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先駆者の導き  作者: 腹ぺっこ
第一章 入学
21/217

1_19_番外編 縄張りの守護者

二章執筆中の筆休めです。

 


「なにすんだよ!」

「?」


帰り道、ふと……声が聞こえた。


誰の声だろう?



いや、誰なのかはどうでもいいけれど、なんだか余裕の無い声だった。



「お前らのボスは都に行っただろ!」

「そんなの知ってる!」

「だからよ、ここは俺らの縄張りになるって事だ」


なにかと思って様子を見に来たら……あたしと同年齢くらいの子達を、二回りも大きい男達が囲んで虐めてるなんてね。



「駄目だ! ここは俺達が守ってるんだ!」

「そーだそーだ!」

「だったら力で奪うしかねえな!」


おまけに野蛮。

最低ね。



「お前らなんかハイク兄ちゃんにも勝てねえくせに!」


当たり前でしょ。


何を言ってるの?



「勝てるに決まってんだろ!! あんな雑魚なんて一撃だったぜ!」


な……嘘でしょ? どれだけ強いの?


あの子達、歯向かったら危ない……


「じゃ、じゃあラグニーロ兄ちゃんには勝てたのかよ!」

「当然だ! さすがに少し手こずったがな」

「なっ!?」



……ん?


「まさか……ソマリ兄ちゃんまで!?」

「一人では無理だったけどな。まあ人数も強さの内ってやつだ」

「そんな!!」


なにかおかしい……


「じゃあ……ルイス兄ちゃんにも勝てたのかよ」

「!! ……それは……」

「ほら見ろ! 四天王最強のルイス兄ちゃんには勝てないだろ!」

「うるせえ! もういねえんだ! どんだけ強くてもなあ! 縄張りを守れなきゃ負けなんだよ!!」


「待ちなさい」


つい口を挟んでしまった。


でもね、さすがに目に余るのよ。



「なんだこいつ!」

「間違ってるわ」

「あぁ!? 何がだ!」

「逆よ」

「は?」



最強? ……っは、笑わせないで。



「ルイスは四天王の中でも最弱よ。あたしの名にかけて証言するわ」


きっと逆転させて吹聴してたのよ。


お兄ちゃんまで倒せたら、実は逆でしたって驚かせて、本気を出したハイクさん達が心を折るために。



「何だお前は!?」

「ルイスの妹……アーシェよ」

「なっ!? あの化物に妹が!?」

「似てねえ!」

「それは奇跡が起きて助かっているわね」


別にお兄ちゃんの顔は嫌いじゃないけど……って、それはどうでもいいのよ。



「お兄ちゃんにすら勝てないなら、この場所は諦めることね」

「意味分からねえ事言ってんじゃねえ!」

「ここは私が読書するのに使ってるのよ」

「お前何様のつもりなんだよ!?」

「まだ分からないの?」

「はあ!?」



仕方ないわね。

これ以上は無駄な時間を過ごしたくない。


「……”トラベリング”」

「!?」


「”カウンタ・イマジナリ”」

「お……おい!」


「”リンク”」

「ほぼ無詠唱だと!?」


「”アポーセ”」

「この系統って……」


「”エジェクト”」

「なんだこれ!!」

「糸か!?」


バカね、あたしの縄張りに入るなんて。


「動けば怪我じゃ済まないから」

「なんなんだよ!」

「兄貴! こいつ、時空系統です!」

「まさか……裏ボスか!?」

「そんな可愛くない呼び方はやめて」


なによ裏ボスって。


バカじゃないの?



「あれは噂だと……」

「それより、ここはあたしが使ってるの」

「わ、分かった! 引き上げるから!!」


「そう……”インバール”」

「!……消えた?」

「早く帰りなさい」

「「「ひ、ひいいいぃぃぃ!!」」」


どこまで怯えてるのよ。

情けないわね。


「ア、アーシェちゃん……ありがとう」

「何の事?」

「……助けてくれて」

「聞いてなかったの?」

「え?」

「ここはあたしが読書するのに使ってるの」

「えっと……はい」


なら分かるでしょ?


「あたしが居ない間は、しっかり守りなさい」

「「「……」」」

「返事は?」

「「「はいっ!!」」」


よろしい。


「それじゃ帰るから、よろしくね」

「「「お疲れ様でしたぁ!!」」」



誰にも渡したりしないから。


お兄ちゃんの場所は、あたしの場所だもの。






ーーーーー



「……お?」

「どした?」

「なんか心が寒い」

「は?」

「で、暖かくなった気がする」

「病気じゃないですか?」

「せめて風邪って言ってくれよ!」



ーーーーー




少し息抜き出来ました。

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