3_20_個人戦 第一選抜 開始
こんにちは。
今回は連続投稿です。
やはり一つのエピソードは一気に読んだ方が良いと思うんですよ。
ただ、用意したストックを一気に消化するのと同義なので……次のエピソードまでは時間空きますね。
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初の通過者が所持していた鉢巻きの色を修正しました。
黄色て……黄色てっ……!
本当は赤と緑です。うどんの色です。間違えて申し訳ないです。
【さあさあ!! あと1分で選抜開始の時間だあ!!】
モーティ以外の生徒会メンバーや有力な挑戦者達の紹介が終わり、まもなく一次選抜が始まろうとしていた。
結局、俺とラグも屋上へ留まり続け、今は眼下に何人かの挑戦者達が散らばっているのを見ている。
どうやら隠れはせず、開始と同時に鉢巻を奪取すべく戦うようだ。
各々が相手を見定め、睨み合いが続いている。
【それでは皆もご一緒にぃ!! さんっ、にぃっ、いちぃっ……選抜開始いぃぃ!!】
とうとう一次選抜が開始され、同時に駆け出す挑戦者達。至る所で叫び声や魔法などの喧騒も聞こえ始める。
あまり時間に余裕があるとは言えないからな。最短でも6枚確保しなければならないから、30分毎に1枚を手に入れるようなペースだ。
しかも通過者が出るたびに鉢巻の総数は減り、チャンスも少なくなっていく。隠れてるだけでは勝ち残れないだろう。
「始まったな」
「ハイクが挑戦者ならさ、どう動く?」
眼下で攻防を繰り広げる挑戦者達を眺めながらハイクへ聞いてみた。
「闘技場の中で待ち伏せするかな」
「は?」
「もちろん、鉢巻は頭に装着しておくよ。そしたら執行者から狙われないからね」
試練を潜り抜けて闘技場へ入り、ようやく通過だと油断したところで不意打ちするらしい。
「外道じゃねえか」
「冗談だよ。そんな事したらマイカーさんに放送されちゃうからね」
「それもそうか」
あっという間に警戒されてしまうから、通用しなさそうだ。
「んじゃどうするんだ?」
「信頼できる相手と協力するのが効率的かな」
3人で組み、それぞれが一色ずつ持つようにするらしい。
襲ってきた相手は協力して撃退し、各色9枚集まれば訓練場に入って交換。そのまま通過という流れが理想的だとさ。
「バランスよく集まるかは分からないけどね」
「まあでも全員が通過できるように数が揃えば解決するか」
極端に言えば、赤3枚と青15枚でも通過可能である。
1枚ずつ赤色鉢巻を頭に装着し、残りは5枚ずつの青色鉢巻を通行料に使えばいいのだから。
「あとは推奨されないだろうけど、特定の色を独占する事かな」
「独占?」
「そ。例えば赤色ばかり集めて隠すんだよ。そうしたら価値も上がるし交渉しやすい」
もし赤色の鉢巻全てを独占された場合、2色で通過条件を達成しなければならない。
そんな状況で安全策を取ろうとしたら、どちらも7枚確保しなければ一度奪われただけで通過条件が崩されてしまいかねないんだ。
「ただ、独占するには組織的に動かないと不可能だろうし、最悪2色でも通過条件は達成できるからね」
それこそ赤と青を独占できれば、緑3枚と赤1枚を交換してやる……という交渉だって可能かもしれない。
しかし、そこまでするのに果てしない労力と時間が必要になるから思いついても実行しないだろう。
さらには2色独占されても、執行者の黄色鉢巻さえ奪取すれば通過条件が満たせる。執行者に喧嘩売るのはリスク高いけどさ。
「まあ、それこそ協力なんてのも難しいよね。裏切りが怖いし」
絶対に裏切らないと信用できる仲じゃないと協力なんて出来ないだろう。信頼してても不和が起こる可能性だってあるし。
そういうわけで、絶対確実な攻略法なんてのは存在しない。襲われても撃退できるほどの実力を持っている者が絶対有利だ。
それさえ大人数に狙われたら為す術無く奪われるだろうから注意しないといけない。
「懸念としては身分差だな。貴族に鉢巻を要求されたら一般は断りづらいぜ?」
「評判に障るから実行する者は少ないだろう」
「むしろ媚を売ろうとして鉢巻を渡す人が出てきそうだよね」
「賄賂かよ」
そんな場面を見られても評判落ちそうだけどな。
そうやって話し込んでいると、眼下で挑戦者の1人が鉢巻を奪われた。
開始早々の0枚であり、俺達は顔を見合わせる。
「これって全員で襲うのか?」
「それはそれで惨いよな」
「じゃ、俺が一人で行ってくる」
目立ちたいらしいラグが補助魔法を纏って飛び降りる。
攻撃魔法で倒れたところを奪われたらしい挑戦者は、目の前にズシン…と降り立ったラグを見て悲鳴を上げた。
「ヒイイィィィ!!」
「悪く思うな。これが役目だからよ」
腰が抜けたらしい挑戦者の頭に触り、これで失格になった。
すると放送で早速告知される。
【おおっとぉ!! 早くも一人失格となったあ!!】
どっかで監視してる先生が連絡したんだな。かなりリアルタイムで実況されるようである。
【0枚になった瞬間にラグ君が捕まえたようだぞ!! 仕事が早い!!】
【執行者が近くに居る場合は奪い合わない方が安全かも】
【うんうん、0枚でも復帰のチャンスは残ってるからね。退路は確保しておくべきだよ、うん】
退路の確保以前に、腰抜かしてるんだよな……
すると、また近くで0枚になった挑戦者が出た。目敏く見付けたラグが走り出す。
「っしゃあぁぁぁ!!!」
「来るなあぁぁぁ!!」
追いかけっこが始まり、校舎に向かって逃げていく挑戦者。ラグも追いかけて見えなくなった。
「張り切ってるね」
「あの紹介が余程悔しかったのか?」
「たぶん」
さって……俺も動くかな。
「俺は多目的場に行ってみる」
「行ってらっしゃい」
「相手によっては黄色鉢巻きを狙ってくるから気を付けろ」
「あいよ」
補助魔法を纏って飛び降り、多目的場へ。
道中で何人もの挑戦者達と会ったけど、まだ襲ってこないな。俺から奪って逃げ果たしても、他の挑戦者達が狙ってくるだろうし。
それぐらい黄色鉢巻は価値が高くリスクも高い。ここぞという時しか狙わないだろう。
というわけで安全に多目的場へと到着。そこでは5人の挑戦者達が鉢巻を奪い合っていた。
既に1人は0枚になっており、奪還しようと必死に挑みかかっている。
そんな挑戦者は俺の姿を見て、動きを止めた。
「まずい!」
そう叫んで逃げ出そうとする0枚君。
当然、逃がすつもりは無い。
「待ておらあぁぁ!!」
補助魔法ありの俺から逃げられると思うなよ!
どんどん距離を詰め、もうすぐ背中に手が届きそうだ。
すると振り返って俺に手を突き出してくる。もう片方の手には魔具が握られていた。
「”バーンボール”!」
「うおっ!?」
腕で咄嗟に防御したし、補助魔法で護られているから被害はない。
足が止まってしまった隙に逃げられたけど、まだ背中が見える0枚君の追跡を続行。
「”燃やし焦がす火神の戯れ・・・”」
そして魔法を維持待機。もう同じ手は食わない。
再び追いつきそうになると、また振り返って片手を突き出してくる。
「「”バーンボール”!」」
同時に魔法を行使、そして相殺。
爆発は伴うけど、その余波に怯んだのは相手だけである。
「ぅあっ!?」
「ほい、っと」
隙を逃さず肩に手を触れる。これで執行完了だ。
【さらに失格者が出たぞ!! ルイス君が0枚を仕留めたあ!!】
【一度は不意打ちで距離を離したんだけど、追い付かれちゃったみたいよ】
【補助魔法を使われると速度で不利だからね、うん。そこも対策しておかないと逃げ切れないよ】
自身も補助魔法で対抗するか、長く足止めできる手を打たないとな。
「くそ……こっちを使ってれば……」
ふと、失格になった挑戦者が呟く。なんか出し惜しみしてたのか?
俺ぐらいなら余裕で回避できるとか考えてたんだろうか。あとは消耗しすぎないようにとか、手の内を全部出したくないとか?
そこらへんを考慮するのは自由だけど、それで脱落するのも歯痒いよな。
【おーっと!! 次はマリさんが仕留めたぞぉ!!】
お、マリも活躍してるようだな。
【鳩尾に突き刺さった拳によりダウンッ!! その隙に他の挑戦者が鉢巻を奪取!! 続けざまにマリさんが捕まえて失格だあ!!】
【だから言ったのに】
【恐ろしい子だね、うん】
何度も喰らってきた俺ならともかく、未経験の奴らは油断するだろうな。
あんな非力そうな女子のパンチなんて痛くないだろう、と。
【なんと!! もう鉢巻を6枚集めた人が居るらしいぞ!!】
うお!? マジかよ早いな。
【もう訓練場に到着したようだ!! 一番乗りは……ケートス君だあ!!】
「はあ!?」
ケートス先輩は挑戦者じゃねえよ!?
【どうしてケートス君が鉢巻を持っているんでしょうか!?】
【役割を理解しているのかしら?】
【……おっと! ここで審判から連絡が届きました! どうやら挑戦者達が5人がかりで襲撃したようです】
で、返り討ちにされて鉢巻も剥がされたと。一気に5人が失格になったな。
そして黄色以外の鉢巻は回収された。これは没収扱いとして誰の所持物にもならないそうだ。
【生徒会メンバーから鉢巻を奪うのは困難だぞ!! 後が怖いしな!】
【クリストフさんも近くに居て参戦したようね。これじゃ勝てないのも当然よ】
【怪我らしい怪我はないようだね。スマートな仕事ぶりだよ、うんうん】
あの2人に喧嘩売るなんて無茶な奴もいるもんだ。
そう呆れながらも多目的場へ戻ってきた。すると、まだ争奪戦を繰り広げていた他の挑戦者達が逃げ出す。
頭には巻いているけど、俺を警戒してるようだな。
万が一にも魔法の流れ弾が当たれば反撃される、とか思ったのかもしれん。
「ん~……」
俺はいいんだけどさ、こういう怖がられるような役割ってクリストフ先輩にはさせたくない。
かといってクリストフ先輩だけ参加しないのも後味が悪いだろうな。こればっかりは仕方ないのか?
文句があるとすれば、執行者という役割を考えた奴が悪い。
……まあ、気を取り直して別の場所に行くか。
ただ、その前に多目的場へ併設されている倉庫が気になる。
中へ入ってみると、カタン……と僅かに音が聞こえた。誰か居るな。
くまなく探しながら奥へ進むと、耐え切れなくなったのか飛び出してくる挑戦者。頭に何も巻いておらず、服は土に汚れていた。誰かに奪われた0枚君である。
「頼む! 見逃してくれ!」
そう叫びながら倉庫から転がるように出ていく。
いやいや……逃がさねえよ?
・・
・・・
一次選抜の開始から40分が経過し、初の通過者が出た。
青色鉢巻きを頭に巻き、赤色と緑色を4枚ずつ所持している状態での通過である。
最低必要枚数より3枚余分に払っての通過であり、しかもケートス先輩が序盤で没収した分を合わせると、残りの枚数が早いペースで少なくなっていた。
とはいえ、まだ半分の時間も過ぎていない。まだ本格的に枚数が足りなくなる段階でもないだろう。
そもそも必要枚数が多いんだよな。1時間も経過しない内に集めた通過者は流石だ。
マイカーの実況などを聞くに、4枚ほどを圧倒的な強さで獲得してからは不戦勝の連続だったそうだ。
遭遇した者達にとって、もし鉢巻きを奪われても全て終わりじゃない。むしろ抵抗して消耗するよりは、素直に渡して体力や魔力の温存を図ろうと決断したようだった。
まあ、その決断が良い結果を生むとは限らない。そうやって0枚になった挑戦者の何人かは、執行者に捕まって失格となっている。
他にも行動可能範囲ギリギリで奪い合っていた連中とかは、魔法で吹き飛ばされて範囲外に出てしまい失格となった者も出ていた。そうした場合、対峙していた者に鉢巻きが譲渡されている。
こういったケースも実況されているため、もう範囲ギリギリで活動する挑戦者は少ないだろう。裏を返せば誰とも遭遇したくない場合の経路として使いやすくなっていた。
というわけで、現在の通過者は1名。そして失格者が23名である。
数だけ見ると失格者が多いようにも感じてしまうが、その分だけ生き残った1人あたりの所持枚数が増えているという事だ。
後半へ進むに連れて通過者が出てくるペースも上がっていくだろう。
それこそ終盤は碌に鉢巻きが残っていないかもしれない。
「ルイス!」
「お、モーティか」
1人で行動していたらしいモーティが走りながら俺に合流してきた。まだ黄色鉢巻は奪われていない。
奪われてるけど実況されなかった、なんて可能性を危惧していたけど杞憂だったようで安心した。
「逃げろ!!」
……へ?
モーティが叫んだ直後、後ろから誰かが走ってきていた。しかも1人じゃない。
「鉢巻を寄越せえぇぇ!」
「もう1人増えたぞ!」
「どっちも新入生だ! 勝てる!!」
なんと3人も連れてきており、しかも相手は上級生のようである。数でも不利だし学年でも相手の方が上だった。
執行者を狙うとは……なんとも大胆である。
しかも俺まで獲物と見定めたらしい。
まあ……俺としては逃げるしか無い。たぶん勝てないからな。
「うおおぉぉぉ!?」
俺も踵を返して逃げ始め、背後からモーティが謝ってくる。
「すまない! 逃げてたら……」
「しゃあねえって! それよりヤバくね!?」
走る速度は大差ないから距離が縮まりはしないけどさ、それより心配なのは……
俺が振り返ると、案の定というか当然のように挑戦者達が魔法を撃ってきたのであった。
「”スプラッシュ”!」
「”グレイバンズ”!」
「”ウインドスライ”!」
水・地・風の中級魔法それぞれが同時に俺達へと迫ってくる。
くそ、腰を覆うように装備してる魔具か! やっぱ即時発動式は厄介だな。
あっちが行使した魔法は、ばら撒くように撃ち出される魔法だ。一つ一つの威力は高くないけど、至近距離で全部当てようものなら高火力になる。
今回は少し距離があるから全部当たりはしないけど、その分散らばってて避け切れそうに無いな。
……仕方ない。
俺も腰に下げている魔具に触れて、魔法を行使する。先日に買った新装備だ。
「”フレイムシールド”!」
後ろを走るモーティの背後ギリギリに出現した炎の壁は、直前に迫っていた魔法を受け止める。
やはり防御は大事だと考え用意しておいた即時発動解錠式・魔力充填・単発型の魔具である。初級防御魔法の”フレイムシールド”を即座に行使する事が出来るため、こんな状況下だからこそ役立ってくれる。
全てを防ぐ事は出来ず防御魔法が消し飛ばされてしまうものの、散っていたのもあってか俺達に届いたのは2・3発ほどだった。
「ぐっ……!」
「くあっ!」
石塊と風刃が背に当たり、痛みに顔を顰める。
けど足は止めずに走り抜け、”イグニスロア”の詠唱も始めた。
またしても撃ってきた魔法はこれで相殺し、熱波が相手を怯ませる。
その隙に距離を空けて校舎へ走った。
「校舎に入るのか!?」
「おう! それなら魔法禁止だし」
互いに魔法を使えない状況なら逃げ切れる可能性も出てくる。
そう考えて校舎に入ろうとしたら、視界の端に映ったのは細い道だ。
校舎の間を通るような道で、3人ほどが横並びで通れるくらいである。
しかし奥は行き止まりだ。校舎を繋ぐ連絡通路の壁が遮っているからだ。
「……! こっちだモーティ!」
「は!?」
急遽モーティへ呼び掛けながら細道に入り、俺は魔具を投げ渡す。
「うおっ! これは?」
「初級防御魔法用の魔具だ。モーティも火系統だろ?」
挑戦者達が追いついてくる前に、モーティへ考え付いた作戦を教える。
「……分かった! やってみよう!」
モーティが頷き、俺は”イグニスロア”を維持待機する。
その直後に挑戦者達が俺達を見つけて細道へ入ってきた。
「追い詰めたぞ!」
挑戦者達が並んで立ち、余裕の表情を見せてくる。
「どうせ”イグニスロア”でも維持待機させてるんだろう?」
「っ……!」
「この細い道で使えば余さず吹き飛ばせるからな。だが、対策は万全だ」
そう言いつつ揃って腕を突き出してくる。一斉に撃つ気だ。
「いくぞ!」
「”スプラッシュ”!」
「”グレイバンズ”!」
水と地の中級魔法が飛来する。それに対して俺は維持待機していた魔法を行使した。
「”イグニスロア”!」
熱波が飛来してくる魔法を吹き飛ばし、その余波が挑戦者達へと迫る。
これで倒せたら楽なんだが、生憎と向こうも無策ではない。
「”エアウォール”!」
ここに来る途中で防御魔法を維持待機させていたようだ。
熱波は風の防壁に逸らされ、挑戦者達に届かない。
「これで弾切れだな。とどめだ」
再び中級魔法を、今度は3人で撃とうとしてくる。
その瞬間、俺は叫んだ。
「モーティ!!」
「”フレイムシールド”! ”フレイムシールド”!」
魔具により即座に行使された防御魔法。炎の壁が2枚、俺達と挑戦者達の間へ出現する。
「はっ! 防ぎきれると思うな! ”ウインドスライ”!」
「”スプラッシュ”!」
「”グレイバンズ”!」
いくら防御魔法を重ねていても、所詮は初級だ。中級3つを防ぎきれないだろう。
けど、防ぐ事が目的ではない。
相手の魔法が放たれたとき、俺達は挑戦者達に向かって走り出していたのだ。
炎の壁が魔法を受け止めきれずに散らされるが、少しの時間稼ぎと目隠しは出来た。
間もなく消滅するだろう防御魔法の残骸をすり抜けて飛来する、水弾や石塊や風刃……
腕を交差して体に届いた数発を耐えつつも、走る勢いは止めない。
そして目の前で開けた視界には、優勢であると確信しているかのような顔が至近距離にあった。
「えっ……」
咄嗟に漏らした声に、呆けた表情。
その顔面に俺の飛び膝蹴りが炸裂した。
「へばぁ!?」
「ぶっ!?」
隣を並走するモーティも同じように他の相手へ飛び膝蹴りを叩き込んでおり、揃って2人の挑戦者が倒れこむ。
俺とモーティは着地と同時に走り出し、細道を出ていった。
「あ、おい!」
無事だった最後の1人は、突然仲間が2人やられた事に動揺してしまい判断が遅れる。
「上手くいったな!」
「おうよ!」
打撃を加えてやれたな。同じ手が通用するとは思えないけど、これでいい。
後ろを振り返ってみると、ようやく起きたところだ。鼻を押さえて俺達を追い始める。
このまま引き離せるわけでもないだろうな。補助魔法を使えば何とかなるだろうけど、モーティを置き去りにしかねないし。
「よっしゃ、例の場所に向かおう」
「どこだ? 寮の部屋か?」
そんなところには行かない。激戦区だし、他の挑戦者達まで狙ってきたら詰むからさ。
次回・・・個人戦 第一選抜 後半
今日中に、あと2話を上げたいです。




