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先駆者の導き  作者: 腹ぺっこ
第二章 生徒会活動
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2_21_都歩き ケートス編

お久しぶりです。

インフルのため、なんとか時間を捻出できました・・・


前回のあらすじ・・・ケートス逮捕



どうしてこうなった……



「これからどうするつもりなんだ?」

「だから妊娠なんてしてねえって!」

「とぼけるな! 思い返せば少しお腹も大きくなってたぞ!」

「ただの食いすぎだ!!」


それ以外に何があるってんだ!

誰が手を出すかよ!


顔も性格も良い。

食い意地が張っちゃいるが、食わねえでガリガリよりはマシ。


そう考えれば、大抵の野郎にとっちゃ優良物件ってやつなんだろうぜ。


けどよ、俺はもっと色気のある女が好きなんだ!



「好きでもないのに手を出したのか!?」

「どこまで続けんだよ!」


ったく、どいつもこいつも。


ルイス達は最近になって容赦が無くなってきてるしよ。

顔面に魔法連射された時はマジに死ぬかと思ったっつの。



「っはは、ツレないじゃないかケー坊」

「もう弄られるのは腹一杯なんだ」

「俺らが腹ぺこなんだ」

「知らねえよ!」


この警備員達……おっちゃん達は俺の知り合いだ。

というより親父の部下、って関係か。


小さい頃から色々と相手してくれてたんだが、その頃から弄られてた気がする。


最近は会う機会も少なかったからか、俺と分かるなり捕まえて詰所に連行しやがった。


たしかに大通りを爆走したが怪我人も出なかったし、その場で注意すれば済む話だからな。


……つか怪我人は俺だっての。



「別に寂しかったから連れてきたわけじゃないんだ」

「そうかよ。じゃあ解放してくれ」

「お前の親父さんに頼まれてな」

「親父が?」

「上司の命令とあれば従う他ないだろ?」



クソ親父め。

なにも今日に捕まえなくてもいいだろ。


「さっき連絡したから、もうすぐ到着するはずだ」


ゴトッ……と俺の目の前に料理が置かれる。


「まあ、これでも食っとけ」

「揚げ物か……」

「どうした? 肉好きだろ?」

「今は医者から禁止されてんだよ」

「細かいこと言うなよケー坊。言いつけなんて破るものだろ?」

「警備員なら守らせろよ!」


結局、食わないままに雑談していると、どうやら闘技場では準決勝が始まったらしい。


「俺も見たかった……ちくしょう」

「悪かったって」

「肉食えるようになったら腹一杯奢ってもらうからな」

「分かった分かった」

「それよりケー坊、そろそろ選抜だろ?」

「あー、もうそんな時期だっけな」



選抜ってのは騎士団の選抜試験の事だ。

毎年のように応募が殺到するが、50人に1人入ればマシってぐらいの難易度だな。


「今年も受けるのか?」

「どうすっかな……」

「お? 諦めたのか?」

「そうじゃなくてよ」


俺みたいな一般人が騎士団に入ったら、下っ端からスタートするのが通例だ。


訓練も試験後すぐに始まるし、覚える事も多い。

学校には通えても生徒会の仕事は出来ないだろうな。



「生徒会って……ケー坊も冗談が下手だな」

「本当の話だ」

「でもよ、生徒会ってのはお貴族様が主役だろ?」

「情報収集が甘いぜ、おっちゃん」


俺が最近の事を掻い摘んで説明すると、驚きながら聞いていた。


「はぁ~……そんな事がなぁ」

「てなわけで今は忙しいんだよ」

「ケー坊は怪我して戦力外だろ?」

「うっせーな! もうすぐ治るって!」



そしたら幾らでも名誉挽回してやるよ。


「あんまし派手にやらないほうが良いと思うけどな」

「は?」

「お貴族様に目を付けられたら騎士団が遠のくだろ?」

「そんな事気にしてる場合じゃねえよ」


それに、生徒会抜きで目を付けられてるしな。


「エグラフって貴族とは顔合わせるたびに喧嘩してるし」

「ゼグノート家か! おいおい、大丈夫かよ!?」

「不敬罪とかになるんじゃないのか?」

「へっ! できるもんなら罰してみやがれってんだ」

「よかろう」

「「「……は?」」」



この声は……



「まずは不敬罪により、学校から退学処分だ」

「エグラフ!」

「その後は奴隷まで身を落とし、無駄な作業を死ぬまで続けさせてやろう」


なんでお前がここに居るんだよ!

気付けば詰所の入り口で仁王立ちしてやがった。


「おいケー坊」

「あ?」

「もしかして……貴族様か?」

「おう、こいつがエグラフ」


おっちゃん達が背筋を伸ばして簡易的な礼をする。

仕事中だから跪いてまでの礼は行わない。


……サボってるけどな。



「エグラフ様におかれましては……ご、ご機嫌うるわ」

「不要だ。私は学生であり、必要以上の礼は控えてもらおう」

「……分かりました」


おっちゃん達の緊張が目に見えるようだ。

まあ、エグラフの家系が名門ってくらいは知ってるみたいだしな。


「あの……ご用件は……?」

「そこのバカを引き取りに来た」

「と言いますと?」

「少し用事がある」

「お渡ししたいのは山々なんですが……」

「事情があるのか」

「ええ、隊長が少し」



エグラフは少し黙考したが、やがて俺の正面に座る。



「待つ」

「あ、ありがたき幸せ」

「使い慣れない敬語は聞くに堪えん。普段通りに振舞え」

「……はい」



良かったな、おっちゃん。

今にも舌噛みそうだったぜ。


まあ、丁度いいところにエグラフが来た。


「エグラフ、これ食えよ」


そう言って目の前に置かれていた器を押し出す。


「なんだこれは」

「見りゃ分かるだろ。揚げ物だ」

「もう冷めている」

「冷めても美味いって。それによ」

「要らん」


そうかよ。

目に毒だから片付けてほしかったんだがな。



「そういえば用事って何だ?」

「私はこれから魔具屋に行く。貴様も来い」

「は? なんで?」

「貴様が弱いからだ」


絞め落としてやろうか。



「勘違いするな。私も弱い」

「?」

「魔族が活発化しているのは知っているだろう」

「いきなり魔族の話かよ」

「知らないのか」

「……知ってるよ」


医務室では退屈だったからよ、記事とかを暇つぶしに読んでた。


そしたら魔族の暗躍らしい事件の発生件数が増えている、って書いてあったな。


「魔族の狙いは不明だが、事件の種類は多岐に上る」

「まあな。盗難だったり殺人だったり幅が広い」

「だが、最近になって増え始めた事件を統計した場合……」


エグラフが懐から紙を何枚か取り出してテーブルに置く。

顎で示されたソレを手に取ると……


「これは……地図か?」

「そうだ」


かなり広域、というか国全体の地図か。

数枚にしか分けてねえから表示倍率は低い。


なぜこんな広域な地図を持ってきたのか知らんが、それより気になる事がある。



「この点ってよ……」

「魔族が起こした事件の分布だ」



やっぱりか。


各所に散りばめられている赤い点は、魔族が起こした事件の場所を指している。



「ん……グランバス周辺が少ないな」

「警戒は強めているだろうが、それは他の地域も同じだ」


それなのに発生件数が少ない……


「そして、他の都でも少ない場所がある」

「さすがに都は攻め辛いってか?」

「であれば問題ないがな」

「何が言いたいんだ?」

「これら発生件数が他と比較して少ない地域には、共通点がある」



共通点か。


他の地図を見てみるが、別に……


「! ……おい、これって」

「やっと気付いたか、バカめ」

「すぐに気付くわけねえだろ!」


だが、ぱっと思いついた共通点は一つしかない。



「3大魔法学校のある都……これが共通点だな?」

「そうだ」



答えが分かってスッキリした。

だがよ、それがどうした、としか思えねえな。


「そんなの当然じゃないのか?」


3大魔法学校には次世代を担う貴族達が入学する。

つまり、守るべき存在の中でも優先度が高い。


だからこそ警備も厳重だし、防衛力の高い都という立地なんだ。

攻めようとするなら大軍が必要だろう。


そう言う意味では抑止に繋がっているし、もし攻めても陥とせるとは思わねえ。


なのに魔族が頻繁に攻めて来て危ない場所です、なんてのは意味がないだろう。



「勿論分かっている。しかし念のためだ」

「念のためって……何が?」

「備えるのだ。特に貴様がな」


話が見えねえな。

はっきり言えよ。


「おう、待たせたなバカ息子」

「ん?」



少し懐かしさも感じる声に顔を向けると、親父が詰所の入り口に立っていた。


グランバス南区の警備隊長……それが親父の肩書きだ。


燈色の制服で、胸には隊長格へ支給される勲章を付けている。

それだけ見れば立派なんだが、なんとなく着崩してるし無精髭も剃っていない。


全体で見れば、だらしない。



「待ってたぜ親父」

「なんだ、寂しかったのか?」

「ちげえよ! 用件を言え!」

「まあ落ち着けって」


新しく椅子を取り出して座った親父は、勝手に揚げ物を食いながら煙草を取り出す。


「へっはふおやひにあっはんだぁがよ」

「飲み込んでから喋れ。あと煙草は飯の後でもいいだろうが」

「っぐ……細かい野郎だな。本当に俺の子か?」

「さあな」



舌打ちしつつ腕を組むと、何が可笑しいのか笑ってやがる。



「っかかか……相変わらず照れ屋だな」

「うっせ」

「あんたもそう思うだろ?」

「……」



いきなりエグラフに絡み始めやがった。



「あの……隊長」

「あん?」

「その御方は……貴族です……ゼグノート家の」

「へぇ。どうりで若いのに強い眼をしてやがる。人相は悪いがな」

「ちょ、隊長! 失礼ですよ!」


本当にな。

俺だってそこまで正面切って失礼な事言わねえ。



「おいエグラフ。親父なら幾らでも罰して良いんだぜ?」

「親孝行な息子だ、全く」

「構わん。この場では、な」

「「……」」


なんとも微妙な空気が漂っている中で、揚げ物を食い終わった親父が掌を打ち鳴らして場の空気を変える。



「っし、待たせたな! じゃあケートスを呼んだ理由を発表しよう」

「早く言ってくれ」

「実はな、抜擢されちまったんだ」

「何に?」

「討伐軍だ」


……は?


「討伐って……」


言い淀む俺の目の前で、親父がテーブルに投げ出されていた地図を手に取る。


「この件で討伐軍が増強される」

「対魔族の編成か」

「そうなるな。今までの規模だと突発的な襲撃に対応出来ないからよ」

「なんだって親父が抜擢されんだよ」

「そりゃお前、実力ってやつだろ」


断りたかったがな、と親父は肩をすくめる。


だったら断れよ、なんて事を言っても意味が無いだろう。

断れるなら断ってるはずだ。


「親父が邪魔だから消したくて抜擢されたんじゃねえの?」

「っはは! 声が震えてるぜケートス」

「んなわけあるか!……ちっ」



どおりで俺を捕まえたわけだ。



「最後の挨拶ってやつかよ、親父らしくもねえ」

「そう言うな。俺だって感傷くらい持ち合わせてんだ」

「……もういいだろ、俺は行く」

「冷たいねぇ」

「うっせ」



席を立ち、親父の顔を見ないように詰所を出る。

おっちゃん達が何か言いたそうにしていたけど、中途半端に出た手は俺の肩に届かない。



「愛してるぜ、息子よ」


なのに……よりにもよって、親父の声が俺の耳へ届いた。



・・

・・・



「くそ……」


もやもやした気持ちで大通りを移動する。

何処に向かっているかも分からないが、とにかく動いていないと気が紛れない。


「待て」

「んだよエグラフ、俺は魔具屋になんか行かねえからな」

「貴様らしくもないな」

「お前に分かってたまるか」


たとえエグラフだろうと、家族の話にまで口を出されたくない。

今は放っておいてくれ。


「対魔族の討伐軍は死亡率が高いらしいな」

「っ……今それを言うかよ」

「貴様の父親は国を守る為に引き受けた。それすら分からないか」

「なんで親父なんだよ!!」


ふざけんな!

あんなだらけきった中年なんか必要ねえだろうが!!


「囮に使うわけではあるまい。そんな用兵では被害が増すばかりだからな」

「そういう意味じゃねえ!! 他に強い奴は幾らでもいるだろうが!!」

「都の警備を薄くしてでも加えようというのだ。よほど有能なのだろう」

「……知るかよ、そんなこと」


そりゃあ確実に死ぬってワケじゃない。

けどよ、大抵は死ぬんだ。


きっと親父なら最前線に出るはずだ。

そうすりゃ更に死にやすくなる。


「貴様の父親は国を守る。ならば貴様は何を守るのだ」

「……」

「私は来年に学校を離れる。現生徒会長は卒業だ」

「それがどうした」

「後輩を守れ」


何から守るってんだ。

貴族からか? それならエグラフが手綱握っとけば問題ないだろ。


来年以降もギリクが居ればゼグノート家は強硬手段を取りにくいだろう。

ローレライ家だって、旗頭がルイス達と仲良いんだから大丈夫だ。



「さきほど見せた地図を覚えているか」

「……ああ」

「発生件数が少ない地域の共通点は三大魔法学校だ」



そういえば念のために、って言ってたな。

話の途中だったからよく分かってねえけど。



「次世代を担う者達が多く在籍する三大魔法学校など、格好の的だ」


潰してしまえば世代の節目で人材が少なくなる。

数合わせしても綻びは目立つだろうな。


「だというのに攻めて来ない。これは防衛力の賜物なのか、別の理由なのか」

「別?」

「決定的な一手を打てるまで準備している可能性がある」

「……はっ、考え過ぎだろ」

「その通りだ。憶測の域を出ない」


これが俺への用事だってのか。

馬鹿馬鹿しい。


「だから俺も討伐軍に入れってか?」

「バカめ。今の貴様が入っても邪魔なだけだ」

「だったら何だよ!」

「万が一の可能性に備えろ。時期によっては貴様しか前に立てない」



つまりよ、こう言いたいのか?



「魔族の活発化で浮き彫りになった可能性が、都の襲撃計画だって事か?」

「そうだ」

「で、俺が魔族の襲撃に対処出来るぐらい備えておけばいいと?」

「そうだ」

「教師陣が居るだろうが。何かあっても」

「その教師に混ざっているかもしれん」

「……何がだよ」

「魔族だ」

「! ……バカな」

「詳しく聞きたいのならば魔具屋に来い」


頭が混乱する。

親父が抜擢? 魔族が教師陣に混ざってる? 襲撃の計画?


なんだってんだ……



「……少しだけだからな」

「よかろう。付いてこい」



次回・・・都歩き クリストフ&タチアナ編

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