


所持枚数の少ない人は再配置までに動いて鉢巻を奪取しないといけないのか。



【ただ、他にも手はあるよ、うん】

【待ち伏せですね】

【そうそう、通過するには訓練場へ行かなければならないからね。そこを待ち伏せすればいいよ】


再配置後は一気に通過可能者も多くなるから獲物には困らないはずだ。


【そして所持枚数が多い者は、仲間を募って戦力を整えるだろうね】

【終盤で消耗している人も多いでしょうし、少しでも戦力は確保したいですよね】


再配置が始まれば必要枚数を手早く達成し、同じく通過可能な者達と組んで訓練場を目指す。


それが安全であり、全員が通過可能な状態なら仲間割れの可能性も低いだろう。



絶対安心とは言えないが、協力しないと訓練場への道が遠くなるからな。



総合すると……少量所持者は20分間を隠れ過ごして再配置後に訓練場付近で待ち伏せするか、もしくは20分の間に鉢巻を奪取して大量所持者の仲間入りを果たすか、という動き方が代表的だな。


ただ、動けば執行者に見付かりやすいだろう。切り抜ければ再配置で優位に立てるが、リスクも大きいな。



けど20分間を隠れて過ごせば、後で苦しくなる。少量所持者で組んでも、待ち伏せで得た鉢巻の所有権で争いになりそうだし。


残りの制限時間も懸念だよな……40分で集め終わるかどうか。

所持枚数の少なさが不利に直結するのは当然だから、仕方ない事だけども。




一方の大量所持者は20分間を隠れて過ごし、再配置で手早く必要枚数を集めて仲間を募る。

そして一気に全員で訓練場を目指すって動き方が代表的だ。


こちらも時間との勝負だけど、少量所持者よりは楽だろうな。


そうやって整理していると、学校長が解説を追加した。



【けど、こういう動き方をするためには多くの鉢巻が没収されなければならない】

【執行者の働き次第ですね】

【うんうん。もし再配置される鉢巻が極めて少なかった場合、20分間も状況が停滞しただけ……という結果になるからね】



そっか……だから手加減するなと指示したんだな。


再配置が少なくても誰かから奪取すれば良い。


けど時間の問題もあるし、大量所持者が仲間を募れる状況じゃなくなるだろう。通過可能まで鉢巻を集めるために争奪戦を繰り広げなければならないのだから。



そして少量所持者も、通過可能者が続出しないなら待ち伏せしても効果が薄い。間に合わないかもしれないからな。


かといって闇雲に動いても何とかなるわけではないだろう。はっきり言って詰んでいる。


希望があるとすれば、待ち伏せの効果が高い状況になった場合である。



だからこそ俺達が頑張らなければならない。再配置される鉢巻を大量に確保することが前提だ。



そりゃあ、失格者を量産する事にもなるけどさ……そうでもしないと誰もが苦しい状態のままだ。


ここは全員が正念場だと意気込み、全力で逃げてほしい。


俺達は再配置で多くのチャンスを生み出すために、全力で刈り取る。




「……あっ」


やべっ、連絡するの忘れてた。



「こちらルイス! 連絡遅れました!」


慌てて通信具を起動し、声を届ける。


【……よし、これで全員に繋がった】


すんません……


【それでは本当の指示を伝えよう】

「へ?」

【さっきのはブラフだよ。あからさまだったから騙されない者も居るだろうけどね】


あ~……探す場所を放送で流さないよな。

嘘と気付く人も居るだろうけど、もしかしたら本当かもしれない。もしくは嘘と見せかけた罠なのかもしれない。そもそも信じる人が居るかもしれない。


そうやって思考を乱しておけば、大抵は校舎に近寄らなくなるだろう。


【ハイクとソマリは上空から監視、見付ければ近くのメンバーに声を届けるか、直接仕留めるように】

【【了解です】】

【ケートスは私と一緒に屋外を捜索だ。全力で走り回る】

【分かりました!】

【タチアナは放送室で全員を補助だ。各メンバーの担当箇所を管理し、隠れていそうな場所のアドバイスを頼む】

【任せてほしいと思いません?】

【他のメンバーは今から指示する場所に向かってほしい。校舎以外の屋内を徹底的に捜索する】


俺が指示されたのは練武室だった。準備室や倉庫など、様々な隠れ場所があるから手早く探していかないとな。



【もうすぐ寮が閉鎖され、通信具は使用出来なくなるからね。では、行動開始だ】



その号令で俺は走り出した。



・・

・・・



【また1人やられたぞおおぉぉ!! これはハイペースだあっ!】

【このままでは本当に全滅しますね】

【大丈夫だよ、うん。捜索場所は絞っているようだし、他を探す時間は捻出できないだろうからね】


そんな実況と解説の声が聞こえてくる中で、俺は練武室内部を捜索していた。


見付けたのは合計4人であり、成果としては上出来だな。



【そろそろ練武室は仕上げで大丈夫と思いません?】


お、タチアナ先輩からの指示が飛んできた。どうやら練武室は仕上げであるらしい。


【練武室の入場扉が開いていれば、壁との間に隠れるスペースが出来ると思いません?】


……あ、いたわ。



「うああぁぁぁ!」

「はい、5人目」


【おおっと逃げ切れなかったあ! これでルイス君が5人目を仕留めたぞお!】

【タチアナさんも素晴らしい補助でしたね】

【学校中の隠れられる場所を網羅してそうだよ、うん】


さすがタチアナ先輩だ。隠れる側の心理を知り尽くしている。

そう感心していると、タチアナ先輩から追加の指示が飛んできた。


【もう練武室は充分なので、訓練場へ向かって欲しいと思いません?】


了解です。訓練場へ向かおう。



あと5分くらいしか残ってないし、その後は再配置の時間だ。


最後の40分間は邪魔しないようにしておこう。


でも、それなら訓練場へ向かう必要が無いと思うんだけどな。



なんて考えながら訓練場へ向かい、その途中でマイカーからイベント終了の知らせが入る。



【これにてデスゲーム終了だあっ!! 生き残った諸君おめでとう!】

【捕まってしまった人たちも惜しかったわね】

【それで、何人が失格になったのかな?】

【え~っと……36人だあああ!! 没収された鉢巻は74枚っ! 大漁だぞ!!】

【没収した時点で各地の審判に渡してるからね、 配置も完了してるよ】



そうなんだよな……さっきまで誰かを捕まえるたびに職員が出てきて、没収した鉢巻を持って行ったんだ。


どこに隠れてたのかも分からん。さすが職員である。



【さあさあ!! これからラストスパートだっ! 気張ってけよ!】


こうして最後の40分間が始まった。


再配置された鉢巻の数は充分。あとは大量所持者が集めて仲間を募り、通過を目指す。


そして少量所持者は再配置された鉢巻か、訓練場に向かってくる鉢巻を狙う事になるだろう。






「お疲れ」

「お、ハイクお疲れ!」



訓練場へ向かっているとハイクが合流してきた。捕まえた人数こそ少なかったが、上空からの捜索で活躍してたな。



「もうすぐ訓練場付近が大混雑するから、流れ弾に気をつけて」

「おう。他の皆は?」

「向かってきてるよ。俺達は最後の仕事があるし」


走りながら聞いてみると、かなり熾烈な戦いが繰り広げられるだろうから、危ない場面では止めに入ったり、怪我した者を安全な場所へ運んだりするらしい。



「まあ職員に任せても大丈夫だと思うんだけどね」

「だよな」


休憩を挟んでいたとはいえ、2時間以上も動きっぱなしだ。俺自体が狙われた事もあったし、魔力の残りも余裕とは言えない。


ハイクも少し疲れているようだ。もう寝たい、って顔してるから分かる。



それからは全員が訓練場の入り口に集まり、即座に班分け。


クリストフ先輩の班とケートス先輩の班であり、俺は脳筋班である。



あまり分散したら俺達が撃破される可能性があるからな。黄色鉢巻は価値が高いし。

だから戦力は確保しつつの見回りだ。


ちなみにタチアナ先輩は既に放送室から離脱し、雲隠れしている。

金色鉢巻は遂に、誰の手にも渡らないらしい。


誰かが狙っていたようだが、放送室へ押し入った瞬間に逃げた後だと悟ったのだろう。



悔しそうな叫び声が放送されていた。どんまい。



「では、くれぐれも怪我の無いようにね。行動開始だ」

「「「「「了解!!」」」」」




・・

・・・




【ここで規定人数が通過ああぁぁ!! 5分を残して第一選抜終了だっ!!!】



とうとう第一選抜が終了した。規定人数までは通過者も出たようだし、上出来だろう。


結果としては、やはり大量所持者が有利だった。しっかり3人以上の仲間を集め、群がる少量所持者達の包囲を突破。


たまに足止めされる事もあり、そこでは大混戦となっていたな。もう誰が誰かも分からないぐらいである。



魔法も飛び交っていたし、そんな中で俺達も見回りしていたから冷や汗の連続だった。


生徒会の上級生達が護ってくれたのもあり怪我せずに済んだものの、ソマリとマリは鉢巻を奪われていた。


決死の覚悟で突撃してきて、鉢巻を護りきれなかったのである。2人とも接近戦が苦手だから仕方ない。



他のメンバーが助けようとしたけど、近くで争奪戦が繰り広げられていたからな。

そっちを警戒してたのもあり、追いかけるのが手間なので断念。



……で、今は訓練場周辺を見回って挑戦者達を回収している。


魔力の枯渇で動けない者や、魔法を喰らって気絶している者、惜しくも通過できずに落ち込んでいる者と様々だ。



まさに戦いの終わった戦場という光景であった。


やがて放送で挑戦者達全員の発見が完了したと伝えられたため、俺達は訓練場の中へと戻る。



そこでは中央へ通過者たちが立ち並び、後ろでは惜しくも通過できなかった者達が集まっていた。



「それでは、これより終了式を行います」


ナイール先生の司会により、一次選抜の終了式が始まる。

学校長から労いの言葉があるらしい。



「生徒諸君、お疲れ様。毎年のように対抗試合の出場者選抜は白熱しているけど、今年も例年と同じく盛り上がった」



そのような一言から始まり、まずは通過者に視線を向ける学校長。


「まずは通過した諸君、見事だった。今年の一次選抜は厳しいルールであったけど、よく勝ち抜いたね、うん」



そんな言葉に通過者たちは誇らしそうだ。しかし、次の言葉で顔を引き締める。


「明日には二次選抜がある。この中で残れるのは半数だからね、悔いのないように戦いなさい」


そういえば二次選抜もあるんだよな。次は一対一の勝ち抜け制だから実力が勝敗に直結する。


存分に体を休めて、少しでも万全の状態に近付けとかないとな。



「さて、続いては惜しくも通過を逃した諸君だ。私としては変に言い繕う気など無いよ、うん」


学校長が敗退した者達に向かって告げる。


「君達は負けた。それは揺るぎない事実だ。各々に足りないものがあったはずだよ」



武力、知略、運、魔法……様々な強みと弱みを各人が持ち合わせているだろう。


それを活かし、それでも勝てなかった者達だって多いはずだ。苦手分野が足を引っ張ったかもしれない。



「けれど、君達は学んだ。それも揺るぎない事実であり、重要だと思うよ、うん」



月並みな言葉かもしれないが、負ける事は恥じゃない。全力で戦った経験と、そこで学んだ事は確実に自身を成長させる糧になっているのだから。



「きっと、悔やんでいるだろう。嘆いているだろう。そういう感情を持つほどに努力し、求める結果を得られなかったのだからね」


けどその結果は、ただ負けたという単純なものじゃない。そう学校長は付け加える。


「何よりも自覚してほしいのは、もし少しだけ何かが違っていれば、ここに並んでいたかもしれないという可能性だ」


学校長が示したのは、通過者達だ。


僅差で間に合わなかった者だって居るし、そうじゃなくても敗退した原因は必ず存在するだろう。



「つまり君達は、ここに並ぶ可能性を秘めていた。負けはしたが、勝つ事もできたんだよ」


今度こそ勝つために、今回の敗北で何を得るか、何を学ぶか意識しなさい。


その言葉で区切り、次は俺達に向き直る。



「生徒会の皆も、お疲れ様。この広い敷地内で多くの失格者を出した実力を頼もしく思うよ」


その言い方は挑戦者達から改めて恨まれそうだけどな。



「君達の動きがあったからこそ、挑戦者達は一層の懸命さを発揮したんだからね。より良い経験を積めただろう」



もし執行者という存在が居なかったら、0枚になっても幾分か余裕を持てていただろう。


枚数では差があっても、狙われる事なく挽回の機会を探れるのだから。



けれども、執行者という存在のおかげで甘えが断たれた。0枚は失格に繋がる状況であると意識せざるを得ないからだ。


安易な気持ちで次があると考えないように、俺達が必要だったのである。



「苦境に立たされた時、挑む意志は必要不可欠なものだ。しかし、それが蛮勇でないかどうかを判断するために、常から学ぶ姿勢を持っていてほしい。そして、場合によっては苦境から逃げる事もあるだろう。それが甘えでなく、勇気をもって逃げられるよう心掛けてほしい」



それを促す役目を担ってくれた生徒会メンバーに、感謝を贈る。そう言われて俺としては悪くない気分だった。


続いて学校長は振り返った。その視線の先は訓練場の周囲を囲むように設置された観戦席であり、大勢の生徒達が座っている。



「最後に、今回の選抜に参加せず、観戦していた君達だ」


少しだけ緊張感が走る。選抜そのものに挑まなかったという事実を指摘されていると感じたかもしれない。



「君達の存在も大事なものだ」


が、どうやら違うらしかった。



「君達も選抜の様子を知りながら、自分が挑戦者だとしたら……と考えていただろう」


それも立派に学んでいると言える。そして他にも大事なことがある。


「それは称賛だ。戦った者達に、学ばせてくれた者達に、感謝と労いを贈る事が見る者の大切な役目だよ、うん」



学校長が周囲へ呼びかける。


「さあ、挑み、学び、逃げる勇気を示した健闘を讃えよう」



最初は小雨のような、戸惑うような拍手。


しかしそれも次第に大きくなり、遂には豪雨のような喝采へと変貌する。



惜しみない称賛に包まれながら、勝者と敗者はもちろん、苦境を提供した俺達生徒会メンバーも満ち足りた気持ちを味わったのであった。



「なんとか無事に終わったな」

「だね。お疲れ」


隣に立つハイクと拳を突き合わせて互いを労う。


そして他の生徒会メンバーを見回し……



「あれ?」

「どうした?」

「タチアナ先輩は……どこだ?」


すっかり忘れてたけど、最後の40分間で行方を晦ましてたよな。


まさか今も隠れてるのか!?


「心配しなくていい。あそこに座っているよ」


俺の焦りに気付いたクリストフ先輩が観戦席の一部を示す。


そこには解説役が座っていたスペースのようで、タチアナ先輩が拍手していた。


良かった……行方不明になってたら酷いオチになってしまうからな。



で、どうやらイリーナは訓練場付近に居ないようだ。感知できないし、もう部屋に戻ったのだろうか?





「では、これにて解散としよう。食堂は開放されているからね」


こうして終了式も終わり、生徒達は解散となった。


今日と明日は授業が無いからな。選抜に挑戦する俺達は別件で忙しくなるけど。



「おそらく今から食堂が混雑するだろう」

「手伝いに行きますか?」

「それも良いが、先日の一件で緩和されているよ」



あの休暇らしくない休暇の日か。一斉に向かうと大混雑するから、ある程度は配慮して時間を空ける生徒も出てくるだろう。


しかし、それでも混雑する事に違いは無い。



「そういうわけだから、今の内に訓練場で特訓するかい?」

「おぉ……」


特訓って響きが良いな。強くなれそうだ。


「ちょうど半分に分けられるし、紅白戦にしよう」



次回・・・紅白戦


ーーーーー

ハ「負けたら罰ゲームとかあるのかな?」

マ「あっ! それならクリストフ先輩と一緒のチームがいい!!」

ソ「全員が同じ気持ちですから」

ル「ケートス先輩は……あれだよな」

ラ「だな」

モ「負けフラグ?」

皆「「「「「それそれ」」」」」

ケ「よっしゃ全員かかってこい。手加減しねえからな!!」

皆「「「「「「イヤアァァーーー!!」」」」」」


唖然!! 選抜前にメンバー全員が粉砕される!? (しません)


ーーーーー


頭文字だけだと読み辛いかな……このために頭文字が被らないよう保険打ってたんですけど……


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