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先駆者の導き  作者: 腹ぺっこ
第二章 生徒会活動
47/217

2_25_明暗は等しからず

お久しぶりです。

あと2話を上げられそうと宣言しておきながら、1話しか上げてなかったですね。

都歩きが終了したので、区切りとして止めてしまっていました。


お詫びとして、今回の更新は3話まとめて上げようと思います。




「ん……」


目が覚めると寮の部屋だった。

ん~……あ、昨日は休日だったか。


朝の日差しはカーテンで遮られているものの、全てを遮断せずに適度な明るさを室内に届けている。


で、いつもなら跳ね起きて着替えて皆を起こすって流れなんだが、どうにも体が重い……いや、なんか絡みついてねえか?


柔らかいけど、少しひんやりしてて気持ち良い。

その絡みついているものを見ると、腕だった。


細い腕だな……え? 腕?


誰の腕だ?


だが振り向こうにも密着されている。


しかし背中には一層柔らかい感触が……あ!!



女子か!? 女子が俺に抱きついてるのか!

朝っぱらから胸高鳴る展開じゃん!


とにかく誰が後ろに居るのか確認しないと。


引き剥がして身を起こし、細腕の主へ目を向……け……



「……なんだ、マリか」



どうして俺のベッドで寝てるかは知らんが、マリか。


相変わらず寝相が悪いみたいだ。


俺の枕も奪ってるし、てか着替えて寝ろよな……あ、俺も着替えてねえじゃん。



「はぁ……」


なんにせよ、まったくもって無駄な高鳴りだった。



だが、現実なんてこんなもの。


そう割り切って水を飲もう。


ひとまずベッドから降り……



「ル~イ~ス~」

「うおぉっ!? ぐぅぁ……っ!」



おまっ、起きてたのかよ!


引き倒しから流れるように締め技……って、しかも首とか容赦ねえな相変わらず!


完全に極まってて抜け出せねえ!


「ギ……ギブ……ギブッ」


ぺしぺし、とマリの腕を叩いてみるも全く緩まない。


やべぇ、呼吸がっ……!



「ねえルイス。さっきの反応は何?」

「ぉお……は?」

「私だったら何か問題あるの!?」

「ぐえぇ……ちょ、ちょい……待っ……」


飛ぶ! 意識が飛んじまうって!


答えるから緩めろよ!


「早く答えなさいよ! 私だったら問題あるの!?」

「マ……リなら……何の、問題も、ね……えよ」

「へ?」


首に食い込む腕が緩んだ。

なんとか呼吸を取り戻した俺は安堵した。


っあ〜……ほんと何なんだよ。



「それって……あの……」

「おいおい、言っていいのか?」

「っ……うん」



そっか。


「マリってネタ枠だし」

「……どういう、意味?」

「いやほら、リンならまだしも……な?」


なんだマリか、で終わるじゃん?



「……そっかぁ」

「おう、だから安心し」

「落ちろ!!」

「っべ!?」




・・

・・・



「……ん」


朝の日差しが俺の瞼に差し込み、今日は快晴であると教えてくれる。


ひとまず起きて……ん?


なんか絡みついてねえ?


いや、絡みつくってか……巻かれてる?



「……は!? なんだこれ!」


なんで縛られてんの!?

え、これ……は?



「誰か! 助けてくれ!」


全く動けん!

誰だ! こんな事したのは!



・・

・・・



「遅刻ですよルイス君」

「すんません……」



しばらく縛られたまま混乱していた俺だったが、思い出して魔法でロープを焼き切った。

ベッドも少し焦げたけど仕方ない。


そして思い出したのはマリだ。


こんな事をするのはマリしかいない……ったく。



「お前な」

「ふんっ」


着席してマリに文句を言おうとしたが、機嫌悪いな。


ってか、なんでマリが俺の部屋で寝てたのかも分からん。

たしか昨晩は都で見た物とか買った物とかで皆と話してて……



「ルイス」

「ん?」


昨晩を思い出していると、シャロンから話しかけられた。

珍しいな、向こうから話しかけてくるなんて。


「授業の後に私の寮へ来なさい」

「は?」


それだけ言い残して、シャロンは授業へ集中した。

なんだろ?


「なあ、マリ」

「……」

「おい」

「なによ」

「どういう意味だと思う?」


マリも聞こえてただろ?


「知らない」

「……怒ってんのか?」

「別に。もういいわよ」



俺はよくないんだが。


まあ、いいか。

ちょい失礼な事を言った自覚はある。


綺麗さっぱり忘れて授業に集中しよう。



・・

・・・



授業の内容は治癒魔法についてだった。


治癒魔法が存在するのは火・地・水・光・闇だが、防御魔法と同じく特徴がある。


火系統だと、身体の活性化だ。

自身の力を高めて治療するか強くなるかの違いだな。


あっという間に治るわけじゃなく治癒を促すだけだから、痛みなんかは収まらないし骨折とかだと余計に痛い。


だから火系統の治癒魔法は使う機会が少ないそうだ。


地系統だと損傷を埋めるが、傷の周囲から細胞を集めるだけだから無茶は出来ない。


闇系統は傷が無かったかのように消え去るが、疲労と消費魔力が大きい。

しかも治癒対象者の魔力と体力まで消耗するから扱いには注意が必要だ。


水系統は傷を洗い流し、損傷部分を再生させていく。

特にデメリットもないし、安定しているな。


光系統はただの消毒みたいなもんだ。

系統として浄化や反射に特化しているが治癒には向いていない。

呪や毒だったりの異物を取り除くか、予防したりするのには強いんだけど。



ちなみに、部位欠損は並大抵では治らない。

腕が消し飛んだりしても、傷口を塞ぐだけだ。


もし元に戻そうとするならば、かなり上位の闇系統で無かった事にするか、地系統で徐々に復元するしかないらしい。




・・

・・・



午前の授業が終了し、昼休憩に突入する。

シャロンも食堂へ誘おうと思ったけど、断られた。


「早く行こ?」

「おう」


不機嫌が直ったマリと一緒に食堂へ行き、ハイク達と合流して飯をかっこむ。



「ルイス、明日までに都歩きの資料を作っておいてください」

「資料?」

「行った場所の感想だったりですよ」


あ、都歩きはそういう目的だったな。

後半はラグ達とも行動してたけど、そこは後で一緒にまとめるそうだ。



・・

・・・



午後の授業も済ませ、汗を流してからシャロンの住む寮へと向かった。

なぜか付いて来たハイクと、道すがら巻き込んだマリも一緒だ。


寮へ到着し、シャロンに取り次いでもらう。

するとすぐに通され、あの豪華な応接室に案内された。


そこにはシャロンの他にチャールスとリンも居る。



「おっす」

「座りなさい」


ソファに座るとリンがお茶を出してくれる。

やっぱメイドにしか見えねえな。



「何の用事だ?」

「ギリク・ゼグノートが生徒会に入ったそうね」

「あ、まあな」



昨日の朝に居合わせてたから、予想はしただろう。


エグラフが後の先で打った一手として、ギッさんは生徒会に入った。

そこまで把握してるかは分からないが、シャロンにとっては不利になる状況である。


なんとなく気まずいな。



「別に責める気はないわ」

「お、おう」

「けれど、放置も出来ないの」


ってことは……


「シャロンも誰かを生徒会に入れるのか?」

「それは今すぐには無理よ」

「そっか」

「ただ、いずれは誰かを寄越すから受け入れなさい」


前もってシャロン勢力の生徒会入りを予約するらしい。

まあ、そこらへんはクリストフ先輩も望んでるだろうから問題ないだろな。


一応ハイクへ目を向けてみたが、首肯で返してくれた。


「あと、マリには改めてお礼を言うわ。ありがとう」

「へ?」

「リンを連れて行ってくれたからよ」

「あ、気にしないで。私もリンと一緒で楽しかったし」



むしろマリが礼を言った方がいいんじゃないだろうか。

色々と世話してくれたんだろうしさ。



「ねえ、シャロンさん」

「さん付けだと気持ち悪いわね」

「じゃあシャロン」



ハイクがシャロンを呼び捨てた事にチャールスが動きかけたが、俺とマリも呼び捨ててるから今更だ。


それに気付いてチャールスも落ち着きを取り戻す。



「何かしら?」

「誰を生徒会に入れるのか聞いてもいい?」

「……おそらく、まだあなた達と面識が無い者よ」



チャールスはまだしも、リンじゃないのか。

まあ直属の部下だし手元に置いておきたいのかな。


「その選定に時間が必要なの。誰になるかも確定していないわ」

「了解した。もしリンさんを寄越す時は先に教えてね」

「どういう意味?」

「知ってるから、リンさんが暗青の血だって事はさ」

「? ……ハイク?」


ハイクが、今まで見たことの無いような目でリンを見ている。

まるで蔑むかのような……


「!」


突如としてチャールスから殺気にも似た気配が漏れ出した。

おそらくはハイクに向けたものだろうけども、俺が感じ取れるほどに隠そうともしない。



「チャールス、やめなさい」


だが、シャロンの一言で霧散する。

なんだったんだ?


「冗談だよ。ゴメンね、リンさん」

「いえ」

「どうしたんだよハイク」


らしくないというか、そんな人を蔑む目なんか初めて見た。



「事の大きさを理解しているか試したんだよ」

「試す?」

「そ。チャールスさんは理解してても抑えられない」

「ぐ……貴様!」

「チャールス、静まりなさい。次は無いわ」

「……はっ」


チャールスは2アウトのようだ。

次は退場コースなのだろうか。


「で、さすがにシャロンは分かってるね」

「当然よ」

「そうなると問題なのはリンさん、って事になるかな」


リンに目を向けると、相変わらず静かだ。

別に表情に変化があるわけでもない。


だが、丁寧なお辞儀でハイクの言葉に答えた。



「理解しているつもりでしたが、軽率な行動をいたしました。深くお詫び申し上げます」

「いや、大丈夫。そう言われたらソマリに対して失礼だし」

「……そうですね」


よく分からんが、ソマリも関わってんのか。


「で、シャロンに聞きたいんだけど、要求は口止めかな?」

「ええ、そうよ」

「他には何も無し?」

「……」

「はっきり言ってよ。もう関わるなって言うなら善処するから」



なんか空気が重いな。



「ルイス、マリさん」

「っへ? どした?」

「なに?」


いきなりハイクに目を向けられる。


「もうリンさんに関わるなって言われたら、どうする?」

「「やだ」」

「だよね」


俺とマリの即答にハイクは笑っていて、チャールスは苦い顔だ。

そしてシャロンとリンは無表情。


「だったら知っておいてほしい」

「何を?」

「暗青の血についてだよ」



そこからハイクに聞かされたのは、名門貴族の血筋について。


以前にソマリから聞かされた内容も絡んでくるらしい。




名門の血筋には3つの世代があり、修練世代と継承世代と現役世代だ。


そして全ての世代に流れているのは、後継者が20~40歳までに残した血である。


「?」

「エグラフさんを例にしようか」


エグラフは修練世代の旗頭だ。

けど、20歳になれば世代が変わって継承世代の後継者となる。


「で、40歳までに子作りする」

「お、おう」


なんか生々しいな。


「そこで生まれた子ども達は新たな修練世代として認知されるんだけど」

「……けど?」

「41歳以降、もしくは19歳までに子どもが出来たらどうなると思う?」

「それは……」


分からずにマリを見てみると、同じく分からないようだ。



「正解は、暗青の血として扱われ、名門の世代として認知されない」


そこで暗青ってのが出てくるのか。


「逆に、世代として認知される人は明青の血だよ」

「って事は、シャロンは明青か。ギッさんも」

「そ。まあギッさんの子どもは、ただの青い血だけどね」

「そうなん?」

「後継者じゃないから」

「へえ……あ、チャールスは?」

「チャールスさんは名門の血筋じゃないからね。明暗とか関係ないよ」


明青とか暗青って分けているのは名門貴族の後継者世帯だけらしい。


他の貴族は単に”青い血”ってだけになるそうだ。


ん~む……ややこしいな。



「ってかさ、何か意味あんの?」

「勿論。継承権を紡いでいく上で、立場の線引きをするためだよ」


後継者の子のみが継承権に関わる。


しかも旗頭のみが絶大な継承権を持ち、同世代の兄弟達は明青であっても継承権は緊急時のみしか働かない。


そして世代からも外れた兄弟達は暗青として扱われ、何があっても継承権は存在しない。


「ならさ、継承権は無いからな、って言われて終わりじゃん?」


わざわざ明だの暗だの分ける必要あんのか?


「それだけじゃないよ」


ここから先は念のためって範疇らしいが、変に野心とか持たないように隔離されるらしい。


と言っても監獄生活のような暮らしを送るわけじゃなく、一般よりは良い暮らしになるそうだ。


けど、間違っても名門の政治には関われない。


大抵は市井に紛れて暮らすか、騎士になるか、それなりの役人仕事に就く。


ちなみに騎士になったとしても、手柄で領地と家名を賜れば名門とは別物の扱いになるそうだ。

つまりは独立だが、推奨はされないらしい。



「まあ俺と同じって思えばいいよ」

「いや、同じじゃないだろ」


全く別と言ってもいい。



「まあ冗談はさておき、理解した?」

「おう」

「うん……たぶん」


本当に冗談かはさておき、俺もマリも理解はした。


「ならここで出題」

「は?」

「リンさんは暗青の血なんだけど、今の立場は何?」

「……シャロン専属の部下だな」

「それってダメなの?」

「明暗は等しからず」

「「?」」



明暗は等しからず……明青と暗青では立場が違うって意味だ。


けど、それでも青い血であるのは同じ。

だからこそ最後の誇りとして、暗青の血は隔離された暮らしに耐え忍ぶ事を求められる。


まあ、極貧生活ってわけでもないんだし、何かあっても一族が手配して助けてくれるだろう。



ただし、野心を匂わせてはならない。

名門の政治に関わろうとしてはならない。

兄弟姉妹に近寄ってはならない。


「そういう決まりなんだよ。不文律だけどね」

「ふ~ん」

「破ったらどうなるの?」

「疎まれて蔑まれる」

「わお」

「酷いね」

「不文律を破れば、野心を持つ簒奪者って見られるからね」



とことん責めるんだな。



「……本当に理解しているの?」

「「へ?」」


シャロンが俺とマリへ問いかけてくる。


「暗青は大人しくしたほうが良いって意味だろ?」

「リンって大人しいから大丈夫よ?」

「やっぱり分かってないわね」



え!? そうなん?


ハイクへ目を向けると、なんだかガッカリしている。


「そこは気付いてほしかったな」

「え? なに? 何が?」


混乱する俺とマリに、シャロンは溜息混じりに告げた。


「私とリンは姉妹なの」

「「…………」」


姉妹……


「「えええぇぇ!?」」


あ、そうか! 明青と暗青は生まれた時期が違うだけで、

兄弟姉妹の関係じゃん!


「いやでもリンが他の名門の血筋って可能性もあるじゃん!?」

「それこそ大問題よ。対抗勢力の暗青を連れ回すなんて」


苦し紛れの言い訳は切り捨てられた。



「どっちがお姉さんなの!?」

「今はそういう話じゃなくて」

「めっちゃ気になる!!」

「……はぁ……リンが姉よ」

「おお! たしかに姉っぽい!」



そういや、よく考えればそうか。

シャロンが旗頭って事は、リンが暗青になるなら早く生まれたって事だ。



シャロンの世代は誕生の時期にあるんだから、少なくともシャロンが21歳以降で生まれた兄弟が、年下の暗青の血ってわけで……



「ややこしい!」

「勝手に混乱しないで」

「あ、そういえばリンって何歳?」

「今年で15になります」

「1つ上か」


俺達は今年で14だからな。

ってか入学に年齢は関係ねえの?

名門の権力でゴリ押したのか?


「話を戻していいかな?」


ハイクが珍しくも脱線した話を戻す。



「そういうわけで、シャロンとリンさんは姉妹関係にある」

「おう」

「つまり、不文律を破ってるんだよ」


暗青の血は兄弟姉妹に近寄ってはならない。

この部分を破っているそうだ。



「てことは疎まれたりするのか?」

「でも、誰に?」

「誰に、っていうより貴族社会にだよ」

「うっわ……」




そうか、だんだん分かってきた。


「だからハイクが失礼な事したんだな?」

「失礼って? ……ああ、さっきのだね」


そう、蔑んだ目で見てた。演技だったけど。


あれは不文律を破っているリンが貴族社会から疎まれたり蔑まれるという状況を、本人達が理解しているか試す意味だったんだな。


で、実際に理解はしているようだ。


けどそれで終わりじゃない。

理解してるのにシャロンとリンは近くに居る。



「リンはシャロンから離れる気はないのか?」

「私が離させないわ。リンを失うのは避けたいの」

「そうはいうけどもさ、実際に被害被るのはリンだろ」

「これまでは隠し通せてたのよ。けど……」



リンがカミングアウトしてしまったらしい。

しかも都歩きの日に、ソマリに対して言ってしまったそうだ。


「一応、何度かリンの素性を嗅ぎ回らせようとしたのよ?」

「そうなん?」

「ほら、夜に出歩かせたくないって話とか」

「覚えてねえ……」

「都歩きではリンさんじゃなくてチャールスさんが会食に付いていったりさ」

「それは意外だった」


そう考えると、何度か気になるような場面はあった気がする。


「もし探ってこようものなら、無理矢理に知られた流れにするつもりだったの」

「なぬ!?」

「それで罪悪感を持たせれば、ある程度は駒に出来ると思ったのかな?」

「ええ、そうよ」


こっわ! えげつねえ!


「……といっても、それはリンに止められたわ」

「へ?」

「信じて伝えた方が良い、ってリンに言われたのよ」



そしてシャロンがリンへと視線を向けると、リンが一歩前に出てお辞儀する。



「突然の暴露で混乱させてしまい、申し訳ございませんでした」

「あ、いや……大丈夫」

「ですが、何かあってからでは遅い場合もございます」


つまり、どゆこと?

頭を捻る俺に、リンは告げた。


「私の秘密を守ってくださいませんか?」

「おお、秘密って響きがすごい」


まあ、頼まれたなら応えよう。

バレたらリンが辛い目に遭うみたいだしさ。


「よっしゃ! 任せとけ!」

「どう動くかは俺とソマリで采配するよ」

「よろしくお願いします」

「一応、今回の件はラグにも伝えとくからね」

「ええ、元よりそのつもりよ。ただ、それ以外の生徒会メンバーには黙っていて頂戴」

「了解した」


他にも、リンは直属の部下だが身分としては、没落貴族という口裏で合わせる事になった。


優秀だから部下として連れて来たという話らしい。


てなわけで一通り話し終えた俺達は、シャロンからマリへ渡された報酬である美味しい茶菓子を全員で楽しんでから、生徒会寮へと戻るのだった。



・・

・・・



「じゃあ、手っ取り早く打ち合わせすっか」


ラグの号令で、俺達は頷き合った。

生徒会寮へ戻って来てすぐに、俺の部屋でリンの件について打ち合わせをする事になったのだ。


「まず、リンさんの素性については理解したと思います」


名門の血筋ではあるが、隔離される立場にある暗青の血だ。

なのにシャロン直属の部下であるため不文律を破っている。


けれどもシャロンはリンを離そうとしない。

その理由は詳細まで聞けなかったが、いつかは聞かせてくれるかもな。


てことで、俺達はリンの秘密を守るために一致団結せねばならない。


「でも、その前によ」

「ん?」

「なんで秘密を教えてくれたんだろな」


ラグの疑問に、俺は胸を張って答えた。


「そりゃあ、俺達が頼りになるからだろ」

「違います」

「なぬ!?」

「巻き込まれる前に巻き込んだ、が正解です」


要するに、俺達がリンを連れ回したり巻き込んだりすると、何が切っ掛けで秘密が漏れるか分からない。


だから先に俺達へ素性を教えておく事で、必要以上にリンへ注目が集まらないよう配慮してほしいのだ。


だからリンは早めに行動した。

ソマリに告げて反応を確認し、特に問題なさそうならハイクへ。


こうやって理解が早くて口の堅そうなメンバーから伝えて回る予定だっただろう、とハイクは予想している。


ところが、ソマリはハイクへ即日に伝えてしまっていた。

勿論リンの意図を汲んだ上でだ。


そこで俺がシャロンに会いに行こうとしたもんだから、ハイクが付き添ってシャロン側と相談しつつ、俺へ秘密を教えるよう流れを持っていく。


ソマリはラグへ秘密を説明して、暇があればマリにも伝えるって予定だった。

そしたらマリは俺が確保してたってオチだけど、結果オーライか。



「そういうわけで、早めに5人で情報共有したのは上出来だと思う」

「ですね。あとはリンさんの秘密が露見しないように注意しましょう」

「おう」

「でも、どうやって?」

「ルイスとマリさんは普段通りでいいよ。余計な事さえ喋らなければ」

「「あい」」

「ラグは気を抜かないでね。いざとなればルイス達の近くに居るだろうから」

「おう」

「あ、リンさんと行動する時は、僕かハイクに相談してください」

「「「了解」」」

「まあ、こんなところだね。解散しようか」



ハイクの解散宣言で皆が部屋へと戻っていく。

そして俺は今日の授業を復習したり、都歩きの資料を作ったり……頭が疲れる1日だった。


一挙投稿 1/3


次回・・・繁忙期の予兆

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